PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

フライングブルーの特徴(その1): よく乗るとわかる部分

形式的なことは日本語のサイトにも書いてあるので、創設時(と言っても10年未満)から使ってみた印象から入ります。

 

(1)Flying Blueは会員をこき使う(「顧客を大切にする」と同義)プログラムだと思います。Air France(AF)もKLM(KL)も自社会員、特に上級会員にはいろいろなことを提案してきます。会員ステータスが無くても提案されます。例えばチェックイン時によくある案内です。

 

「ビジネスの予約客がノーショウになりそうなんだけれど、代わりに乗らない?直前になるから走って搭乗口に行くことになるけれど、クルー用通路を案内するわ。」

(通路側の席で大変良かったのですが、預入手荷物は間に合わず、3日遅れたというオチが付きました。)

 

「成田便が満杯なのよ。関空へ行ってくれれば、ビジネスクラスにアップして現金300ユーロをつけるわよ。」

(確かに関空から羽田まで300ユーロもかかりませんが。)

 

「ビジネスが空いているのだけれど、(マイルを使って)アップグレードしない?」

(カウンターの画面は、現在のマイル残高を表示することが明らかに。)

 

「このチケット、高かったでしょう。ビジネスにします。」

(??...確かに帰りがだいぶ先だったため、少し高めの予約でしたが。)

 

Y→Cのアップグレードはまあまあ多いし、それ以外にもごちゃごちゃ提案してくるので飽きません。

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混雑していないことが前提ですが、上級会員にはAFの係員はとてもフレンドリーです。気を許しているような「ぬるさ」があります。しかも会員レベルを上げるための基準が低いのがFlying Blueの特徴。少し乗るとルールの上でも優遇されます。良く知られていますが、JALに喩えると、国内線30回の搭乗でサファイアになるようなものです。しかしフランス以外にはあまり上級会員はいないようです。

 

他社と比較します。デルタ航空は最近プラチナメダリオン(上から2番目の会員レベル)が全スカイマイル会員の2%以下だと暴露しました。会員9200万人の構成は、7000万以上がアジアだと、Richard Andersonが言っていました。一方、私がアジアの空港で見る限りですが、プラチナメダリオン以上はほとんど北米の方のようです。とすると、北米に限定すれば3%は楽に超えるはずです。Flying BlueではPlatinumに相当する会員レベルなので、驚異的な数です。

 

5年ぐらい前ですが、AMC会員2100万人のうち、SFC保持者が20万人台という数字を見た記憶があります。1%、これが日系の数字です。

 

Flying Blueの上級会員は、とてもこんなにいるようには思えません。というのも、上級会員でなくても、荷物の優先扱いやらアップグレードがついて回るからです。また実感としては、盛んに乗っている時期や、高い予約レベルの航空券を持っている時、起きやすいので、搭乗実績と支払金額を良く見ているようです。私の経験では年間5回程度の搭乗実績でも有効です。

 

2-3年前のステータスマッチのキャンペーンで、Flying Blueの上級会員は一時増えたでしょうが、また元に戻っていることでしょう。最近のStatusMatcherの結果を見ると、BAやLH同様、AF-KLMもステータスマッチは原則的に拒否しているようです。

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AF-KLMの利用では、フランス人の冷淡な態度や、KLMの地上係員の少なさなど、日系に慣れた搭乗客は戸惑うことが多いと思います。しかし、これらに慣れると、Flying Blueが客にかまうFFPだと気づくと思います。

 

日本との関係で言えば、JALが年々積極的に、AFとのコードシェア便へ顧客を誘導しているようです。私もJALHND-CDGを予約、羽田国際化に伴うダイヤ変更でAFに振替えられました。「いつもAFだから、たまにはJAL」も潰えたわけです。ところが羽田発のAF便、十分な日本語を話すフランス人クルーが大部分で、機長は挨拶全文を仏日英で行っていました。サービスもAFの単独運航便とは別物で、日本に適応したものでした。これには少なからず驚きました。

 

(2)特典航空券は取りやすく感じます。しかし、これはほぼ論理的な帰結です。

 

特典航空券の提供はFFPの要ですが、どのFFPが有利か調べる場合、3つの観点から考えなくてはなりません。

①搭乗で多くのマイルがたまる

②特典航空券交換に必要なマイルが少ない

③交換希望者数と比べて特典航空券枠が大きい

この①~③は等しく重要ですが、宣伝されるのは①と②で、③は表に出てくることがありません。FFPを選ぶ時、判断材料にすることができません。航空会社が①と②で美味しい話をしておいて、実はほとんど枠がないということはよく起きているようです。

 AF-KLMは三大航空連合の一つを牽引していく立場にあるため、上記の①~③を総合した時、バランスが取れていないとまずいはずです。Flying Blueでは、割引航空券ではマイルが少ししか積算されません。一方で特典航空券に必要なマイルは多めです。したがって、特典航空券を利用する人が少なくなり、予約は簡単にとれます。

 10月末に年末年始の東京ーパリ便の状況を見たら、ビジネスでほとんどの日が取れる状態でした。ファーストだと取れない日はなかったはずです。②で有利な日本の航空会社では考えられない状況です。GWとか年末は競争ですから。

 Flying Blueにはマイルに期限がありません。正確には20か月に一度SkyTeam各社の搭乗でマイルが積算されると、全マイルの期限が20か月延長されます。ゆっくり貯めればよいのです。見えにくい部分を評価すると、マイレージの部分も他のFFPに比べて不利というわけではありません。

 

(3)ヨーロッパ系の特徴ですが、会員レベルを気にしなくて良いことも長所です。すべてが気楽なのです。会員タグもデザインが手荷物と合えば付けるし、合わなければ付けない程度のものです。付けていても周囲の人たちは気にしません。

 

ORYでBA便を待っている時、Miles & MoreのFrequent Travellerのタグを付けた女性がいましたが、こういうのはなかなか愉快です。ゲートを間違ったのかと思いました。

 

アメリカでは、会員種別に従った振舞いが期待されているような圧力を感じます。特に空港ではそうです。ステータスに沿った行動はスタッフへの協力であり、航空システム全体が機能することに貢献します。あの優先搭乗の複雑さは何なのでしょうか?問題は混雑し過ぎに違いありません。秩序のためとはいえ、常に会員レベルがついて回るのは鬱陶しく感じます。

 

会員タグについて言えば、もう少し立派な会員タグをつくってくれないかと思います。他社も同じですが、積極的に使いたくなるようなタグではありません。

 スーツケースも出したことだし、荷物タグ用の革製ケース(Ivory 会員のカードデザインのタグ入りで、他のレベルの会員タグと交換可能)なんかあると有料でも売れると思うのですが。それが出るまでは、WorldShopで購入したLufthansaの荷物タグを利用させてもらいます。