PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

iFly KLM Magazine 1月号

先月からメールでお知らせが入るようになったKLMのiFly Magazine。1月号(issue 49)の案内も届きます。これは予想通りというか、当然のこと。

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翻訳でしょうか。母語話者の書いたフランス語には見えませんが、問題なく読めます。"LA liste des sites à ne pas manquer!"は、「ロサンゼルスが見逃せない観光地を並べる」と言う意味ではなく、LAはarticle défini。「見逃せない観光地のリスト」。大文字にする理由はなさそうなので、おそらく誤植。

 

問題は内容。

南アフリカをルート62で横断

・ベニスのカーニバルの色彩

・アジアへスキーに行く

・初のメキシコ:カンクンの海中美術館

と、なかなかディープです。

 例えば、アジアでスキーというのは普通の発想ではありません。日本の場合を考えても日本を除くアジアのどこにスキー場があるか答えられる人は少ないでしょう。アジアに良好なスキーリゾートがどれだけあるのか、興味を惹きます。

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そこで「雑誌を開けろ>」をクリック。いきなり動画です。

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海底の彫刻はともかく、まずは気になる「アジアでスキー」を見ます。自家版ベスト5がありました。ここも動画。なかなか素晴らしい雑誌です。しかも完全に仏語になっています。

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先月は、記事が英独(他に読めれば蘭)で書かれていました。仏語は操作部だけというふざけた対応でした。今月号は大幅に進歩しました。

 KLMは先月、Air Franceの会員相手にこの雑誌を一斉に紹介したのだろうと思いますが、フライングだったのでしょう。インターフェースだけ仏語対応では、意味がありませんから。日本語の本しか置いていない書店で、書棚の案内には英語があるという状態を考えれば、ばかばかしさが理解できると思います。

 

ところで第5位は野沢温泉。空港も紹介されていますが、これは東京となります。

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当然、ワンクリックでフライト予約のサイト(www.klm.com)へ飛べます。一方、オレンジ色のボタンをクリックすると、4位以上が現れます。次のようになっています。

4位 Chimbulak(Almaty, カザフスタン

3位 Muju(Soeul, 韓国)

2位 Gulmarg, Himalaya(Dehli, インド)

「ほらね」といった感じがしました。カザフやヒマラヤまで出てきます。「アジアでスキー」は無謀な企画かもしれませんし、あちこち旅行しまくっているオランダ人にはこのぐらい紹介しないと興味が持てないのかもしれません。野沢温泉の猿がランクインするあたりは、かなりのものです。デリーからヒマラヤって近いのですかね?

 

そして第1位は当然、札幌。ニセコアンヌプリが紹介されています。

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容易に予想がつきます。日本の最も人気があるスキー場と書いてありますが、これは外国人にとっては、のこと。海外のメディアでは、不動の評価ですね。外国人スキーヤーはまだまだ増えるでしょう。

 

本49号では、他に"Vous préférez..."(どちらが好き?)が気になったので、開けて見ました。するとインタラクティブになっており、KLMが「あなたに一番の渡航先」を選んでくれます。

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大都市→夜うろつく→美食と選択を進めると、紹介されるのはLima。小都市→昼間にほっつき歩く→文化的な活動で出てくるのは、Budapest。何だかよくわかりません。Budapestなら、小都市→夜うろつく→ナイトライフだろうと思うのですが、それだと当たり前すぎて面白くないのでしょう。

 

紹介される都市のページには、www.klm.comのリンクがあります。そのサイトでの都市の説明と、現在地から最も近いKLM就航地からのお得な料金が表示されます。例えばこの雑誌を見ていた場所が東京なら、NRTからの料金です。こんな感じです。

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KLMのサイトは、本当によく出来ていると思います。

以前Cathay PacificのInsightsで、ウェブサイトの将来のデザインについてのアンケートがあり、その時のCXのサイトに対して比較された将来像はKLM方式でした。料金表示の部分です。他社からも参考にされています。もっとも、いつの間にか英語になっています。

 

何はともあれ、iFly KLM Magazineはグラビアとビデオで迫ります。紹介している土地がかなりディープな観光地なので、旅なれた人向けです。英語版もあり、ブラウザーの設定を勝手に読み取って言語を選択するプログラムのようです。ただしURLをコピぺ、画面に貼り付けると蘭語の表示。

www.iflymagazine.com

「ふーむ。これを読めと...」と思ってしまいます。

 

いずれにしても世の中、好む、好まざるにかかわらず多言語化が進行しています。多言語話者ばかりのKLMは、ほくそ笑んでいることでしょう。あるいはオランダ自体が「自分らの時代だ」と思っているかもしれません。現実には蘭英語以外できない人がほとんどですが、その気になれば外国語ぐらい何とでもなるという気風があります。あの連中。