搭乗開始時刻にラウンジを出て、よたよた歩いていたら、あっという間にファイナルコール。途中から大慌てとなりました。ゲートでは、保安検査を待つ列が完全に掃けており、すんなり搭乗。4席あるファーストクラスは満席で、他の三人はすでにお寛ぎの様子。出発に間に合い、密かに安堵しながらも、「ふっ、慣れた客は最後に搭乗するものさ」という表情を作ってキャビンに登場しました。
着席後20分ほどでドアクローズだったので、実は余裕です。定時22:50発、06:45着の夜便。機体が動き出したのは22:55ぐらいでしたから、時間通り。
B777-300ERのファーストクラス。
3年前、恐る恐る出かけてみたシンガポール航空の新シート展示会にあったモノと同じです。
シンガポール航空の次世代シートの展示 - バス代わりの飛行機
あれ以来、すっかりサロンケバヤにも慣れましたが、それは主にMalaysia Airlinesに多く搭乗したから。その時は案内されるままにファーストクラスのシートを体験してから、係員に「もっと現実的にビジネスクラスを...」と言った記憶があります。ビジネスよりファーストを先に体験するとは、予想していなかったのですね。
このシートは幅が相当あり、スペースは最大級です。居住性は良好を超えて、贅沢な感じがします。モニター画面との距離も適切。
テーブルは面白い形でモニターの下に収納されています。誰かと向き合って食事をするのは、無理なようでした。テーブルを引き出すつまみの横には、アウトレットが。この席では窓側です。
モニター下の足入れのサイドに物入れがあります。
これはまずまず重宝しました。鞄は入りませんが、アメニティー、寝着、アイマスク、靴下、スリッパ等の様々な「給付物」は全て収納することができます。
シート左側にあるシートコントローラー。
天井からのライトは2か所。シートの前方と後方に配置しています。それとは別にヘッドレストの両側の壁部分に、やはりライトがあります。4箇所の個人灯ですから、光量や照射角度が細かく調整できるでしょう。自然な光が得られます。
このシートは、リクライニングの延長でフルフラットにする構造ではありません。全く異なるメカニズムでフルフラットになります。客自身が操作してベッドにすることは想定されていません。ベッドとしての性能を追求した結果、そういう設計になったようです。広い幅と相まって、大変よく眠れるベッドでした。今まで利用したフルフラットシートの中ではベストです。
革の質が良く、座っている時も快適です。Singapore Airlinesの作っているプロモーションビデオ、Creating Around Youを思い出してしまいました。
シートの右手、座面に近いところにも物入れがあります。これは眼鏡やペンを置く程度の大きさしかありません。
ここに限らず物入れは、開けると内部の照明が点灯します。細やかな工夫があちこちに感じられます。
メニューも配られます。ドリンクと食事は同じ冊子。今年は、シンガポール航空の70周年のようです。1947年は、前身のMalaysia-Singapore Airlinesが初の有償飛行を行った年。
この航空会社は、Malaysia Airwaysとして1937年に創立したそうですが、創立以来10年間、全く飛行がなかったという航空会社ということでしょうか。奇妙な話です。シンガポールの建国は1965年。運航停止になるほど問題がこじれ、結局この航空会社は、1972年にMalaysia AirlinesとSingapore Airlinesに分裂します。
建国より18年も前からある(つもりの)航空会社。いつも大きな顔をしている理由もわかる気がしてきました。
一方、Malaysia Airlinesは70周年のことを不思議なほど騒いでいません。奥ゆかしいのでした。
離陸時のキャビン後方の壁。
もちろん飛行機ですから、軽くて安っぽい素材しか使えません。その制限の中、精一杯デザインを頑張っています。天井に物入れがないため、のびのびとした空間になっているのは、ファーストクラスならでは。少しの差でしかありませんが、空間が醸す気持ちよさは格別。