PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

アエロプランの改悪とリスク分散の重要性

エアカナダのAeroplanの改悪が発表され、あちこちで悲鳴が聞こえる話題になっているようです。

 

このマイレージプログラム(FFP)、日本在住者には特異的に有利でした。無料航空券への交換で、バンコクシンガポールへのビジネスクラス往復が30,000 miles、ファーストクラス往復が50,000 milesと必要マイルが圧倒的に少なかったのです。

 

それに加え、多くの顧客プログラムのポイントをアエロプランへ移行することができます。Aeroplanへのポイントーマイル変換では、年に2-3回ボーナスが付く期間があります。これを利用すると高還元率が達成できます。

 SPGアメックスカードは、クレジットカードとしての利用で100円=1ポイントです。SPG独自の制度があり、ポイント変換で20,000 ptsごとにボーナスが5,000 pts加わります。この膨らんだ数字に対してAeroplanの変換ボーナスキャンペーンが利用できます。このキャンペーン中にSPGの40,000ポイントをAeroplanに移行したら、60,000 milesになります。100円の買い物が1.5 milesになったのです。1 USDに換算すると1.8 milesですから、かなり還元率の高い組合せです。

 

SPG→Aeroplanを一つの商品としてみると、Deltaにしろ、SPGにしろ、アメックスが係わるとマイルインフレを起こし、FFP改悪がそれに続くようです。ジンクスなのか、因果があるのか、微妙なところですし、FFP側に意図があったのかどうかもわかりません。しかし今後の教訓にしないといけないようです。

 

この2つの特徴のため、Aeroplanに入会しても搭乗マイルを加算せず、SPGと合わせてポイントーマイルを転がしていた人が多かったと思います。制度的に可能なのですから、是非をどうこう言うような話ではありません。

 

12月以降の改定では、この部分が徹底的に締め上げられます。日本からの特典往復航空券の交換に必要なマイルを現在(上)と12月以降(下)で比較してみます。

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数字の変更だけではなく、タイやシンガポールベトナムなどはAsia 1からAsia 2に変わります。必要マイルの増大は、CとFで2.6倍程度。これは稀に見る激しさです。積算・購入によるポイントをAeroplanマイルに変換、CやFでタイ、シンガポールへ旅行するという、賢い消費者は殲滅させられるのでした。日本-HawaiiのPY、Cもかなりの増大です。JFKLHRよりHonoluluに行く方が、多くのマイルを必要とするというのは異常です。日本を含む東アジアの人気路線が狙い撃ちされたのは、ほぼ間違いありません。

 

日本語でAeroplanが語られることが、ほとんど無くなるのではないかと思います。

 

常識的に言えば、今Aeroplanのアカウントにあるマイルは全て12月14日以前に無料航空券の予約に換え、その後アカウントの閉鎖も止むなしとなるでしょう。私は40,000 milesと中途半端なマイル残高なのですが、どうしましょうか。

 

良くなる点もあります。今までは北米発の便でしかできなかった、半分のマイルによる片道発券が、どこからでも可能になります。いくら外部プログラムからの派手にポイント移行しても、長距離ファーストクラス往復分を貯めるのは大変。(日本-欧州往復で145,000 milesですから。)片道なら改定後でも105,000 ~ 110,000 milesです。私もこのぐらいの残高になら、意図せず突破したことがあります。

 

上表をよく見ると、長距離便での増加は穏やかであることがわかります。それではと、もっと長距離を見てみます。再び必要なマイルを現在(上)と12月以降(下)で比較してみます。

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なんとアフリカは大きく減っています。予約すると欧州経由がよく出ますが、この場合(日本-欧州) 往復+ (欧州-アフリカ)往復であることを考えると、Cで90,000+90,000、Fで125,000+125,000は悪くありません。

 

明らかに有利になったアフリカ往復を除いても、長距離便の片道利用は悪くなったとは言えません。

 Aeroplanで片道を決めた場合、残る片道は以下のようになるでしょう。

・他のFFPの特典片道航空券

・現地発で日本を目的地とした航空券を買い、何度か往復

LCCを利用するには遠いので、こういう方法で日本に戻ることになります。

 

日本在住者は、ポイント・マイル転がしに使っている人がほとんどだったはず。するとメインに貯めてるFFPが他にあるわけです。そのFFPによる片道発券と組合せが可能になる点を考えれば、今回の改定の評価も変わります。つまり、

・多くのFFPでマイルを貯めている

・旅行先が多様である

という人なら、欧州、アフリカには行きやすくなります。なぜなら、他に貯めているFFPで往復Fは無理でも片道ならOKということは多いはずだからです。Aeroplanのマイルで他のFFPのマイルの利用価値を上げることができます。

 

これは今回に限らず、どんなFFPの制度改定でも当てはまると思います。改良点は必ず見つかります。昨今のDeltaやBAの改定でも、無料航空券が取りやすくなったとか、暦によってはエコノミーの必要マイルが減ったとかを指摘することができます。こうした改良点を利するためには、普段から複数FFPと旅先の多様性を保つことが必要なのでした。

 陸マイラーは一つのFFPに集中してポイントをため、有償搭乗しないところが強みで、うらやましい効率の良さを発揮するのですが、そのFFPがAeroplanだったら今回の改定は厳しいものになったでしょう。ある環境に最適化して成長すると環境の変化に対して脆弱になるという法則は、経営学生態学ばかりではなくFFPでも成り立つのでした。リスク分散が必要なのでした。

 

こういうことを考慮すると、中途半端に続けているようなFFPも存在意義があります。私もエーゲ航空のMiles+Bonusは続けた方が良いのでしょう。 ちなみに、このFFPも片道発券OKです。

 

今後、Aeroplanでも片道発券が許されるので、世界一周が簡単になります。私はこのことに関心があります。日本ー北米1都市ー欧州1都市ー日本の3航空券では、Cで 205,000 miles、Fで280,000 milesにしかなりません。 NRT-LAX-LHR-NRTという経路をExecutive Clubで取るなら、Cで240,000 miles、Fで320,000 milesになります。多分これが最小マイルになります。Aeroplanの場合は直行便が無い都市、例えばMKEとDRSを選んでも必要マイルは変わりませんが、Executive Clubの場合は、便ごとにマイル交換するので数万マイル単位で差が広がります。