PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

QR39:DOH-CDG ファースト(その1)

戦時下にある国家への渡航。それに加え、中東の航空会社の利用。1970年代だったら当局より政治的思想を調べられそうな組合せです。(当局=この時はすでに公安です。特高は1945年まで。)時代は変わりました。左も右も、赤も白もなく、FFP改悪のため、戦争当事国へ出かけるわけですから。

 利用したのはQatar Airways。Executive Clubの改悪を機に、保有していたaviosを全て放出しました。その一つがこの便。つまり無料航空券。ごめんなさい、Qatar Airways。販売の機会損失です。 

 予約時には全く兆候がなかったのですが、11月6日にフランスの大統領は国民に向かって”La France est en guerre.”と宣言しました。フランスは公式に戦争中です。Avios利用も命がけです。

 「うちは戦争中だよ。でも遊びに来てね。」という態度は、今日の先進国では普通ですが、そうそう「金を落とす」だけの人間は来ません。犯罪者、テロリスト、スパイ以外の来訪は歓迎でしょう。私も時間を有効に使わせてもらおうと、3点のアクションプランを策定。

 

・本の買い付け

学者先生のように歴史、純文学、哲学、社会学あたりには関心はありません。こうしたものの方が、日本ではアクセスが簡単です。難しいのは娯楽。これは当然の話。日本でフランス語の娯楽の需要はどの程度あるのか、想像できません。

 フランス語の書籍やDVD類はAmazon.frで手に入りますが、航送料がばかばかしく、娯楽だけに二の足を踏んでしまいます。ということで日本では本屋にほとんど行かない私も、FNAC直行を決め込みます。

・Bourgogneでワインの買い付け

2015年夏、"Les climats du vignoble de Bourgogne"が世界遺産に登録されることが決まりました。この地区のワイン価格は上がるでしょう。

 金持ちが増えると、高級ワインの値は上がります。顕著だったのはBordeaux。格付け、Primeur、評論、Négociants、世界市場など、Bordeauxワインの流通システム全体が相乗して効果を上げたようです。

 例えば1990年のCh. Latourのpremière trancheは1本9,000円程度でした。最近のprimeur小売価格は時々100,000円超。驚異的な値上がりです。(Latourの場合、この間Artémisの所有となり、流通量を絞って長期にわたり小出しする戦略に転換しました。この効果も上乗せされたでしょう。)

 Bourgogneの場合、例えば評論や格付けも価格上昇に大して寄与していません。DRCなど少数の例外を除くと、Bordeauxのような値上げの恩恵に浴していません。20世紀を通してBourgogneとBordeauxは高級ワインとして世界の2大巨頭だったのですが、完全に水をあけられました。畢竟、高級ワイン=高価格ワインですから。

 そうした状況で、Bourgogne地方がとった戦略がl'Inscription sur la Liste du Patrimoine Mondial(世界遺産への登録)。ろくでもないことに、了承されました。

 もちろんUNESCOの評価は、1000年以上にわたる宗教、栽培醸造の歴史、それにより育まれた文化が対象ですが、ワインはその中心。そしてマーク、ブランドで売れるものですから、最高の販促になります。なおここ2~3年ぐらいは、過去のワインの流通価格が下がっていますが、今回は将来的に価格が上がりそうな銘柄を現地で。

 

・Opéra de Paris

ドイツ諸都市と比べるとParisは高く感じますが、東京に比べれば半額です。せっかくだから久しぶりにBastilleへ。持ち物(panoplie)が面倒ですが、なんのその。

 

と、3つの理由をつくったのは良いのですが、普段からParisには用事が無いと行かないので、戦争はどうでも良いことに気が付きました。

 

さて出発はDoha。Hamad国際空港では、Qatar航空の存在感は巨大です。ファーストクラス専用ゲートは、桃源郷の入口というより、威圧感を与えます。チェックインは「フランス語もできますわよ、わたくし」という受付嬢。その後は、①2人の、②背が低く、③30歳前後の女性係員(先輩後輩の組み合わせ)に連行されてアテンドされて、ラウンジに収監。に到着。拘留の様子は、充実した時間は、先に記事にしました。

pechedenfer.hatenablog.com

この①、②、③は、QRが提供するサービスの質にかかわる部分だと思います。つまり意図して、こういう体型、性別、年齢の職員をこの業務に就かせています。

 

搭乗時間が来たら、同じアテンダントがラウンジに迎えにきます。A3ゲートから出発です。Aコンコースで出国後に2番目に近いゲートです。下図の黄色のゲートがAコンコース。

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A1, A3~A11(手前左、黄色), B1~B10(手前右、紫色), C1~C13(中央、青色), D1~D4(奥左、紫色), E1~E4(奥右、緑色)の41ゲートが搭乗橋設置。C20~C29, D20~D24, E20~E24は、沖止めの機材にバスで移動のようです。HKIAと同系統のゲート配置で、規模も良い勝負です。

 

QRがターミナルの良い場所を使うのは当然です。今回は空港全体の様子を観察するのは無理で、少し残念です。監視付きアテンダント付きでは、ふらふら歩き回るのは難しいのでした。

 

A3ゲートでは、他の客はすでに搭乗済みのようでした。正しいアテンダントです。VIPと同じで、一番最後に悠々と来るのがファーストクラスの正しい搭乗客。

 機材はA380。ファーストクラスは、2階前方のキャビンに1-2-1の配列で2列。8席あります。

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木目調プラスチック、頑丈な皮という仕上げは仕方がありませんが、デザインが良く、くつろぐ空間です。

 私は2A。シート番号を表示する場所が精妙です。とにかくきめ細かいハードのQatar。

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日ごろ蓄積されたUNESCOへの鬱憤のため、長くなってしまいました。分割します。