PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ブリティッシュエアウェイズの新しい安全のビデオ

安全のビデオは、搭乗客の注目を集めなければなりません。紋切り型で同じものばかり見せられては、客はそのうち見なくなり、いざという時レッスンが生きてこないという事態になります。実演なら毎回それなりに新鮮ですが、ビデオではすぐ飽きます。オペラ作品の上演頻度と、テレビ番組再放送の頻度を見ればわかるという喩えは極端ですが、省力化が死のリスクを上げてはまずいことになります。航空会社も無策ではありません。慣れを避けるために、安全のビデオに工夫を凝らすようになっています。

 ネット空間に誰しもがビデオを公開できる今日、企業も自社宣伝やイメージ形成に同じプラットホームを使うようになりました。センスの良い安全のビデオを作り、公開するようになったのも自然な流れ。各社のユニークな作品はキャビンでも提供され、空の旅は楽しくなりました。

 

機内安全概論はこんなところにして、作品のケーススタディ。9月からBritish Airwaysの安全のビデオが新しくなっています。出演者のオーディションか、makingの別撮のように仕立ててあります。そこがユニーク。Youtubeで見ることができます。

British Airways safety video - director's cut - YouTube

Thandie Newton, Gillian Anderson, Rowan Atkinsonなど、著名な俳優がゾロゾロ出てきますが、イギリス食文化の最後の砦、Gordon Ramsayの姿もあります。

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確か彼は、BAの機内食開発にも協力していたはず。そういうご縁ですか。

 テレビのパーソナリティとしても著名な方なので、ビデオ出演にも無理はありません。外国人の場合、このビデオで何人の出演者を知っているかで、現在のイギリス文化への馴れを自己診断できます。もっともイギリスの場合、現代の事柄より16世紀の事柄の方が何千倍も意義深いので、今生きているイギリス人を全然知らなくても問題ありません。それからGillian Andersonはイギリス人ですか?

 

このビデオは7月に公開され、もう777万回以上再生されています。British Airwaysは、こういうことになると注目度が抜群に高いようです。Air Franceの安全のビデオは2015年、Youtubeに公開されました。幾つかのアップロードがありますが、再生回数の合計は300万回を超えそうにありません。普段意識しませんが、フランス語ってマイナーなのですね。

 

安全のビデオには屋外や大自然の中で撮影されたものもありますが、BAの新版はそこまで大胆ではありません。しかし屋内のセットで型どおりの文句を唱えても、このビデオだと自然と注意して見ます。良いアイデアだと思いました。

 JALのように安全のビデオはアニメーション、グラフィクスばかりという会社もまだまだ多いようですが、飽きやすくて問題。こういう会社は、BAに負けないアイディアにあふれたビデオを披露してくれることを切に願います。