JALは少しでも遅れると、「遅れて申し訳ございません」アナウンスがあります。それに合わせて客室乗務員のシンクロナイズドお辞儀。閾値を5分として、扱いが異なります。近年始めた、あるいは目立つようになった気がします。もちろん諸外国の航空会社では、5分ぐらいで謝ったりしません。日本でも5分の遅れを「たるんでいる」と言ったりするのは、トップレベルの偏屈/無知/無能。JALのやっていることに「うっとおしい」とか、「やり過ぎ」とか、「狂っている」とか声が出るのは当然です。つまり、デメリットが大きいわけです。それでは何故行うのかというのが、今日のテーマ。
Flightstatsという航空便のスケジュールと、実際の着発時刻の記録を集めたサイトがあります。フライトの着発時刻を確認することができ、有用なサイトです。そしてありがちな話ですが、全て集計して航空会社や空港のランキングを作ってしまえ!という発想が出てきます。こうして毎年発表されるユニークな定時到着率ランキング。必ずニュースになるので、目にしたことがある人が多いはずです。
17年の定時到着率、JALがアジア太平洋1位 世界一はデルタ航空
サイトでは毎月の定時到着率も報告しています。
Airline On-Time Performance Reports – FlightStats, Inc.
2017年、アジアパシフィックキャリアの部門でJALが世界一でした。2位はSingapore Airlines。そして3位はANAでした。
9th Annual On-time Performance Service Awards – FlightStats, Inc.
同部門の順位がどう変わってきたか表にしました。
2017 1 3
2016 1 3
2015 1 2
2014 1 3
2013 1 2
2012 1 2
2011 1 2
2010 1 2
常にJALがチャンピオンですが、油断できない状況です。
Flightstatsは15分以上の遅れを遅延と定義しているようです。JALはだいたい90%に届かない程度。定時運行は公共輸送の肝。ANAに抜かれることは、耐え難い恥辱でしょう。チャンピオンの苦しみそのものです。
実はそれより深刻なのは、遅いながらも確実に進展する新幹線の整備。国内旅客の奪い合いは、熾烈になる一方です。全列車の年間平均遅延が36秒だとか、52秒(10秒単位で記録?)だとか言っている新幹線とJALは比べられるレベルにありません。「時計のように正確(réglé comme une horloge, pünktlich wie die Uhr)」という言葉どおりに運航される驚異の鉄道が真のライバル。楽ではありません。皮肉なことですが、空港アクセスのN'EXだとずっと落ちるでしょう。
ここからは想像ですが、JALは定時到着率をdrastisch に向上させる取り組みを始めたのではないでしょうか。現場で大げさに反応させることにより、従業員が遅延に敏感になるよう仕向けているのではないでしょうか。
しかしそれだけでは、あまりに弱すぎるというか、無策に近い気がします。きっと地上のハンドリングにも、搭乗客の迷子にも、新しく対策を講じているに違いありません。
チェックイン締切は、厳しくなっているのではないでしょうか。乗継客への遅延対応も接続便を待たせて乗り遅れをなくすより、定時厳守、遅れた客を個別にフォローする方向に変わってくるのではないかと思います。あるいは今はまだ実施されていなくても、近い将来そうなるのではないかと...。
5分以上の遅延で定形の謝罪。絶対不自然なので、少し注意して観察したいところです。