多くのキャリアと同じく、中華航空(CI)も搭乗マイルを基準に、予約クラスや会員種別による係数を乗じてFFPマイルを計算しています。ところが搭乗距離 1 mileあたりの航空券価格が11 JPY程度になることが多いので、支払金額基準を導入したDLのSkyMilesとの比較が可能になってしまいました。その比較では驚いたことに、Dynasty Clubの一般会員は、SkyMilesの最上級会員と同じマイル加算を受けることがわかりました。
もちろん積算マイルが大きくても、特典で要求されるマイルが大きいとか、特典がほとんど取れないとかでは意味がありません。そこでDynasty Flyerの内容を少し調べてみます。
(2) Dynasty Flyer
前の記事に書いたようにエコノミーフレックスの航空券価格は、中長距離では飛行距離でほぼ決まり、1 milesあたり9 - 12 JPYになります。これがFFPマイルとなります。東南アジア便でビジネスを使うと、FFPマイルは15 %とか25 %のボーナスがつきますが、この割合は大きく変わりません。
会員種別ボーナスは、一般、Gold、Emerald会員には存在せず、Paragon会員では20 %つきます。Paragon会員昇格時にも10,000 milesのボーナスマイルが積算されます。あまり大したことはありません。
往復の特典航空券に必要なマイルは以下のとおりです。
短距離(アジア内) economy: 35,000 miles
premium eco: 40,000 miles
business: 50,000 miles
first class: 90,000 miles
長距離 economy: 100,000 miles または 140,000 miles
premium eco: 110,000 miles または 160,000 miles
business: 135,000 miles または 175,000 miles
first class: 150,000 miles または 190,000 miles
長距離の場合、年月日によって必要マイルが異なります。
これらはDLのSkyMilesでの必要マイルより少ないことは明らかです。例えば
NRT-BKK/SIN economy: 45,000 ~ 90,000 miles
business: 80,000 ~ 180,000 miles
NRT-北米 economy: 70,000 ~ 150,000 miles
business: 140,000 miles ~ 325,000 miles
一般会員の場合、CIに搭乗してDynasty Flyerに積算すると、DLに搭乗してSkyMilesに積算する場合に比べて、3倍から4倍は有利になりそうです。
DLは、日本在住の顧客向けにGold会員資格が付帯するクレジットカードを発行していますが、Gold会員になったところでマイル積算は一般会員の1.6倍。Dynasty Flyer一般会員がCIに搭乗する場合にも及びません。
このようにDynasty Flyerは有利なFFPになっていますが、いくつか欠点もあります。
・FFPマイルは譲渡不可(特典航空券は譲渡可)
・FFPマイルは購入不可
・FFPマイルの期限は搭乗後36ヶ月
・FFPマイルへ変換できるポイントプログラムがたぶん無い
ので、マイルインフレも起きにくい(注1)でしょうが、JALやANA並みに融通が利かない感じがします。せっせ、せっせとCIに搭乗すれば、JALやANAより早く無料航空券を得られるでしょう。
注1:無料航空券の提供座席数が同じなら、予約がとりやすいことを意味します。SPGもIHGもDynasty Flyerにはポイントを移せません。American ExpressのSkyTraveler Cardからは移行できます。
なお蛇足ながら、Dynasty Flyerはやや上級会員になりやすいFFPです。年間の積算マイル、first, businessの搭乗回数、SkyTeamの有効搭乗回数は以下のとおり。
Gold会員 Emerald会員 Paragon会員
資格マイル数 30,000 50,000 120,000
FやCの搭乗回数 10 30 50
SkyTeam有効搭乗回数 20 40 80
Gold会員はSkyTeam Elite会員。Emerald会員以上がElite Plus会員です。CIのほぼ全ての便が国際線ですので、回数基準はこんなものでしょうが、資格マイルは獲得しやすいので、上級会員になるのは楽だろうと想像します。