Air Franceは、Paris-Ljubljana(リュブリャナ)便を毎日1便しか持っていません。それがLjubljana空港唯一のパリ定期便。Sloveniaの首都ですが、不思議なぐらい人の交流がありません。
市内から空港はすぐです。距離がそれほど大きくない上、道が空いています。自動車の数に対して恵まれた道路整備は、EUのおかげでしょう。ちなみにTAXIはドイツ並みにMercedes、BMWばかり。料金もドイツ並み。
生気が無い運転手でしたが、巡航速度150 kmのBMW X5。ドイツ車は道が空いていると水を得た魚。大変快適な移動でした。
本当に小さなターミナル。出発ホールへの入口はここだけです。
3つに分別収集しているゴミ箱が並び、両側に自動ドア。親しみやすいというか、公民館の入口のようです。入ると出発ホールの中央付近。正面に近々出発する便のチェックインカウンターの位置が示されています。
これは親切心から。この掲示はなくてもホールをぐるりと見渡せば、全部の窓口が見渡せます。13しかありません。10:15がチェックイン開始。早く着いても、時間をつぶす施設がありません。
この掲示の向こう側、つまり建物中央奥はレストランへの入口です。
通路は外につながっていますが、滑走路がある制限区域です。そこを通過できるのはクルーや空港職員だけ。レストランの入口は通路左手、トイレの入口を通過した後にあります。
レストラン入り口通路の上壁には、到着便と出発便の掲示板があります。
旅客ターミナルはひとつしか無いので、この空港の発着全便がここに表示されます。たいした数ではありません。この下には、航空券販売窓口が並びます。チェックインカウンターは建物入口側です。空港に到着した人は、ホールを横切り、航空券を購入し、180度回転してチェックインカウンターへ戻り、ホール両サイドのセキュリティに向かいます。
この空港で一番大きな顔をしているのは、Adria Airways。保有機材11と小さな航空会社ですが、Star Allianceに加盟しています。Croatia Airlinesと同時加盟ですが、共に地域輸送が中心のナショナルフラッグキャリア、マイレージプログラムはMiles & More。おそらくはLHの後ろ盾のおかげで発展している点など、2社はよく似ています。似た者同士で隣国。OUとJPは協力関係にあるのか、競争関係にあるのか、はたまたライバル意識があるのかどうかまではわかりません。
天井には大きな飛行機の模型が。
AFのパリ便も時間通りにチェックインが始まりますが、すでに列ができています。10分ほどするとSky Priorityのカウンターが開いたので、そちらでさっさとチェックインを済ませてしまいます。
大陸からお越しの中国人個人旅行客が8人ほど私の後に並びます。ここはAir Franceの列かと尋ねられました。こんなところにも個人旅行客がいるとは、強烈な旅行熱+膨大な人民の数です。
彼らは人を捕まえてモノを訊く時、「你好」と声をかけますね。これは悪くありません。
滑走路の方を向いて、右が出国審査なし、左がありの入口です。セキュリティにも優先レーンがありましたが、混んでいないので機能していません。
セキュリティ後、まっすぐ進むとゲートが並ぶ待合ホール(gates 3-8)。左は免税店。到着ホールにある店と構造がほとんど同じで、置いてある品もほとんど同じ。ラウンジはレジのすぐ後にありますが、免税店は完全にスキップできます。ホール(gates 9-13)は上階にもあります。
チェックインの時「小さなラウンジですが、使ってください」と言われたとおり、ごくごく小さいラウンジ。利用者が少ないので、問題ありません。
インテリアのデザインは考えた感じがするものの、家具自体は安物。Wifiは良好とは言いかねます。
アメリカンサイズのcroissant。このサイズだと、どこにバターを使ったのかわからないような代物が多いのですが、ここでも例外ではありません。手前はStrudelです。私の知っているものと微妙に違います。カプチーノのミルクが良かったのでした。
他にサラダやフルーツもあります。朝食を取るには十分です。
Sloveniaのワインが赤と白、1種ずつおいてありました。赤のラベルに魅かれ、朝から味見。ラベルはスロベニア語なので、印象で勝負!
品種はLembergerに違いありません。たぶんModra Frankinja=Blaufränkischでしょう。酸が非常に強力、それに釣合うタンニンがあります。アロマは地味ですが、すっきり出ていて、ボディは貧弱。印象深いワインです。現在主流である果実とアルコールの膨らみを強調するつくりとは、真逆のつくり。この品種の素朴さと力強さが味わえます。高品質と見なされることはないでしょうから、値段が高いはずありません。免税店に戻って探してみたのですが、残念ながらありません。こういうところが、まだまだ資本主義を理解していないというか、甘いと思います。
スロベニアは歴史が長いワイン産地ですが、流通網の発展が決定的に遅れており、新世界のワインですら世界市場を形成している現在において、アジアの新興国のワインとあまり変わりません。売り方も少し考えた方が良いと思います。
白は試していません。
落胆の末、免税店を出て、ゲートがある2階に上ると、当然Adria Airwaysが目に飛び込みます。空港の周りの植樹もしっかりしてます。
2階の待合ホールでは、こんなコーヒースタンドも。
1991年にユーゴスラビアから独立、2004年にEU加盟。2007年にEuroを導入。社会主義国家の残した良い点はそのまま生かし、資本主義へ転換するという理想の下、かなり頑張ってきた気がします。この国は。
Lembergerが気になって仕方ないので、代用品を後日ワインショップで探し出し、購入。
もちろん代用品と言っては失礼で、評判が良いPfalzの生産者の手によるものです。中身は(残念ながら、)バランスが良く、今日受けするスタイルでした。アルコールも14%。売れるワインを造るのはプロとしては当然ですが、このマイナー品種で成功したBurgenlandなどのスタイルをお手本にすることはないと思います。グローバル化の悪しき副作用です。