Delta航空(DL)は、Sky○○○○という名称のサービスを数多く提供しています。
Sky Magazine(機内誌)
Sky Club(ラウンジ)
SkyMiles(マイレージプログラム)
SkyBonus(法人向けサービス)
と言う具合です。
さらに DLがAir France(AF)などと創設した航空連合は、SkyTeam。そこで統合された優先サービスはSky Priority。DLの命名法を踏襲しています。SkyTeam内での勢力を象徴するような事実です。
Atlantaの顧客にしてみれば、SkyTeam、Sky PriorityはDLのサービスの国際版に見えるでしょう。Atlanta-centrismと言うべきか、コカコーラ帝国主義と言うべきかよくわかりませんが、顧客がそういう世界観を持つことは、DLにとって好都合です。SkyMilesを見捨て、SkyTeam内の他のFFPへ移ることを防ぐでしょう。
しかし90,000,000人以上いる会員のうち、70,000,000人がアジアに住んでいるそうですから、それほど単純な話ではありません。航空券収入の大部分はアメリカ在住会員で、そこをコントロールできれば「株主が黙る」というのが、案外当たっているのかもしれません。
利用してみると、DLはとても優れていると思います。ただ北米をうろうろすることが多いのでなければ、SkyMiles会員である必要はありません。アジアの客としては、提携会社のFFPで十分なわけです。
そういうわけで、Flying Blueを立てて比較です。
(3) SkyMiles vs. Flying Blue:マイル加算の実例
DLが強いNaritaーAtlanta往復から調べます。この路線を運航するのはDLだけです。9月の適当な日を指定すると、予約クラスTでは、94,140 JPY(785 USD)という料金が見つかりました。この場合、Flying Blue(FB)とSkyMiles(SM)で加算されるマイルは以下の通り。
NRT-ATL (T)
FB: Ivory 3,425; Silver 5,138; Gold 5,993; Platinum 6,850
SM: General 3,975; Silver 5,495; Gold 6,280; Platinum 7,065; Diamond 8,635
FBでは25 %の加算率です。会員種別により程度の差がありますが、拮抗という評価になると思います。同じ便を予約クラスLで購入すると、126,140 JPY(1,051 USD)で、マイルの方は
NRT-ATL (L)
FB: Ivory 6,850; Silver 10,276; Gold 11,986; Platinum 13,700
SM: General 5,255; Silver 7,357; Gold 8,408; Platinum 9,459; Diamond 11,561
FBでは50 %加算で、マイルは2倍になりました。TとLでは航空券価格の違いは2倍にはならないので、FBがかなり有利になります。さらに予約クラスHでは、170,140 JPY(1,418 USD)とお高くなりますが、
NRT-ATL (H)
FB: Ivory 10,275; Silver 15,414; Gold 17,973; Platinum 20,550
SM: General 7,090; Silver 9,926; Gold 11,344; Platinum 12,762; Diamond 15,598
と差が広がります。FBで75%加算ですならね。ところがビジネス割引運賃(予約クラスD)は、価格が強気の626,140 JPY(5,218 USD)。これだけ高いとSMは息を吹き返します。
NRT-ATL (D)
FB: Ivory 20,550; Silver 30,828; Gold 35,946; Platinum 41,100
SM: General 26,090; Silver 36,526; Gold 41,744; Platinum 57,398; Diamond 57,398
FBでの加算率は150 %ですが、さすがにここまで航空券が高いとSMが優勢です。
競合相手の多いNaritaーNew Yorkでは、航空券はこんなに高くなりません。同じ時期のビジネス(予約クラスZ)でも、381,140 JPY(3,176 USD)。SMはやや分が悪くなります。
NRT-JFK (Z)
FB: Ivory 16,862; Silver 25,293; Gold 29,508; Platinum 33,724
SM: General 15,880; Silver 22,232; Gold 25,408; Platinum 28,584; Diamond 34,936
FBでの加算率は150 %です。
さらに国内線になる大陸横断便ファーストクラスを調べてみます。Seattle-Atlanta往復、Pクラスでは1,248 USDという料金が見つかりました。この場合、FBでは200 %加算になります。
SEA-ATL (P)
FB: Ivory 8,728; Silver 13,092; Gold 15,274; Platinum 17,456
SM: General 6,240; Silver 8,736; Gold 9,984; Platinum 11,232; Diamond 13,728
SeattleもAtlantaもDLの巣、強気な値付けだろうと思ったのですが、そうでもありません。その結果、FBが有利になります。
日本の人気路線、NaritaーHonolulu便。予約クラスU、87,140 JPY(726 USD)という航空券がありました。この場合、FBでは25%という加算率です。
NRT-HNL (U)
FB: Ivory 1,909; Silver 2,864; Gold 3,340; Platinum 3,818
SM: General 3,630; Silver 5,082; Gold 5,808; Platinum 6,534; Diamond 7,986
距離も大したことないので、FBでは搭乗記念ぐらいのマイルしか得られません。調べた中では、この場合がもっともSM有利でした。(註1)
この路線はビジネスクラスがそんなに高くありません。予約クラスがDだと、状況が逆転まで変わります。価格は262,140 JPY(2,185 USD)。
NRT-HNL (D)
FB: Ivory 11,457; Silver 17,185; Gold 20,049; Platinum 22,914
SM: General 10,925; Silver 15,295; Gold 17,480; Platinum 19,665; Diamond 24,035
FBでは150 %加算です。
エコノミーが高く、ビジネスが安いのはレジャー路線の特徴。レジャー路線では、エコノミーだとSM、ビジネスだとFBは法則としましょう。
(註1)もしMille Migliaにマイルを入れるとFBの倍ですから、SMには勝ち目がありません。(後述)
南米は北米経由、欧州経由、中東経由のどの経路でもそれほど距離が変わりません。就航路線が多い都市だと、距離の割りに航空券が安くなります。FB有利は明らかですが、どこまで差が広がるか見てみます。NaritaーRio de Janeiroですが、DLだとNRT-JFK-ATL-GIGという経路が普通に提案されます。予約クラスHで調べてみると、247,070 JPY(2,059 USD)などとなります。
NRT-JFK-ATL-GIG (H)
FB: Ivory 18,361; Silver 27,542; Gold 32,132; Platinum 36,723
SM: General 10,295; Silver 14,413; Gold 16,472; Platinum 18,531; Diamond 22,649
FBでは75%のマイル加算率ですが、SMの2倍近いマイルが貯まります。
ビジネスクラスと国内ファーストの利用だと、予約クラスI, P, Iという組合せになり、982,070 JPY(8,184 USD)という運賃になります。割引エコノミーの4倍(格安エコノミーの5倍)の料金になるので、かなり高い路線になります。
NRT-JFK-ATL-GIG (I, P, I)
FB: Ivory 37,483; Silver 56,224; Gold 65,595; Platinum 74,966
SM: General 40,920; Silver 57,288; Gold 65,472; Platinum 73,656; Diamond 90,024?
それでもFBとSMは拮抗します。Diamond Medallion会員でこんな大きなマイルが加算されるかどうかわかりません。
(4) まとめ
航空券が非常に高い場合や、人気のある路線の格安エコノミーを除くと、Flying Blueが有利なのでした。
ちなみにAlitalia のMille Migliaだと、Flying Blueで25%加算のところでも50%加算されます。したがって、エコノミークラスを利用する限り、SkyMilesの方が有利になることはないでしょう。またマイルを使う場合でもMille Migliaは、SkyMilesはおろか、Flying Blueに比べても有利です。Alitaliaはこの2社に比べると路線網に難があるのですが、日本には例外的に就航しています。Mille Migliaは、SkyTeamで最強のFFPかもしれません。個人的には、イタリア語がわからないこと、マイルに期限があること、欧州内での航空券がやや高いことから、Flying Blueの代わりにMille Migliaという選択はありませんが、SkyMilesとの二択なら、断然Mille Migliaになっているでしょう。