PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

Avios Travel Rewards Programme(その2)

Avios Travel Rewards Programme(ATRP)は英国版と南アフリカ版にしか存在しません。トップページはこんな感じです。

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ここでAbout usを見てみると、「あなたの毎日をフライトや旅のリワードに変える」とあります。どんなポイントプログラムでも使われている文句です。しかしその下に書いてある内容は、かなり重要でした。

 

”Avios can be collected through the Avios Travel Rewards Programme, British Airways Executive Club and Iberia Plus, and you can combine your Avios from all these accounts.”

 

Aviosはプログラム間で移行可能なのでした。この場合、より多くのAviosが獲得できるプログラムで獲得し、より少ないAviosで利用できるプログラムを利用することになります。そんなことはわかりきっているはずなので、客に有利な条件で統合されたも同然です。

 

ATRPを中心に物事を考えると、BAやIBはAviosを貯めたり、リワードを使う手段という位置づけになります。そういう立場でAviosを得る方法を見てみると、BAのExecutive Clubと大きく異なることがわかります。

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・フライトではBA, IBとBEしか示されていません。例えばBAを選んでクリックすると、BA便が予約可能なページが現れます。BAのページではありません。avios.com専用のページです。IBやBEでも同じことです。デザインが統一されています。どれだけのAviosが得られるかについて、少し丁寧に説明されています。

・デザインの統一性は、航空会社に限りません。ホテルの予約、テスコ、空港駐車場、クレジットカードなど、全ての商品についても同じことです。つまり、旅行代理店+ポイント仲介業者のような団体になっています。例えばBA便の予約ページは、

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これがRocketmilesのホテル予約ページだと

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・avios.comで扱っている商品は、Executive Clubの提携先とは異なります。一部は共通しています。共通している場合、得られるAviosや条件は同じはずです。

 

一方、Aviosが利用できる商品は以下のとおり。

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・フライトやホテルだけではなく、フェリーだとか、ディズニーランドパリなどもあります。

・AviosでBAの航空券の支払いの一部にするという、Executive Clubでは良く知られた方法も使えます。

・商品は、旅行を中心に多岐に渡っています。Executive ClubでAviosの利用法が特典航空券、Upgrade、航空券購入の支払いの一部に限られてしまっていることと対照的です。例えば航空券購入を選ぶと次のようなページが現れます。

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ユーザーIDがないと検索できないので、ここで止めておきましたが、共通のプラットホームという思想は徹底しているようです。ホテルの予約あるいは、フライト+ホテルの予約でも同じ形式のページが現れます。

 

豪華列車の旅とか、West Endのチケット、アフタヌーンティーの予約、各種クルーズでの利用などもあります。クルーズ会社は12も現れます。総合旅行代理店のような勢いです。

 

そもそもExecutive Clubでは年間35,000 Aviosは購入可能ですし、時々キャンペーンも行っています。たとえば今なら、購入したAviosに最大25%のボーナスがつきます。(先日のメール。結局43,750 Aviosまで買える。6月11日まで。)avios.comのおかげで、利用の範囲が広がっています。利用の仕方では安上がりな旅行が出来るはずです。

 

今後どういう形でavios.comが発展するか、BAが何を考えているのかわかりません。利用状況にもよっても変わってくるでしょう。しかしBAが新しい事業の柱にしよう考えていることはほぼ間違いなさそうです。

 

世界的に見てマイレージプログラム(FFP)が曲がり角に来ているのは、間違いないと思います。ACのAeroplanのように、ホテルチェーンのプログラムからのポイント移行に重点を置いているFFPもあります。「マイル転がし」で利潤を得ているようですが、ACから独立性が高いためか、独自事業が必要とされているようです。ATRPも似た性格を持つと思います。

 LHとAFのとる方策は、航空会社間のFFP共通化です。前者のMiles & Moreは、大ドイツ圏の航空会社と周辺国の小さな航空会社のプログラムになっていますが、後者のFlying Blueに参加する航空会社は、KLM, Tarom, Air Europa, Kenya Airways, Aircalinと世界中に散らばっています。

 アメリカの航空会社のうち、FFPの創始者AAは古典的な立場のままですが、DLとUAは航空券購入金額ベースでマイルを換算します。特典航空券も金額ベースになるかもしれません。

 

これら3つの流れ以外にも動きがあるかどうか、私は良く知りませんが、どれが主流になるというほど単純な問題でもありません。というのは、マイルの流動性が上がると仮想通貨と同じことになり、どうしても税金の問題が出てきます。税制やその背後にある考え方が国によって大きく異なるので、国の政策にも競争が左右されます。そして航空会社は自分の利益に反するマイルの使われ方を排除するよう、神経質になっているようです。

 消費者としてはFFPの考え方を汲み取り、気をつける時代になっているようです。さしあたって、次のことは言えそうです。

・独立性が高いavios.comやAeroplanでは、ポイント移行やマイル購入に積極的。

FFP共通化を進めるM&MやFBでは、搭乗が基本であり、自分たちが管理しにくい外部からのポイント移行には消極的。

・金額ベースのFFPを持つ航空会社が相手の場合、とにかく金を使うことが大切。

 

マイル加算率や、特典に必要なマイル数という数字だけでFFPの優劣を測る時代ではなくなったようです。