PECHEDENFERのブログ

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ドイツ旅行、スイス旅行で気をつける法律

意外なことに、ドイツはフランスよりさらに平和で、危なげな法律があまり見つかりません。いろいろ探したところ、意外な交通規制がありました。

"In den deutschen Bundesländern Baden-Württemberg und Bayern dürfen am Gründonnerstag, am Karfreitag und am Ostersamstag beziehungsweise Ostersonntag sowie an allen anderen gesetzlichen Feiertagen ganztägig keine Tanzveranstaltungen durchgeführt werden.”

「ドイツの連邦構成国であるバーデン-ヴュルテンベルグバイエルンでは、聖木曜日、聖金曜日、復活祭土曜日、場合によっては復活祭日曜日、並びに法令で定められた他の全ての休日は全日を通して、舞踏会場内を乗り物で通り抜けてはならない。」

Baden-WürttembergとBayernをあわせると南ドイツ全域となります。「車でダンスホールの中を通過するのは止めましょう。」という当たり前のことが、書いてあるだけです。ごちゃごちゃ細かく指定して、正確な規制にしたい意図はわかりますが、fahrenが足を引っ張っています。自動車、飛行機はもちろん、自転車、スケボー、馬、ロバ、車椅子など、徒歩以外のたいていの方法が抵触してしまいます。大丈夫ですかね。身障者に対して。

それを別にしても、この規制は妙に笑えます。この文を読んで私が思い浮かべたのは、田舎町の集落から離れた空き地に作った特設会場で、民族衣装の地元民がビールを飲んだり、踊ったりしている姿です。絶え間なく地方音楽の生演奏が続き、集う人の多くは老人です。よそ者には一級の価値がありますが、彼らにしてみたら垢抜けない、古臭い田舎の光景です。

 

「釣竿を手にして泳いではならない」とか、「ヒトを釣ってはならない」などという法律はないようですが、ドイツではキャッチアンドリリースはできません。魚の生死にかかわらず川に捨てることができません。どうしてもドイツで釣りを行いたければ、釣った後のこともよく考えてから。

"In Deutschland ist es im gesamten Bundesgebiet verboten, gefangene Fische, die über dem Mindestmaß liegen, ins Gewässer zurückzusetzen."

「ドイツにおいては連邦全領土にわたって、拘束された魚はどんなに少量でも、河川、湖沼、海に戻すことが禁止されている。」

im gesamten Bundesgebietという表現を使ったのは、連邦州(あるいは連邦構成国)の境界に河や池があることが多く、それらの場所も明確に規制するためです。なお環境中で自然死した魚を拾って、別の水環境へ廃棄することは、この法律では禁止していません。

 これでは鮭、鰻などの放流はできません。許可制で例外を認めているはずですが、観光客には許可は下りないでしょう。

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全般的に良識的なドイツ。旅行者が戸惑うことはほとんどなさそうですが、一つ「法律の違い」が。くずかごを凶器認定したフランスとは異なり、ドイツでは枕が武器とされます。

"In Deutschland kann ein Kissen als passive Waffe angesehen werden."

「ドイツでは枕は消極的武器と見なされうる。」

”passive Waffe”の意味が微妙ですが、盛大にKissenschlachtをやろうとすると、それだけで凶器準備集合罪ですね。この犯罪類型はドイツには無いでしょうから、テロリスト扱いされるだけでしょう。

 

スイスは日本人に人気の観光地ですが、要注意国家です。まず日曜禁止令がいくつもあります。

"Les vêtements ne doivent pas être mis à sécher le dimanche."

"Vous ne pouvez pas laver votre voiture un dimanche."

"Il est considéré comme un délit de tondre sa pelouse le dimanche parce cela cause trop de bruit."

「日曜日に服を乾燥機にかけてはならない。」

「日曜日には、保有する自動車は洗えない。」

「日曜日の芝刈りは犯罪と見なされる。ひどい騒音の原因となるからである。」

これは奇妙でも何でもありません。大ドイツ圏の南側では宗教的な理由で、日曜日に何か行うことは罪(péché, Sünde, peccato)と言う意識が強いのでした。騒音を立てるなんてとんでもないことです。ドイツ連邦共和国でも警察が呼ばれることがあります。ただ、いちいち具体的に明文化したのがスイス。国民性が出ています。

 もちろん旅行者は法も習慣も尊重しなくてはなりません。田舎町で特に注意が必要です。もっともスイスは全土が田舎のようなものですが。

これは全ての州(cantons, Kontone, cantoni)で適用される規制なのかどうかは未確認。こんなドイツドイツした習慣法は、ドイツ語ヴァージョンにすべきでした。

 

夜に大きな音をたてることが、罪になる点もゲルマン。

"Il est interdit de tirer la chasse d'eau après 22h." 

「22:00以降、トイレの水を流すのは禁止されている。」

22:00以降は水を流せません。シャワーや風呂もダメです。ドイツでもこの種の習慣は(場所によっては規制も)存在します。念のため。

 

最後にレンタカーを借りた時の注意事項を。

”Si vous oubliez vos clés de voiture à l'intérieur de la voiture et que vous laissez la voiture ouverte, vous serez punis.”

「車をロックせずにキーを内部に置き忘れた場合、処罰される。」

この「うっかり」は、盗難を招くのはもちろんのこと、犯罪を幇助する可能性があります。もし事が起きたら、たいていの国で過失を問われるでしょう。しかし、何も起きなくても処罰するのがスイス流。何だか窮屈な国です。この国、どうして人気があるのか私にはどうしてもわかりません。

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