PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

旅のことば(2)

前回は「言葉と文化」系でしたが、続きは「ややこしい」系です。

 

(5) 中華系航空会社

マンダリン(北京語でも標準中国語でも)がサービスの基本。中華民族の共通語なのです。実際のところ様々な民族が喋るので、いわゆる「中国人」は東洋系の人間にマンダリンで話しかける傾向があります。私もニーハオと、よく声をかけられます。少し喋れたら、中華民族として認定してくれます?

 そもそも日本人かどうかなんて、中国人には区別できません。マンダリンは公用語としての機能より、共通語としての機能の方が重要なのでした。中国の経済発展のおかげで、今や世界中で耳にする言語。ジャカルタで空港職員に「香港?」とマンダリンで聞かれた時、つまり"Hongkong?"ではなく、"Xianggang?"と聞かれた時は、本気で勉強しようかと思いました。

 機内でもしかり。服務員に何もヒントを与えず黙っていたら、この言葉でサービスされるでしょう。また日本人客室乗務員がいても、普通マンダリンが上手なので、状況は全く変わりません。某国航空会社のように、そこの公用語が中級レベルの日本人が働いているなんてことは見たことがありません。

 今更勉強したところで、何処まで使えるようになるかはなはだ心許ないのですが、「中国語、わかんねーよ。」と抵抗するのは、いい加減止めないといけないかもしれません。

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(6) マレーシア航空

マレーシア語あるいはマレー語。勉強したことはありませんが、発音は簡単そうです。さらに知っている単語やフレーズなら聞き取れます。日本語母語話者にとって楽な言語のようです。

 彼らは英語でかなり教育を受け、国は英語圏とされます。もちろん英語だけで意思疎通はできます。しかし挨拶ていどでもマレーシア語を使うと、印象が良くなるようです。その後、心を開いてくれるような感じを受けます。

 またMHの予約を取ってしまったし、マレーシア語学習に少し心を惹かれています。発音は中国語よりはるかに簡単そうですからね。

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(7) 日系航空会社

日本語ですね。国際線でも。機内サービスとの関係では、客はほとんど言葉を発しなくてもよいという特徴が見いだせます。サービスが優れている証拠ですが、一方で「客がいつも不機嫌そうで変」などという印象を与えることも。搭乗時の出迎え挨拶に対して優先搭乗客が無表情でぞろぞろ通過するのも、日本語文化圏の特徴でしょうか。これが奇妙に感じられるようになったら、国際派かも?

 旅館で出迎えを受けたら「お世話になります」ぐらいのことを言うのが、礼儀ですから、スッチーにも何か返答した方が良い気がします。でもコンニチワ、コンバンワでは、場違いというか、少し不自然です。「来たったでぇ」では砕けすぎ。難しいものです。

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(8) 米系航空会社

英語。アメリカ合衆国には公用語の定めはありませんが、一番広く使われる言葉はこれ。ヒスパニックの増大とともにスペイン語の勢力も増していますが、どうなんでしょう。西海岸を飛ぶ国内線ではスペイン語主体になったりしないのでしょうか。

英語がアメリカの公用語ではないという事実はトリビアのように思われますが、そうでもありません。ヒスパニックが増え、公的サービスを含めた生活の様々な場面でスペイン語が増えているという社会現象が、古くからの住民にとってどれだけ脅威になるか、英語が公用語であるかどうかで全く違うのではないでしょうか。例えば、公用語でないと学校で学習を強制する根拠に乏しいのです。

 

太平洋路線では日本人の客室乗務員が搭乗していることが普通で、日本語が通じます。日本人乗務員が、(日本の良い所)+(アメリカの良い所)になっていることが多いのは、米系のいいところだと思います。某国航空会社のように、(日本の悪い所)+(某国の悪い所)ではないのですね。

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(9) KLM

オランダ語。オランダの言葉はドイツ語?なんて呑気な質問をする人も日本には多いのですが、KLMはKoninklijke Luchtvaart Maatschappijの略です。KöniglichとかLuftfahrtあたりからKとLは出てきても、Mはオランダ語を知らないと出てきません。

 日本-欧州便は標準的に、蘭、日、英でサービスが受けられます。問題は欧州内のフライト。蘭、英、仏、独の4語が標準。これは客が問題なのでした。ここの欧州便は、いろいろなレベルで「移民」が多いのです。そして家庭内で出身地が大きく異なる家族も。夫の都合に合わせてxx語をしゃべるけれど、自分は〇〇語の方がはるかに得意などというケースが頻発します。その結果、多言語対応になったと思われます。

 機内サービスぐらいなら、どの言葉でも同じというのは正しい見解ですが、脇が甘いかもしれません。

・今カート押して来る乗務員と先ほど挨拶を交わしたはずです。何語であいさつしたか覚えていますか。

・隣の人と、ずっとフランス語で会話しています。1度目の巡回では乗務員とはドイツ語でやり取りをしました。次の巡回では何語を使いますか。

カオスに陥りやすいことは容易に想像がつきます。事実、機内で2つ以上の言葉を使っている客の多いこと多いこと。

 

バベルの塔が人類に残したトラウマを克服したのは、KLMなのでした。大聖堂が宗教離れで使われなくなり、空き家になったら、集合住宅に改造してしまうような国ですからね。

 

同時に複数の言語を使うのは、神経を使います。tot ziensと言って降機する頃にはいい加減疲れています。KLMの欧州便、多言語話者には勧められません。

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