機内ワインのテストは、食べ物と一緒なのでdégustationとは異なります。また食べ物との相性なんて、人によって感じるところが全く違いますから、実は記録に残しても役立ちません。とはいうものの、完全に否定する立場に立つと、機内やレストランでのワインの選択は有り得ない作業になります。
「キャビンの気温は理想的」、「機内食がまずい」などと搭乗記を残しても誰の役にも立ちませんが、それと似ています。ワインのセレクションなんて、ある程度調整が必要だけれど、人によって評価は180度変る可能性があるのでした。
とはいうものの、世の中でイメージとか、ウワバミたちの評判とか、ライター兼広告代理者(écrivaillon-pubard)への金の流れとかをもとに、それぞれのワインには立ち位置ができています。ワインリストはこれを参考に組立てているのですね。機内食との相性なんて、二の次です。機内食そのもの、ワインそのものは宣伝に利用しても、mets et vinsは売りにしていないと思います。
それはそうですが、1年もご無沙汰していたので、新しいワインも味わってみないと、キャセイには失礼です。順不同で。
白ワイン Bourgogne, Chardonnay
Les Chapitres de Jaffelin, Bourgogne Chardonnay 2014
供出温度は、適当~やや低め。明るい黄金色。照りが少しあります。レモン、白い花の香りが顕著ですが、主張は強くありません。内気な感じがします。口に含むと柑橘系の香りが穏やかに広がります。ボディが広がり、余韻は短めです。前菜全般に合わせるのでしょうが、この時は今一つでした。魚卵との組合せが良くなかったようです。
他にはあっさりと仕上げた白身魚、甲殻類などが狙い目でしょうか。
赤ワイン フランス>Bordeaux>Haut-Médoc
Château du Retout Esperance, Haut-Médoc 2013
Château du RetoutはMargauxの北、Cussac-Fort-Médocに位置するCru Bourgeois。これはセカンドワインでしょうか。このラベルは、同じ経営者や醸造チームが携わっているという以上のことを保証しません。もっともChâteau du Retout自体が、人気者で引き手あまたというワインではないので、高名を借りて値を吊り上げる意図はないと思います。
ほとんど不透明で縁は紫がかっています。香りを少し嗅ぐだけでメドックだと分かりそうなほど典型的。スミレ、カシスの香りがします。口に含むとmûre, groseilleが感じられる他、甘草、スパイスの香りが顕著です。タンニンは若いのですが、柔らかく、品の良い酸に好感が持てます。 ミディアムボディで余韻は短め。
こういうワインは食事に合わせやすいので重宝するはず。煮込んだ豚、焼いたラム、焼いた牛肉など、キャセイの機内食の肉料理に穏やかなワインが欲しい場合に。
続きます。