PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

オフショアFFP

マイレージプログラム(FFP)は、多大な搭乗に報いる無料航空券の提供が起源です。今でもそれが中心的な機能には違いないのですが、会員の実績の指標に過ぎないマイルが流通するようになり、すっかり事情が変わっています。

・マイルを貯める

・マイルを使う

は一体だったのですが、他業種の会社との提携により、搭乗しなくてもマイルは手に入りますし、事もあろうか航空会社自身がマイルを販売しています。

 今日では、ある航空会社のFFPにアカウントを開設、他所からポイントを大量に移して、素早く別の航空会社の予約を行うことが可能になっています。この仕手戦におけるオフショア口座のような使い方は、FFP本来の目的からかけ離れていますが、航空会社が多くの原因を作っているので、遠慮せず実行してかまわないと思います。

 人によっては大いに活用している、そんなFFPの使い方の話です。

 

(1)リザバー

 

マイレージにはロング・ポジション(?)しかありません。したがってFFPに移行可能なタネのリザバーが必要ですが、代表的なものにクレジットカードのアカウントがあります。American ExpressとDinersは有名です。その他、ホテルの会員プログラムがあります。利用に応じて無料宿泊に使えるポイントが加算されることが、表向きの機能ですが、航空会社と提携を進めた結果、マイルの大きな供給源になっています。

 国際的なホテルチェーンは航空会社のFFPと派手に提携をしていて、そのポイントは流動性が高くなっています。(2)以降で取り上げるFFPへの移行可能性をざっと見ると、以下の表のようになります。

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(14Dec.2014追記) IHGからKrisFlyerへはポイントを移行できます。この箇所、訂正します。なおKrisFlyerはここでのテーマと少しずれますが、都合上入れてあります。

 

Amexは、日本で発行されているSky Traveler Premierカードが強力です。Dinersの提携先も見劣りしません。ホテルチェーンではSPGの提携先が広いのですが、他のホテルもまずまずで、好きなチェーンを選ぶと良いと思います。提携先や条件は時々変わります。

 FFP毎に見ると、British Airways の提携先は多いことがわかります。Singapore AirlinesのKrisFlyerも優れています。IHG以外はOKです。反面、中華航空のDynasty Flyerへは、Amexからしか落とせません。

 

(2)オフショアFFP

 

チェックする内容は、次の2点。

「必要マイル数が少ない」

「予約が取りやすい」

です。

細かい条件としてサーチャージの有無とか、予約変更の条件とか、片道発券可能性とかいろいろあるのですが、複雑になるため省略します。

 

顧客サービスの評判とか、上級会員への到達条件とかは全然関係ありません。就航路線すら知る必要がありません。提携航空会社や所属する航空連合は知っておくと良いでしょう。ただ、提携先は広くないとリザバーが使えないため、どうしても大きな航空会社のFFPが対象になります。

 

ポイントからマイルへの変換率がFFPによって異なる場合があるので、注意が必要です。例えば、SPG1pointはほとんどのFFPで1milesに変換されますが、United Airlinesでは2 points が1 mileです。
 

予約のとりやすさは、口コミに頼るしかないのですが、予約に必要なマイルは簡単に調べられます。日本路線で、必要マイル数が少ないと私が感じるのは次の通り。

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日本からの往復に必要なマイルです。AAとBAは半分のマイルで片道発券可能なはずです。

 

ACのAeroplanを利用した日本ー東南アジアビジネスクラス(やファーストクラス)の利用は良く知られています。ACはこの区間に自社運航便を持たず、搭乗はスターアライアンス各社になります。

 BAのExecutive Clubを利用したJAL国内線での東京ー北海道、東京ー九州もお得です。AAdvantageを利用、QR, RJ, EYでカイロまでビジネスクラスで往復、ヨーロッパ旅行の一部に繰り込むのも、面白いと思います。

 

Aeroplanは年に2回、ホテルポイントをマイルに変換する時、conversion bonusが付く期間があります。少し前にもあったのですが、SPGからのポイント移行は11月初めにAeroplanのアカウントに記録されたのに対し、bonusは12月初めに加算されました。この時間差には注意が必要です。

 

(3)やり方

 

リザバーにある程度ポイントがあることが前提条件です。

 FFPのアカウントを開きます。口座維持手数料は取られないので、利用可能性のあるものは開いておいていいと思います。アカウントとパスワードを忘れないようにくれぐれも注意します。

 

まずは搭乗する区間や航空会社、キャビンクラスの予約可能性を探ります。これはFFPアカウントから調べます。ポイントを移行する場合、2~4週間程度必要なので、周辺の月日や似たような条件(連休だとか、GWだとか)でどのような状況になっているか、リサーチをしておく必要があります。

 供給される航空会社の便とかキャビンクラスは、季節程度の単位で変動します。ターゲットの予約が簡単そうだったら、思い切り良くポイントを移します。FFPの口座にマイルが確認できたら、さっさと予約を取ってしまいます。

 FFPの制度は時々変わります。FFP→無料航空券の段階が突然悪くなることは多いのですが、クレカ→FFPやホテルポイント→FFPの変化は穏やかです。したがって、FFPアカウントにマイルを置いておく方がリスクが大きい気がします。

 

なお、リザバーのアカウントではポイントの、FFPアカウントではマイルの購入ができるところが多いので、足りなければ購入という手段もあります。普通、購入上限があります。

 

(4)別の効用

 

ファーストクラスの体験に向いています。

 

ファーストクラスの運用航空会社は、自社FFP会員にしか無料航空券を開放していないケースが多いのです。マイルを貯めるなんて面倒!という向きには、ポイント移行が便利です。例えばSingapore Airlinesも、KrisFlyer会員にしか開放していないようですが、SQに搭乗しなくてもポイントは落とせます。しかもKrisFlyerでは片道予約が可能で、NRT-SINのスィートクラスに必要なマイルは51,000 miles(片道)に過ぎません。これはFFPと航空会社が一致しており、「オフショア」ではありませんが、雰囲気は同じです。

このマイルに必要なポイントをFlying Blueに落としたら、日本―ホノルルのエコノミー片道になります。わざわざ効率の悪い例と比較しましたが、同じポイントでもずいぶん使い勝手が違うものです。

 

NRT-SINの片道はLCCを使っても良いし、別のFFPの無料航空券片道でも良いわけです。エコノミーは席の供給が安定しているので、無料航空券も取りやすいはずです。

 

LHは搭乗日が近いファーストの空席を、他のFFPにも開放しているようです。Star Allianceの盟主の矜恃ですね。Miles & MoreよりもAeroplanでとる方がマイルは少なくて済むので、長めの休暇に旅行の予約を入れていない時など、2週間ぐらい前からAeroplanでチェックすると良いと思います。私がざっと調べた限りでは、LH(とNH)の空き席は相当出てきます。こういう方法で、ファーストを狙う人は多くないようです。

AAdvantageを使ってEtihadのファーストでカイロに行くのも、興味深い体験になりそうです。可能かどうか調べてみないとわかりません。片道45,000 milesです。CAIはSINより遙かに遠いものの、SQのファーストでシンガポールへ行くより、必要マイルが少ないことは注目されます。