PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

4周年

このブログは、2014年3月22日が記事1号でした。それから4年。今日で 943 記事。全期間を平均すると1.55日に1記事書いています。PVは合計で167万 ぐらい。1記事が 2.4回/日閲覧されています。小難しいことをちりばめ、皮肉だらけである割には、読んでもらっている気がします。読者には感謝。

 

こういう文章のスタイルは、子供の時から変わっておらず、やりやすいのでした。

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1周年の時に書きましたが、ブログ維持の第一義は日本語の練習。無数にある個人発信の中で、自分の書いた物が意味を持つために一定のスタイルは役に立つはず。

  加えてブログを続けるほど重要だと思うようになったことは、経験したことを書くこと、経験に基づいて書くことです。

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例えば、国内線の予約サブクラスが不明瞭な件。BAのExecutive Clubで40 Tier pointsになるJALクラスJの料金区分が人によってはとても大切。これをJALに電話で照会すると、特便割引以上という返答があるとか無いとか。

 この情報を基に特便割引のみ買うのは、一つのやり方ですし、電話の回答を「自分の経験」として発信することも有意義です。しかしある時、気の迷いから買った先得割引でも40 pts加算され、「あれ?」となった BA の会員もいると思います。

 これはおそらく、国内線の料金区分と予約クラスの対応が固定していないためでしょう。運航会社や路線によって、同じ予約クラスが異なる料金区分になっていても不思議ありません。一方で、予約クラスと料金区分は対応があるという先入観があります。電話照会した経験がないので明言できませんが、JALの回答は「特便割引以上なら、必ず40 Tier points得られる」という意味だったのではないでしょうか。高い料金で航空券を売りたいというより、それ以上の詳細は、複雑すぎて答えられないのでしょう。

 

先入観による必要条件と十分条件の取り違えで整理できそうです。

 

この誤解はどこでも起きます。ブログではありませんが、ブログ執筆でも起きそうな例を。2月末の欧州の寒波。3月3日のYahoo!ニュースで、

...「シベリアのクマ」。そんな異名をとる大寒波がヨーロッパ各地を襲っています。...今回の寒波は「シベリアのクマ」とも呼ばれるほど非常に強力で、...

と報道されていました。

大寒波「シベリアのクマ」 欧州で歴史的寒さ、地中海にも雪(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース

それに対して、

...今回の大寒波は"Beast" 野獣と呼ばれていて、”Bear”クマじゃないと思うけど、違うものが来てるの?

という皮肉交じりのコメントが付いていました。

 

どうして齟齬が生じたのか興味を持ったので、調べてみたところ、

・報道側に調査不足か不誠実、またはその両方

・コメンターに先入観

が隠れていました。3月1日の Südkurier Online は、

..."The Beast from the East", "Sibirischer Bär", "Schneekanone", "Moskau-Paris" - Medien haben der Kältewelle eine Vielzahl von Namen gegeben.

(「東からの野獣」、「シベリアのクマ」、「人工降雪機」、「モスクワ―パリ」-この寒波にとても多くの名前をメディアは与えている。)と4つの名を明記しています。

Wetter: Verkehrschaos, klirrende Kälte und Schneestürme: Der Winter hat Europa fest im Griff | SÜDKURIER Online

 

AFPも、

Surnommée «La Bête de l’Est» par les médias britanniques, «L’Ours de Sibérie» aux Pays-Bas, le «canon à neige» en Suède ou le «Moscou-Paris» en France, cette vague de froid a fait au moins 41 morts depuis vendredi...

(英国のメディアでは「東からの野獣」、オランダでは「シベリアのクマ」、スウェーデンでは「人工降雪機」、フランスでは「モスクワ―パリ」と異名を付けられたこの寒波は、金曜日以来、少なくとも41人の犠牲者を出した。)

と同じ4名称を紹介、どこのメディアが命名したかまで報道しています。

Au moins 40 morts en Europe à cause du froid sibérien - Libération

英国、英語では「野獣」だったようです。

 

メディアはセンセーショナルな名前を好み、誤解を招く可能性なんて気にかけません。むしろ、大衆を誤解に誘導することが使命という連中が多いのがメディアです。一方、コメントした読者は英語(と日本語)のメディアにしか接しておらず、英語の報道を無意識のうちに普遍だと思い込んだようです。

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これら2例からのレッスンは、情報の再構成には先入観の介在が不可避で、特に必要条件、十分条件の区別で間違いを犯しやすいということです。JALから回答を得て、「クラス J は特便割引以上でないと、40 Tier pointsは得られない」と書くと嘘になりますが、ありそうな過ちです。そういう調査よりも、先得割引で搭乗する一つの経験の方が勝ります。英語で情報を得る人は、世界を知るにはそれで充分だと無意識に思うようで、それとズレたものを間違いと判断しがちです。別言語では、別のことが書いてあることも多いのですが、忘れがちです。

 引用させて頂いたコメントは、先入観から知らぬ間にウソを書いてしまう危険性を伝えてくれました。そして経験や経験の裏付けを書くことの重要さを示唆します。 

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経験は真実ですから、情報としての価値が高いのです。キーフレーズにするなら、「経験は真実」よりも「経験は情報としての価値が高い」の方でしょう。今の時代は。