PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

映画館代わりの飛行機(その2):準備や心構え

できる限りの準備をして、本格的に楽しむのが筋と言うものです。そこで少し工夫を。

 

(1) ノイズキャンセリングヘッドフォン

必需品です。しかも良いものの方が効果的なので、機内持ち込みで。BoseSONY、それからBang & Olufsenなどが有名なメーカーです。高級感があるのはBang & Olufsenですが、エコノミークラスでは少々目立ちそうです。BoseSONYは、アメリカの消費者団体にもよく比較されます。製品にもよりますが、大体次のような評価となるようです。「SONYの方が性能は良いが値段も高い。」

 自分が使った感じでは、細かい信号をよく拾うのはSONYです。音楽の場合は、どちらが良いとも言えません。真空管のアンプが、良い音楽を再生するようなところがあります。しかし、台詞の場合は細かい音をよく再生する製品の方が、ニュアンスや感情がよく読取れます。ということで、機内映画向けにはSONYがお勧め。

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利用に際して、細かい注意点を。

・搭乗前に充電を確認することは重要。

・離陸着陸時の装着は普通OK。手にしていると大型電子機器扱いされる可能性が。

・ノイズキャンセラーの電源は、離陸着陸時には通常の電子機器扱い。

 

(2) 機内食

エコノミークラスだと、映画に没頭しながらでも飲み物、機内食は、何となく注文できるでしょう。よく飛行機を使う人だと、クルーに何を聞かれているかは大体わかり、その時ありそうな品を適当に言えば、問題ありません。気の利いたクルーだと、客が選びそうなものを見せてくれます。エコノミークラスでは、手早く、簡単に仕事が済んだ方が良いのです。映画に集中して、うるさくない客はむしろ歓迎されるでしょう。

 問題はビジネスクラスやファーストクラスの時。映画には大きな画面が欲しいという我儘から、これらのキャビンを使う時、あるいは計らずしてインボラを食らった時などです。こういうキャビンクラスでは、クルーとうまく意思疎通ができないと、コミュニケーション能力に難ありとされる可能性があります。機内映画モニターのために乗っているので、水以外はいらないと最初にサービス拒否を宣言した方が簡単かもしれません。私だったらインボラの場合、映画は諦め、機内サービスを観察します。

 

(3) 事前のプログラム調べ

IFEに力を入れている航空会社は、Webサイトにプログラムを載せていたり、検索できたりします。当たり前です。それを売りにして、航空券を売りたいわけですから。逆に言うと映画を目的に搭乗する場合は、事前にプログラムが調べられる会社かどうかは、ひとつの目安になります。

 ところで、Skytraxが発表しているIFEの充実している航空会社は

1 Emirates

2 Qatar Airways

3 Singapore Airlines

4 Qantas

5 Etihad Airways

6 Turkish Airlines

7 Cathay Pacific

8 Virgin

9 Thai Airways

10 Air France

です。2015年のランキングですが、各サイトを覗いてみると面白いと思います。

 

機内には案内冊子があったり、IFEで簡単に検索できたりしますが、事前にプログラムを調査、目安をつけておくと機内での時間を節約できます。

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(4)  忘れがちな周囲の世界

最近の進歩したIFEでは映画に没頭するのは容易です。しかし一方で、いろいろと副作用を伴います。IFEは好きなタイミングで好きな映画を再生できるのが普通ですが、

「今、このシーンを見ているのは自分だけ」

という事実を忘れがちです。たぶんこれが映画館との最も大きな違いです。笑ったり、泣いたり、感情を露にすると周囲には異様に映る可能性があります。隣が涙しているのに、こちらで大爆笑ではカオスです。つまらない話ですが、自制が必要です。

 

また映画に没頭していると、言語が引きずられます。これは(映画と機内で言語チャンネルが異なり)クルーの言うことはほとんど耳に入らないけれど、何か言う必要がある時に問題になります。

 例えばドイツ映画に熱中している人は、脇目で状況を把握し、クルーとの間にこんな会話を繰り広げる羽目になります。

”Fish or chicken?"

”(予めメニューで確認していたから、迷わず)Huhn.”

"Here you go. Enjoy."

"Danke."

って変でしょう。しかしこれを避けるには、意識を機内に戻して、言語チャンネルをスイッチする必要があり、意外に面倒。なぜ客がそこまでやる必要があるかって話ですね。

このDialogを見て、「は~ん(Hahn)、それは変ね(Henne)。」なんて、思いついても口にしてはいけません。どれだけ日本語が上手なドイツ人でも。

 

国際派のクルーだと、「こいつドイツ映画を見ているな」とわかって、にやりとしているかもしれません。クルーがドイツ語を理解しない場合は、寛容が大切。意図に反したものが出てきても、責任を押し付けるのはかわいそうです。

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本来、IFEや雑誌、新聞など機内サービスの全ての言語にクルーは対応している必要があります。その言語を必要としている客がいると認識しているわけですから。しかしそこまで航空会社に完全無欠を要求するのは酷です。こうして今もどこかで妙な齟齬が起きているわけです。