通常の倍の長さがありますが、まとめを2部に分けるのも気が引けます。思い切って、一気にアップします。
ウェブサイトと自動化されている部分
(1) 言語
現在Aeroflotは、モスクワがアジアと欧州を結ぶ良好なハブだと宣伝しています。ウェブサイトで日本語の記述が充実しているのは、ある意味当然。他の言語は英露独仏西伊中朝で、全部合わせて9言語。
ヨーロッパで盛んに打っている宣伝では、Bangkokとか、Phuketとかありますが、タイ語には、まだ対応していません。現時点では、タイ人の利用はあまり重要でないのでしょう。
支払いはUSDでした。これはPechedenferが英語で予約、購入したこととは、関係ないと思います。
事前の座席指定も当然できます。
(2) メールによる連絡
予約購入すると、すぐに記録がメールで届きます。搭乗日が近づくとe-ticketが届きます。この辺はよくできた航空会社と同じ。搭乗日近くのメールでは、ホテル予約、レンタカー予約、免税品事前予約などの関連商売を行う会社が多いのですが、Aeroflotでは全くありません。あっさりしています。
予約購入確認のメールの直後に、航空券2%引クーポンが届きます。Aeroflotの航空券購入に使えますが、期限はその月を含めた2か月のようでした。
(3) FFPへのマイル加算
例によって、Flying Blueへの加算です。航空券予約の段階でFFP名、FFP航空会社名、会員番号を入力できます。これは予約の記録や、e-ticketでも確認できました。ところが現実には登録されていません。不思議なことです。このことが分かったのは、帰路のSVOラウンジ。受付の若い男性職員が発見し、親切にもその場で入力してくれたという次第です。
成田空港のチェックインカウンターでは、全く注意もされず、スル―。この辺は日本支社の問題です。ミスではないのですが、他社に客を取られないためには、もう少し頑張りましょう。
こうした経緯がありましたが、帰路のフライトは搭乗翌日には、マイル積算されていました。つまりきちんとFFP会員番号が登録がされている場合、処理は非常に早いことがわかります。
往路の搭乗は、Flying Blueのページで証拠のスキャンと共に事後クレーム。翌日にはマイルが登録されました。マイルの処理は、非常に素早くなっています。
なお機内では、Aeroflot自身のFFP、Aeroflot Bonusを盛んに宣伝していました。自社のFFPなら間違いも起きにくいでしょう。
空港でのサービス
(1) 東京・成田 NRT
チェックインおよびゲートでは、日本支社社員と思しき方が業務を行っています。ロシア語を長年使っていそうな雰囲気です。そのことは非常に良いのですが、ソ連時代の感覚が残っているような感じを受けました。笑顔が少ないこと、余計なことは行わないことが顕著です。ただし混乱が起きそうな感じもしません。今回の利用で不満があるとしたら、ウェブサイトの不備をフォローできなかったことぐらいです。
(2) モスクワ・シェレメーチエヴォ SVO
地上職員は、普通のヨーロッパの空港と変わりません。若い職員は、男女ともかなり親切です。チェックインは行っていないのでわかりませんが、乗継の案内、ラウンジでの対応、ゲートでの対応すべてに渡って、十分なサービスです。英語も流暢。例えばCathay Pacificの香港スタッフと比べると、さらに上手なぐらい。
日本語が通じるかどうかは、わかりません。日本人と思われる旅客は、空港内をうろうろしています。
ラウンジは1か所、Jazzを1回しか利用していませんが、現地風料理が食べられ、とても良い印象を持ちました。やや狭く、混んでいることはマイナスです。この欠点は、ラウンジによって異なる可能性が高いように思われます。
(3) パリ・シャルルドゴール CDG
チェックインを行った係員は、自社社員ではないでしょう。SUのラウンジ、"Paris"はAir Franceのオペレーションです。同じSkyTeamの大きなハブなので、密接な協力を行っていると思います。
ターミナルは2C。Aeroflotは、チケットカウンターもチェックインカウンターも独立しています。ターミナルを間違えない限り、迷うことはないでしょう。この点はCDGやLHRのような複雑な大空港の場合、かなり重要です。サービスの一部だと思います。
機内サービス
(1) クルー
若い女性が多いことがとにかく目立ちます。大部分が20台で、上が35ぐらいです。若いロシア女性が美人というのは、本当です。白人美女が好みの殿方には、一番のおすすめ航空会社になるでしょう。逆におばさまが好みの殿方には、全く良くないと思います。40台と思えそうな女性は、見かけませんでした。
これは、ソビエト連邦の瓦解に伴う社会の転換と関係あります。どうしようもありません。後20年もしたら、今若いクルーもおばさんになっていきますから、おばさん好みの方はそれまで気長に待ちましょう。
ロシアは経済状況が良くなく、仕事も以前より減っているはずです。加えて外貨を稼ぐ会社は国家レベルで重要視されるはずです。こうした事情を考えると、Aeroflotはかなり良い勤務先になっていると思います。良い人材が採れるわけです。このことが、サービスに反映していそうです。彼女たちは、とにかくよく働きます。何か要望があると、すぐに対応してくれます。経営側がいろいろな意味で、他社を越えたサービスを狙っていることも間違いありません。
そもそもロシアの女性はよく働くイメージがあるのですが、一般化できるのかどうか、自信ありません。
(2) 機内免税店販売
カタログを見れば、普通のレガシーキャリアと変わりません。値段に関しては、フレグランスが安いことをすでに記事にしました。
実際に搭乗すると、品切れです。異なる便で3回買おうとして常に無かったので、偶然ではないでしょう。商店は開いているのに、商品がないという共産主義国家が再現されます。
事前注文がよいようです。商品の種類もはるかに多くなり、価格も5%引き。少なくてもフレグランスは、フランス、イタリアの空港免税店やAF、AZの機内販売の通常価格より確実に安くなります。
(3) 機内食
コース料理。他社ビジネスクラス長距離便と比較した場合、控えめに言っても量も質も平均より上。サービスの手順は、他社ではファーストクラスのレベルです。フライトによって内容が変わりました。今回は往復で4便利用したことになりますが、すべてお品書きが異なります。
たぶんオリジナルのカクテルが3種もあることは、他社にはない特徴。
ロシアの食文化を感じる料理がほとんどないことは、欠点と言えば欠点。それからワインリストが一種類しかないことも気になりました。種類は泡1、白2、赤2と標準的。何を積んでいるかすぐ覚えるので楽ですが、リピートすると飽きるのではないかと思います。また、ロシア=ウォッカという方程式をすぐ立てる人は多いと思いますが、蒸留酒の種類は少なめです。
一方、量は多めになると言っておきましょう。要するにグラスが空になる前に、クルーは気付き、すぐ注いでくれます。
(4) IFE
SQと同様、立派な独立冊子があります。しかしIFEを試してみる機会がありませんでした。IFEを知るには、エコノミークラスの方が良いのは他社と同じ。
NRT-SVO間のA330では個人スクリーン完備。SVO-CDG間のA320, A321には、個人スクリーンはありません。ビジネスクラスではタブレットを配ってくれます。
(5) 言語環境
機内クルーは、ロシア人ばかりに見受けられました。英語は全員上手です。出発地、目的地の言語には、録音で対応しています。気流の乱れによるシートベルト着用の放送や、機内販売などの案内も録音を流します。NRT-SVO間は日本語が何とか話せるクルーが、一名搭乗していました。姿は確認していませんが、行き帰り共、同一の声でした。
フライトが順調なら、機内食や飲み物の選択以外で、英語(やロシア語)を利用することはありません。ビジネスクラスには、ロシア旅行が目的の日本老人が大勢搭乗していたことを付け加えておきます。
機内アナウンスは、簡潔にして明快。一般に落ち着いていてエレガント。西側の航空会社は、早口でわめきたてることが時々ありますが、見習うべきです。
ロシア語以外の雑誌、新聞は少ないと思います。機内でも、ラウンジでも、機内誌でもそうです。逆に、「機内はすでにロシア」という感覚は、非常に強いはずです。第二外国語でロシア語の単位を落とした人は是非ご利用を。再びチャレンジする気が起きるかもしれません。
(6) キャビンの整備
インテリアデザインに、清潔感があります。こまごまとした故障も稀のようです。清掃はトイレを含めて、行き届いています。上の部類です。
受託手荷物、スカイプライオリティ、運航全般
(1) 優先扱い
受託手荷物は、CDGでも、NRTでも優先タグが付いたスーツケースが優先して出てきます。これはSVOのハンドリングが、悪くないことが必要条件です。搭乗やチェックインでは、Sky Priorityが機能しています。以下の特徴があります。
・Elite Plus会員に加え、Elite会員も対象です。
・メリットは列が短いことに限定されます。一般レーンの処理も同時並行して始めるため。
(2) 運航
定時性をかなり気にしてます。実際、出発も到着もほとんど遅れがありませんでした。着陸が特徴的で、ロシアが感じられるかも、です。
補足と希望
航空券価格は18万円台でした。特にセールを行っていたわけではなく、通常こんなものです。海外発券を考えなくても良い程度に抑えられています。バカンスの季節には、もう少し上がります。
今年、Skytraxで4つ星になったそうです。しかし今回体験できたサービスを元に比較すると、4つ星会社の中でも頑張っている方だという気がします。総じて言えば、Cathayの活発さにヨーロッパらしい味付けを加えたような感じです。
おそらく、Aeroflotは西側各社より優れたサービスを提供することを目標にしてきたのでしょう。しかしヨーロッパの航空会社は、もはや自国文化で勝負するしかなくなっています。一般に、イタリア文化に憧れる人はAlitaliaを、フランス語が便利な人はAir Franceを使います。Aeroflotは、現時点でかなり成功を収めているものの、ロシア色はあまり感じられません。次の手は、機内食へのロシア料理の展開でしょうね。期待します。