さてタイ航空ビジネスクラスのワインは以下の通りの「ビジネスクラス基本形」。しかもすべてフランス。典型とも言えそうなオーソドックスな構成。
泡:Champagne, Palmer & Co., Brut Réserve
白1:Pascal Jolivet, Pouilly Fumé 2013
白2:William Fèvre, Chablis Champs de Royaux 2013
赤1:Château d'Aurilhac 2011
赤2:Bourgogne Pinot Noir Réserve 2013
これらを武器に機内食をどう迎えるかというのが、本日の内容。
タイ航空とはいえ、機内食はタイ料理だけではありません。成田発の夕食。
焼き鳥の突出し。タレです。ウェルカムドリンクの延長で、Champange。「庶民的な」焼き鳥と「ハレの場」用のChampagneでは、組合せが悪く感じられますが、これは純粋に文化の問題。日本の特殊事情。フランスに行ったら、焼き鳥は「非日常」ですから。Champagneで何も悪くありません。
鴨か合鴨かアヒルの肝臓を型に詰めて固めてスライスしたもの(ballotine)は、何が一緒に混ぜてあるかにより違います。しかし、一般的には肝臓の冷製だったら少し良い白が欲しいところ。積んであるワインは、どうもピンと来ません。
サラダは他社同様で、何となく冴えないビジネスクラスの標準。vinaigretteよりレモン汁の方がワインには合わせやすいのですが、こんなところまでワイン中心に考えるのは、凝り過ぎかもしれません。
メインは4つから選択。トップは日本ビールで煮込んだビーフシチュー。この場合、そのビールを合わせるのがセオリーというもの。付合わせはジャガイモ、ハーブ、ニンジン、ブロッコリーなので特に癖のあるものは無し。ビールがいやでも、赤ならどちらも可。私ならBordeaux。
蒸したコイに大根おろしのソース、日本野菜と一応和食ですが、これは白。大根のクセはともかく、泥の香りがネックになりそうですが、ここは2つとも試してみたくなります。どちらも可も不可もなしになりそうです。
さて豚と茄子のレッドカレーとタイ米は、白眉。というのも、何を合わせるか難しそうです。海原雄山かJGCだったら、客室責任者を呼んで意見を聞いてみる場面です。
チキンのソテー照り焼きソースは和食2です。和食ばかりですね。これは白ワインで良さそうです。油が少ない部分だとCondrieuやLadoix、モモ肉などではSavigny-les-Beauneあたりが良さそうなのですが、生憎ありません。Chablisで行きますか。
全体的に何を合わせても、破綻しないし、合いもしない感じがします。mets et vinsには無関心で、機内食、ワインリストをそれぞれ独立して企画している気がします。
逆経路。夜食と朝飯。
ブタの首のトロトロ煮には、赤ワインでしょうね。ナイトキャップの赤ワイン。
メインは3つから選択。お品書きは食材全てのパターン。しかし朝飯ですからね。Champagneが限界という気がします。Provenceのロゼなんかあったら、チーズオムレツとラタトイユに合わせるのは乙ですが...。
本音を言うと、アルザスのgewurztraminer, pinot gris, pinot blancなどの方が、いろいろな料理に合わせやすいと思います。これはタイ料理に限らず、アジア料理全般についてそう思います。アルザスの生産者たちも自分たちのワインの優位性に気が付いているらしく、Conseil Interprofessionnel des Vins d'Alsaceは「アルザスワインとアジア料理の出会い」という日本語のパンフレットを作っているぐらいです。これは日本人が書いたものではなく、明らかに翻訳。ヨーロッパのワインには、もうアジア市場しか成長の余地がありませんから、かなり頑張っています。
Conseil Interprofessionnel des Vins d'Alsaceは、日本語ページも作っています。
http://www1.vinsalsace.com/ja/
残念ながら、情報量はフランス語ページよりかなり劣ります。とはいうものの、地方の公的機関が日本語のページを作ること自体、歓迎すべきでしょう。ちなみにフランス語のページは以下の通り。