永遠のライバル
パリとロンドンは長いライバル。Londonで3回やったから、Parisでも3度目をやるねと、オリンピックも気にかける全世界公認の仲。バス代わりの飛行機でも、ヒースロー空港の Heathrow Rewards を記事にした以上、パリ空港についても同じ配慮が必要です。世界の意志ですから。
パリにも空港会員プログラムがあり、その名は My PARIS AÉROPORT。全くセンスが感じられない命名。
Heathrow Rewardsは、ヒースロー空港のみが対象。一方、My PARIS AÉROPORTは、理屈の上ではパリ三空港が対象。現実には Le-Bourget を除いた、Charles-de-Gaulle、Orlyの2空港で役立つと思います。三空港の運営会社は ADP と言いますが、会員プログラムも ADPと直接関係しているようです。
このプログラム、espace cyber (= cyber space) に存在する感じが妙に強いのです。経費を最小限にして、最大の効果をもたらすよう徹底しているようです。
http://www.parisaeroport.fr/passagers/services/my-paris-aeroport
会員プログラムに入会すると...
トップページはこんな感じ。
11言語に対応しています。ADPのページと全く同じ言語が使われています。見方を変えれば、パリの空港のお得意様リストということですね。
入会は、メールアドレスとパスワード、少々の個人情報を入力するだけ。いたって簡単です。直ちに個人ページがつくられます。QRコードが個人番号の代わり。目下のところ、会員番号もカードも存在しないようですし、たぶん将来も作らない雰囲気。
入会するともれなく100 pointsもらえます。いろいろと記録できるコーナーが用意されます。プラットフォーム先行社会の面目躍如と行ったところ。空港に行くといたるところに積んであるADPの雑誌も、電子版が無料で読めます。
空港に着いたら、会員はログインして過ごすことが期待されているようです。この設計思想は、高速 Wifi の利用、アラートやイベント紹介などに現れています。
なお会員特典とは関係が薄いと思われる空港案内、空港のキャンペーンのお知らせ、パリの観光案内、イベントの案内を紹介するリンクもすでに整備されています。
案内するにしても、空港とパリとで「書式」が全く違うのが目を引きます。それなりの事情があるのでしょう。新しいシステムを立ち上げると、アイデア実現を徹底するあまり、手が付けられないほど複雑になるのがフランスの日常。最初から妥協するのは良い傾向。
「何はともあれ、パリが好き」な妙齢のご婦人は、あまりネット利用をしないと思いますが、居場所ができる感覚だけでも価値があるのではないでしょうか。
会員特典
① 入会すると100 ptsの入会記念ポイントがもらえ、週末の駐車料金を一度10%割引いてもらえます。駐車特典はオンラインで予約、入会より12ヵ月以内に利用しないといけません。
② 空港で高速 Wifi が無料、制限なしに利用できます。これは一般に開放されている Wifi とは別で、容量が大きく、定期的に自動切断されることもありません。地味に良い特典に見えました。
➂ BuY Paris Duty Freeで化粧品、香水類、ワイン、酒を購入する場合、Relay、Air de Paris、Travel&Co.を利用する場合には、5%割引となります。
パリの空港でお土産品を買うなら、食品や香水類になることが多いと思います。ある程度の値段になりますから、5%はうれしいのではないかと。
個人的には、Relayで雑誌、観光ガイドを買うことが多いのですが、これらは割引対象外です。注釈で小さく書いてあります。おそらく法令、税制による制限。
④ オンラインで駐車を予約すると、5%割引。これは「空港へ行く」人向けの特典で、「パリに行く」人向けではありません。
⑤ BuY Paris Duty Free、Relay、Air de Paris、Travel&Co.を利用した時には、1ユーロ当たり 2 pts得られます。
つまるところ、これです。商業で顧客の会員組織を作るなら、ポイントしかありません。個人的には CDG, ORY でワインを良く買いますが、これはボディブローのように財布に響く商品。ポイントはそこそこの勢いで貯まりそうです。
⑥ ポイントは、同じくBuY Paris Duty Free、Relay、Air de Paris、Travel&Co.の利用時にクーポンとなります。500 ptsあたり 5 EUR。2%の戻しでした。
入会時に100 ptsもらえますから、最低200 EUR使ってからクーポン利用ということですね。なお雑誌購入には使えません。
⑦ ポイントは、Air Franceのマイレージプログラム、Flying Blueのマイルにも変換できます。これも500 pts単位で行われ、1 ptが 1 mileです。
免税店で50,000 € 利用すれば 100,000 pts得られ、パリ-東京間ビジネスクラスの移動も可能になるという計算。50,000 € の利用と言えば、Romanée Conti 3~4本。ひょっとしたら、日本到着時の免税範囲に収まるかもしれません。スリリングですね。
ただ 2E のサテライト側(Halls L et M)は最近ご無沙汰しているので、そういう買い物が今でもできるかどうかよく知りません。
⑧ ポイント称賛+入会煽動サイト向けの情報もありました。会員を紹介すると紹介者に500 pts。入会者は入会記念ポイントが 100 ではなく、250 になります。コピペできる宣伝文句をつくると、「当たり前ですが、会員を増やしたいから紹介ボーナスがあるのです。いつ無くなるかわかりません。今なら私の紹介があれば、入会ボーナスが2.5倍になります。」
この制度、悪用されそうな気もしますが、ちゃんと対策も立てていることでしょう。
⑨ 預入手荷物をビニールでぐるぐる巻きにするサービス。これを 2€割引。
パリのことですから、店頭には生分解性フィルムだとか書いてあるのではないでしょうか。
➉ 両替での優待もあります。手数料が50%引き。会員カードを提示するとその場で割引が受けられるということですが、そんなカードは無いと思います。会員情報はQRコードで示されるのみ。会員番号もあるのかないのか、示されません。
どの会員になるか
永遠のライバル ― ここではもちろん、Heathrow Rewards - との比較は不可避。
特典の種類は多い方。利用できる空港も多くなります。ただしポイントの対象となる店・サービスは圧倒的に少なく、見劣りします。一方でポイント還元率は2倍と良好。免税店での利用が主体になりそうです。ポイントは別にしても、免税品 5%Offですから、パリ旅行をするなら入会した方が良いに決まっています。
実は比較には、それほど意味はありません。ロンドンではHeathrow Rewardsを使い、パリではMy PARIS AÉROPORTを使うしかありません。どちらを使うか迷うなんて場面はそれほどないはずです。
例外は両方の空港を通る時。免税品をどちらで買うかという問題が生じます。その時には、会員プログラムも判断材料になりえます。酒にしろ、香水にしろ、現地生産品が安い傾向は不動です。双方の会員になり、得になるよう買い物をして、2箇所でポイント集めをするのが、良いのではないでしょうか。
なおMy PARIS AÉROPORTには、上級会員制度は無いよう没有な様子。プラットフォームを見ると、将来はできてもおかしくありません。しかし航空会社のマイレージプログラムと違い、会員種別を創ったところでどこまで効果があるのか疑問です。