大西洋横断路線にドリームライナーを就航させるAir France。しかし "Coquerico !"と喜んでいる場合ではありません。
Norwegian Air ShuttleによるパリCDGの拠点化
長距離路線のLCCとして、年々存在感を増しているNorwegian Air Shuttleが、Roissy Charles-de-Gaulle空港をハブにすることになりました。
B787就航が航空関係のジャーナルで報道されているのに対し、こちらは金融・経済紙 La Tribune。事の重要さは、メディアの違いによっても伝わってきます。
2017年7月には、Roissyにパイロットの基地を設け、Roissy発の米国路線を増やします。NorwegianのPDG、Bjørn Kjosが11月24日に発表しました。
Los Angeles(LAX)週4便
Miami(FLL)週2便
New York(?)毎日
Orlando(MCO)週1便
が予定されます。北米線のパイロットは、基地の設置場所によりフランスの労働契約を結ぶことになります。
現在Norwegianは、London LGWにパイロットの基地を持っています。2017年でのパイロット数はまだ確定してないとはいえ、これから数年のうちにパリ拠点で300-500人が必要になるようだと Bjørn Kjosは述べています。ただしアフリカやアジアへの就航許可が下りることが前提です。Norwegianはパリでの計画が順調に進んだら、エアホステス* と スチュワード* の基地も設置する意向です。
*:La Tribuneの原文で、les hôtesses et stewards
Norwegianは、需要の大きい les Antilles* や la Réunion*線に照準を定める一方、輸送密度の小さい米国線をA321-LRで狙います。A321-LRの初期の発注機材を利用する予定です。この機材の受領は2019年です。
*:共にフランス海外県・海外地域圏(DOM, ROM)
思い出さなくてはならないことは、ノルウェーがEU未加盟でも、「欧州単一の空」の協定には調印していることです。これはEU-米国間路線にも適用されます。
Norwegianは来年 B787 の新品を9機受領しますが、BarcelonaとAmsterdamにそれぞれ拠点を設けます。したがってAMS発の長距離路線も来年開始されるはずですが、Bjørn Kjosはこれ以上詳細を語ろうとはしません。*
*:BCNを放っておいてAMSだけ特筆しているのは、AF-KLMのもう一つのハブで、フランス人の関心が高いため。
この強力なノルウェーの航空会社の台頭は、新LCCを立ち上げる意志をAFに持たせることになっています。そのターゲットが中東湾岸の3会社にあるという戦略に疑問を抱かせることにもなりました。(が、Pechedenferには、そんなことはどちらでも良い気がします。前門の虎、後門の狼ということではないかと。なお La Tribune では、Norwegianの進出による雇用創出が意識的に述べられています。PDGがインタビューで、その点を強調したのでしょう。)
AFとBAとの比較
Norwegianの北米路線に脅威を受けているのは、British Airwaysも同じです。NorwegianのLGW拠点化を迎え撃つBAの戦略も報道されているので、少し前に記事にしました。
報道で知る限り、AFの方が対策が遅れていると言えそうです。しかし逆転もありえます。風雲急を告げると言うか、待ったなしと言うか、いずれにしても目が離せなくなってきました。会社が傾くと、マイレージ会員には良いことはありませんから。