PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

カタール航空ファーストクラスラウンジ(Al Safwa First Class Lounge)

Doha国際空港は昨年4月に開港しました。旧空港の東側、海辺に敷地を得て、新たに建設した空港ですが、規模や先進性より噂になっていたのがこのラウンジ。開業前から話題の中心だったという方が正確かもしれません。カタール航空が心血を注いだのは間違いないようです。

 

Al Safwa First Class Lounge。わざわざここを訪問するためにDohaに行ったのではありませんが、ともかく入場しました。

 

ファーストクラス搭乗客専用のチェックインカウンターから、2名の女性地上係員に付き添われ、ラウンジへ誘導されます。ここまでは予想通りです。

 ターミナル全体図。こんな場所にあるようです。アテンドされて来たので、どう歩いてきたのか覚えていません。

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ラウンジの全体図はカラーイラストで。

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左半分がファーストクラスラウンジですが、白い部分はサービス用ですから、ビジネスクラスラウンジより少し小さいでしょうか。

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もちろん搭乗客の数を考えると、空間の余裕は明らかです。薄紫の部分がホールとリクライニングエリア、黄色の部分がバーカウンターとダイニングです。もちろんシャワーやワークエリアなど一通りのサービスはそろっています。

 

とにかく建築として見事で、驚きました。

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これがダイニング。現代に設計された大聖堂のようです。

 

ホールからリラクゼーションエリアは連続的に構成されています。

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正面の大型水盤は、エントランスホールの象徴的な存在です。リラクゼーションエリアから見たところですが、たまたま日本人と思われる親子3人が入室して来ました。手前両脇に並ぶ黒い壁の連続は、ソファーを覆う「仕切り」です。

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左側の端末から、フライト情報、ラウンジの平面図、空港の平面図など必要な情報が得られます。大変使いやすい端末でした。「壁」の中から外を見ると、スターウォーズの世界のようでもあります。

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壁や床の質感、天井高も見事で、厳粛な感じすらします。美術館?コンサートホール?私はむしろ宗教性を感じました。このエリアはガラス壁によって空港の雑踏から隔離され、静粛さが保たれています。

 

一方、空港の人混みを感じさせるエリアもあります。

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2メートル以上あるガラスの壁の下は、一般客の行き来する通路やショップなどで、「外の空気」を感じることができます。大型ソファーの座り心地は、当然良好です。このコーナーの奥に、ノンアルコールドリンクを提供するコーナーもあるのですが、朝早いため営業していません。

 

一番奥にはまたと言うか、飛び抜けたデザインのチェアが5脚並びます。この背もたれは150 cm以上あります。

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このチェアの大きな背もたれは、防音機能を担います。露出の加減では、こんな風にもなり、SF映画を彷彿とさせます。

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ざっと見渡しても、空間の構成に隙がありません。シェードの光り方なども凝っています。

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別の点で驚いたのは、朝7時に世界各地の当日の新聞が届いたことです。ヨーロッパの新聞もあります。パリは朝5時です。当然電子データを受信、当地で印刷、綴じてここに並べているわけです。

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搭乗時間が来て、2名の地上アテンダントがラウンジまで迎えに来ましたが、その時私はこのテーブルの前にいました。素直に驚いた旨を伝えたら、「どれでもお持ちください」と。もちろん、お言葉に甘えました。

 インターネットの時代では、こうした手段よりも早く情報にアクセスできます。30年前ならいざ知らず、今時こんなことは益の少ない努力なのです。しかし合理性にあえて挑戦するこのサービスには、ある種の超越性を感じます。今の時代だからこそ、サービス慣れしている人に強烈な印象を与えると思います。

 

時系列では少し戻って、朝食の様子です。ホテルのダイニングのように大勢客が居るわけではありません。どこでも座って良いと案内されます。

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まず飲み物をきかれますが、お茶にしました。品書きもあったのですが、面倒なので、「適当に決めて」をやってしまいました。正確には、「あまりうるさいこと言わないから、英国風の朝食を持ってきて」とお願いしました。給仕は引き受けたので、楽しみに待っていると、クロワッサン、チョコレートマフィンと彼らが呼ぶパンが出てきました。

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なかなか面白い展開です。その後、エッグベネディクトの2つ乗った皿、それを終えた後はワッフルが続きます。

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ここまでイギリスが無視されているとは、英国政府やBritish Councilは、少し危機感を持った方が良いのではないかと思います。さらに小うるさいことを言うと、茶に付随してきたミルクが暖めてあります。外国人はピント外れを楽しむしかありません。ちなみにporcelaineは、鳴海の特注。カスタムメードの食器は、日本が強い分野ですね。

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Qatarのファーストクラスで利用する食器と同じデザインです。でしゃばらない良いデザインで、ティーカップとポットが欲しくなりました。ディナー皿も上品な割に使いやすそうです。どこかで売っていないでしょうか。

 

このラウンジには1時間20分ほど滞在しましたが、印象は強烈でした。建築、インテリアデザイン、サービスの企画は見事です。厳かな雰囲気があるラウンジは珍しいと思います。ワンワールドのエメラルド会員になって、ファーストクラスラウンジをいくつか見ましたが、ここは別格です。