PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

A3 901:LCA-ATH エコノミー(その1)

ネコの島

一般的にはロバの島として知られるキプロス。ネコが多いのは、Larnacaだけかもしれません。Pechedenferは、部屋の事情からネコ缶を買う羽目に

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T'as des yeux sublimes!

 

つまりこういうことです。地上階スィート、冷暖房なしという部屋。何のことは無い長期滞在用の安宿ですが、何故かネコがやたらとうろついています。雨の中歩いた後、陽が差してきたのでテラスで靴を乾かしていたらその上で日向ぼっこする三毛が出る始末。湿った靴です。ヒトの臭いに馴れ過ぎです。他の猫は部屋に入ってきて、ソファに前足を掛けます。最近滞在した客が餌をやっていたとしか思えません。仕方がないので、キャットフードを買いに出て、4匹にディナーをご馳走。この部屋の伝統作りに一役買いました。

 

朝3:00ちょうど、ネコ宿の従業員の白タクMercedes CLSHermes空港へ。この空港は24時間営業。夜間発着ができます。定期便ではこのエーゲ航空のフライトが、朝第一便のはず。

Hermes Airports | Larnaka International Airport

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エーゲ航空が本気のギリシャ語で牙をむきますキプロスは英国の植民地だったため、Commonwealthのメンバーで英語圏。しかし公用語ギリシャ語とトルコ語。1970年代に住民の大規模な移動を伴い、トルコ系の地域とギリシャ系の地域が分割されてしまいました。現代のムスリムーキリシタンの境界最前線です。トルコとギリシャのproxy fightをやっているようでもあり、デリケートな土地です。

 EUからギリシャが抜けては困る理由は、同じオーソドックスのロシアへの接近だけではありません。キプロス問題、移民問題も関係しています。それでギリシャ人は「俺たちを捨てられまい」と高をくくっていると、収まらないのはドイツ。もっともアジアにいても無関係ではなく、観光でギリシャにとられる税金とその使い道を知ると、旅情がそがれると思います。

 

エーゲ航空の戦略的拠点

こういうキプロスの状況は、旅行者にはメリットももたらします。

 

少なくともエーゲ航空に関しては、人員も多く、設備も優れており、ギリシャ文化をドンと前面に出してくるのですね。他の空港より圧倒的に地上サービスが優れています。キプロス航空の破綻時にも、真っ先に顧客の受け皿になるよう対応しました。

pechedenfer.hatenablog.com

エーゲ航空はビジネス拡大に余念が無い一方、ギリシャおよびキリスト教世界はキプロス進出を後押しします。エーゲ航空の重点的なサービスの背景には、「世界分断の最前線」があります。

 

トルコ系住民の住む北キプロスは、一人当たりのGDP南キプロスの3分の1程度で、住民数も3:5と劣勢。冷戦時代の西ベルリンとは違い、北キプロスに近いLarnacaにショールームとしての機能を持たせるわけではないでしょう。しかしこのヨーロッパ人の観光地では、国家も市民も観光客も何となく意識しているはずです。

 ロシア大使館の隣接地をアメリカンクラブにして、物質的に恵まれた生活を大使館員に長年見せびらしてきた土地が、他ならぬ東京。アメリカンクラブは、建て替えでさらにゴージャスに。その建築資金がどこから出たかと言うと、その土地を再開発した三菱地所が一部に建てた地上11階地下6階建のパークハウスを買った人の財布からでした。(全額出たかどうかは、知りません。)平和なレベルでの国家間、民族間、宗教間の張り合いは、意外に身近です。

 

出発まで2時間30分もあるのでチェックインカウンターの準備中。一番乗りです。皆、普通に英語を話します。客がほとんど来ていないのに、カウンターにはいきなり3人張り付いています。

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出国審査もセキュリティも窓口・レーンが1つずつしか開いていませんが、列はなし。

 

あっという間に商店街。驚いたことにほとんどの店が営業中。まだ朝3時台。往時の西ベルリン顔負けです。

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この空港は、出来て10年だそうです。

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ゲートの数(実質的に14)の割には、商業施設がやたらと充実している気がします。KaDeWeのようです。

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エーゲ航空がエアサイドにラウンジを持っています。曜日に依りますが、朝2:00から営業。昼は2時間か2時間半休んで、夜は23:00か23:30まで営業。昼のブレイクは食料の節約のためか、スタッフの昼休みのためかは定かではありません。

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もちろんトルコ航空ビジネスクラス利用者とか、Miles & Smilesの上級会員も利用できます。スタアラ同士、仲良くしないと。

 

本拠地アテネよりも力が入っているとはどういうこと?といぶかしんで入りますが、30席あるかないかという小さなラウンジ。

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専用Wifiもあり、空いているため軽快。

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ちなみに隣にSwissportのラウンジがあります。この空港のエアサイドには、ラウンジは2つだけのようです。

 

キプロスのスィーツが多種並びます。ギリシャのものと区別があるのか無いのか、よくわかりません。

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Loukoumiは、トルコのLoukoumとどう違うのでしょう。勇気を出して、受付で訊けば良かったと後悔しています。

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わけのわからない写真が壁を飾ります。像を載せること自体が、イスラム世界とは相容れない要素です。偶像崇拝を厳格に禁じていますから。とは言うものの、イスラムもゆるい国、厳しい国といろいろ。ラウンジの絵ぐらいでガチャガチャ言う人も少ないと思います。

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ギリシャ物産の宣伝もあります。ワインもギリシャから持ってきています。エーゲ航空は、ギリシャと外部世界のインターフェースになりつつあります。

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トイレもチェックしました。男子トイレは個室がひとつあるだけ。ラウンジの定員は男女合わせて30ですから数は十分。 流しは個室に1つ。個室の外に2つあります。手や顔を洗うだけの人の分です。

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狭い空間を個性的にデザインしています。

 

出発案内はスタアラだけが表示されています。エーゲ航空901が始発だと言いましたが、LOTのWarsaw便が先でした。3:40発です。

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出発時

ゲートが開く時間になったので、出かけます。正教会でこの日の挨拶が何になるかわかりませんでした。住んだことがないと、なかなか分からない事ってあります。

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まだ開いていない大型免税店が1つ。他の免税店は営業しています。Yves Saint LaurentのフレグランスMon Parisの展示コーナーも空。YSLのおかげで、パリは男性名詞が定着するかもしれません。

仏語の性はいい加減で、Parisのようなものははっきりしません。ファッションモデルはmannequinですが、これは男性名詞。しかし女性モデルを指す場合が圧倒的に多く、引きずられて女性名詞扱いされています。例えば、mannequin ronde(=plus-size model=でぶモデル)。仏語に限らないと思いますが...。

 

商業エリアを抜けると搭乗ゲートが並びます。そこでも飲食は可能なつくり。さすがに開店前。

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天井を見れば分かりますが、建築、特に躯体にはお金がかかっていません。