PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

どちら側の航空会社が優勢?

羽田の北米線発着枠の配分が行われたようですが、航空業界はずっと政府の規制が付きものでした。路線開設は許認可が必要で、基本は相互対等のはずです。

 国際線の場合、会社の勢い、ひいては国の勢いとして映るので、当局が神経質になるのもいたしかたありません。基本が往復で運航されるので、どちらかの国のフライトが多くなると、いろいろとまずいというわけです。

 

それでも空の自由化は確実に進んでいて、今ではかなり不均衡も見られるようになりました。加えて今の時代、ハブ+スポークのモデルは後退し、多頻度輸送+2点間直接輸送が基本となっています。ある国際路線に注目した場合、各航空会社の便数を調べれば、どちらの国の航空会社が好かれているのか大雑把にわかるというものです。

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そこで調べてみました。まずは東京(羽田、成田)の路線から。カッコ内の数字は、その都市側の航空会社の週当たりの便数を示します。

 

東京(58)-香港(77) 以遠権フライト 7

東京(49)-バンコク(49) 以遠権フライト 7

東京(49)-シンガポール(35)

東京(21)-ロサンジェルス(35) 以遠権フライト 14

東京(28)-ニューヨーク(7)

東京(14)-ロンドン(14)

東京(21)-パリ(16)

東京(0)-中東3都市(35)

 

中東3都市は、アブダビ、ドーハ、ドバイです。

 こうしてみると、方面によって日系の会社の強い所、弱い所があります。香港はキャセイ+ドラゴン航空が合わせて49便も持っており、それに加えて香港エキスプレスが28便とかなり健闘しています。香港の航空会社、特にキャセイが日本人に愛されているのは間違い一方、日本の航空会社は香港人に特別な意味はないようです。

 タイは規制か協定でもあるのでしょうか。全く互角です。もっとも日系は羽田線が多く、自国優遇政策の上でこの成績ですから、将来は楽観できません。

 意外なことにシンガポールは日系優勢。シンガポール航空は思ったほど人気がありません。航空券価格が高いことが表れたようです。なお、現在シンガポールへはLCCの直行便がありません。直行便ができれば、話はまた変わるでしょう。

 

アメリカは東海岸のハブ、ロサンゼルスと西海岸のハブ、ニューヨークを調べました。現況です。米系はロス、日系はNYで強く、合わせると日系優勢です。ロスは観光、NYはビジネスが多いのでしょうか。どちらにしても人気は、日系優勢と考えてよいのではないでしょうか。

 ヨーロッパからはロンドンとパリを選びました。どちらもほとんど互角です。AFが成田-パリを減便したぐらいですから、成田に関しては発着枠の問題ではありません。以前優勢だったAFの人気がやや落ちているのに対し、日系の人気はそれほど落ちていないということでしょう。それでもJALが羽田と成田の両方にパリ便があり、ANAは羽田だけですから、きわどい話です。ロンドンはさらに人気がなく、BAが羽田と成田に7便ずつありますが、JALANAはそれぞれ羽田に7便ずつあるだけです。

 中東3都市は予想通りなのですが、どうして供給過剰にならないのか不思議なぐらいです。アブダビカタール、ドバイの国家戦略以外の何物でもないのでしょう。他の国と中東3都市を結ぶ路線でも同じ状況なので、これらの3空港は少し事情が特殊です。

 

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特に米国、それから欧州便において、日系航空会社は羽田発着枠で優遇されています。それでこの結果。日本人客を集める以上に、先方の住民に利用してもらえるよう、もうひと踏ん張り欲しいところです。