10月5日の事件については、多くのメディアによって書き立てられましたが、その3日前にLe Figaroは経営の状況に関する具体的な数字を報道していました。AFリストラへの援護射撃です。
Comment Air France s'est fait surclasser par British Airways et Lufthansa
数字が印象的だったので、紹介します。
ルフトハンザ、ブリティッシュエアウェイズ、KLM、イベリアという似たような経営環境にある会社と、状況を比較します。かつてはライバルと言ってよかったのですが、明らかに今は違います。環境の変化に着いて行くのが困難になっている生物種のような感じです。
しかし努力には濃淡が出ています。記事では全てグラフで紹介されていましたが、それを数字で。
2014年は赤字のAF。IBよりはずいぶんマシですが、記事ではそういう慰めは一切ありません。原因に9月のパイロットの大規模ストを上げているほどです。
よく見ると、黒字のLH, KLも利益が非常に低く、あまり良いとは言えません。
もっとも売上に対する利益の割合が10%を超えてくるDLとか、JLの方が例外(それぞれ理由を見つけられると思います。)なので、BAはまずまずがんばっています。
従業員数はもっとも大きく、過剰感が否めません。機材数、旅客数、就航空港数で規模を評価するとKLMの方が人員過剰ですが、どのみちこの2社は同じ経営です。機材数も大きいのですが、LHが突出しているので目立ちません。さらに就航のパターンにもよるので単純に多すぎとも言えません。
記事が一番攻撃していたのは、パイロットの待遇です。グラフは税引前月額報酬(ユーロ)です。
中距離線機長の税引前の報酬がチャンピオンです。(副操縦士でも6,250 euroとかなりのものです。)BAの2倍以上ですね。これが長距離路線だと、20,000 euroになり、A380の場合だと、22,000 euroにもなります。それで働く時間が少ないのは一目瞭然。グラフは年間飛行時間です。
近隣の会社に比べると超が付く厚遇ぶりです。こういう不公平感に対しては、非常にうるさいのがフランス。ねたみが強い国民性も相まって、客観的に数字を出して正当化できる場合、矛先が先鋭になります。
KLMは飛行時間が分かりませんが、経営は同じです。
もっともAFのA380の機長にしてみれば、搭乗客の数に給与が比例しないのは不公平と思っているかもしれません。
BAは、いけ好かないイギリスのナショナルフラッグキャリア。こんな会社を手本にするべきというトーン自体が、すでにレトリック。AFのイメージ(というかパイロットを中心とした労働者の評価)は、国内では底なしに悪くなっていくのでした。