PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

JL175:HND-GAJ クラスJ(その1)

前記事は珍しく国内旅行記になりましたが、もともとこの搭乗記の前文でした。長くなり過ぎたため、独立させてしまいました。

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山形なんて縁もゆかりもない土地、延々と書く理由はありません。予想に反して、印象が強烈だったから長くなる訳です。こういう経験は、自分が無知であることを思い出すのに良い機会。

 

さて山形がどれだけ素晴しくても、前座とするのがこのブログの宿命。本題に移ります。このJL便は、かなり特徴的なのです。大雑把に見ても、

(1) E190の羽田便

(2) J AIRの運航する羽田便

(3) 190 milesという短距離便

(4) 小さい山形空港の発着便

と珍しい点がいくつも出てきます。

 

搭乗客としては、まずJ AIR Embraer 190 のクラスJシートに眼が行きます。このシートは、同社が 2016年に E190 を導入した時からあります。普通席が横4列入る幅に3列と、かなり贅沢な空間の使い方。見た目も重役用という感じ。

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標準的なクラス J が設備されるB777-200では、横10列入る幅に8列ですから違いは明らかです。シートを理由にスケジュールを調整、この機材運航便を選択する人もいそうな勢い。E190の機材自体が新しいことも魅力です。さらにサイズからくる搭乗時の特徴も、B737では味わえない独特なものです。

 

そのE190は J AIRの運航便。J AIR伊丹空港がハブで、伊丹からの地方都市便の大部分(福岡、青森、三沢、秋田、花巻、山形、仙台、新潟、出雲、松山、大分、長崎、熊本、宮崎、鹿児島)を担っています。羽田からは、

三沢 (3 往復中 1 往復), 山形 (2 往復全て), 南紀白浜 (3 往復全て), 宮崎 (6 往復中 1 往復)

のみです。つまり J AIR は、羽田では珍しい存在。「珍しい=乗ってみたい」の原理が働きます。

 機内サービスもJAL本体の運航便と明確に異なります。あっさりしています。客室乗務員の引きつった作り笑いもありません。Pechedenferは、JAL クルーの作り笑いに対して同レベルの作り笑いをして応酬するのですが、それをしなくてよいので楽ちんです。

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高速鉄道網は東京中心に整備されているため、東京発短距離路線は存続しにくいはずです。4時間以下が新幹線、それ以上が航空機と言われますが、平均時速200 km /hで4時間なら500 miles。つまり羽田線は、500 milesぐらいに分岐点があります。羽田-山形はわずか190 miles。(時刻表ベースで)羽田発のJAL便で最短路線です。あの羽田ー中部より短いのです。

 それではなぜこの路線が可能になるかというと、地形とその結果としての鉄道が原因です。東北新幹線は良いとしても、福島から米沢までの奥羽本線の地形が悪く、長大なトンネルでも掘らない限り、スピードは望めません。

 それでこの路線は鉄路とほぼ拮抗するレベルにあります。羽田の朝便JL175に搭乗すると、公共交通機関だけで山形県庁に9:00前に到着します。山形駅へは9:05ぐらい。一方陸路では、東京を早朝出発、全区間新幹線利用で山形駅が9:00ちょっと前、県庁9:00は無理という具合。東京の南西部だと空路の方が遅く出発でき、北東部だと新幹線の方が遅く出発できるという状況。更に言うと昼間だと仙台まで新幹線、仙台からバスという経路が早いことが多く、山形新幹線すら苦戦しています。

 

山形空港の置かれた立場も微妙です。一般に空港整備は、陸路が便利な都市で遅れる傾向があります。「羽田と成田を使えばいいでしょ」、「伊丹、関空、神戸があるでしょ」、「なんで中部じゃダメなの」と、千葉、埼玉、神奈川、栃木、群馬、山梨、京都、滋賀、奈良、和歌山、三重、岐阜には大都市型の空港は整備されませんでした。茨城空港だって必要性がガチャガチャ言われる始末です。

 微妙なのが静岡です。東京と名古屋の中間で新幹線での移動が大変便利。空港いるの?みたいな感じでしたが、作ってしまいましたね。年間乗降客数60万と、全国平均以上に利用されており、意外と盲点でした。

 山形空港も同じような位置にあるかもしれません。整備は早かったのですが、滑走路を2,000 mにして便利になったと喜んでいたのも10年間。山形新幹線開通で、乗降客は 7分の1、11万5千ぐらいまで減り、現在持ち直して、年間 22~25万人程度。持ち直しても羽田空港の1日の乗降客数です。

 この空港の特徴は、誘導路がない点にもあります。つまりターミナルへの移動も滑走路上で行います。地上をのろのろ動く間、滑走路の隅で方向転換する間、他の飛行機が離着陸できないので、かなり暇な空港でしかこの構造はありえません。ターミナルに搭乗橋はいるの?という感じがしますが、降雪があるので必要なのでしょう。数は最低限と思われる2です。

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滑走路の端で方向転換している最中に外の風景を撮りました。美しくも険しさを感じる山なみ。

 

なお山形空港の定期便は、JALの伊丹便3往復(ajouté le 30/09/2018. Merci KJ.)と羽田便2往復、FDAの小牧便2往復と新千歳便1往復です。しかしJALが支配者の顔をする FDAの王国という感じがしました。