PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

JL723:NRT-KUL ビジネス(その1)

経営破綻後の再出発から JAL はかなりの勢いでキャビンの刷新を進めました。今日はビジネスクラスの最新にして最終型(?)の Sky Suite III。ここ1,2年、最新型が最上とはならないビジネスクラス。世界的な流れですが、このシートでも最新、先端を喜ぶ客は少ないと思います。

 可能な限りシートを詰め込むことに成功した逆ヘリンボーン型配置。悪い意味で評判になっている「足クロス」シートです。 

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前後の間隔が小さいことは、一目で分かります。

 

ファーストクラスチェックインでのアップグレード案内

時間を2時間半ほど遡ります。第二ターミナルのチェックインホールの様子。理由は分かりませんが、混んでいるように見えました。

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歩いていくと、ビジネスクラスチェックインの島が最初に現れます。そこで案内されることにしたところ、結構な人数の列が目に入ったので隣のファーストクラスチェックインの島へ。owエメラルド会員の特典です。チェックインなんて、さっさと済めばどこでも大して変わりません。会員レベルを上げると、こういう時融通が利き、便利。小さなストレス解消が大きな会員特典。

 

ファーストクラスチェックインカウンターでは、面白い案内がありました。

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目立つように置かれたA4シートは、当日アップグレードの料金案内です。

 しかしここはファーストクラスのチェックインカウンター。それ以上のアップグレードは無いはず。どういうことかと、ついつい読んでしまいました。プレミアムエコノミークラスへの有料アップグレードでした。一瞬混乱しましたが、状況はすぐ分かりました。

 

JALの事情も理解できますが、やることがちぐはぐ。JALの顧客には、SMSでの個別連絡では不十分なのでしょう。平成終了のカウントダウンが始まっているのに、「電子通信」に慣れていない客が大半だという気がします。海外だと受付嬢が口頭で勧誘しそうですが、それもできないのは客層に特有の何かがあるのでしょう。

 

出発はサテライトから

本館からガラス張りの通路を徒歩移動。しかし空は晴れ渡り、気持ち良い散歩となりました。鶴丸がずらりと並ぶ中に、闖入者のようにマレーシア航空が見えます。遠近法を無視するかのように現れる垂直尾翼は、A380に違いありません。

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一方、本日搭乗する機材はこれ。JALB787-9 です。

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カンタスラウンジの方が搭乗ゲートに近いはずですが、カウンターで案内されたとおりにJALラウンジに寄ります。

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今回驚いたのが、搭乗券に表示された搭乗開始時刻。出発予定時刻の20分前です。JAL国際線には頻繁に搭乗するわけではないので、いつからそうなっているのか見当もつきませんが、20分前からの搭乗は国内線と同じか、さらに短いはず。中長距離国際線の搭乗開始は、世界的には40~60分前のところがほとんどでしょう。

 Pechedenfer は常々 JALの客が世界一素早く搭乗するという印象を持っていましたが、20分前を全搭乗客への指示にするとは大胆。

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しかし本当に20分前に開始して、出発予定時刻にはドアクローズの儀式(「セットスライドバー。」ではなくて、「客室乗務員はドアモードをアームドに変更して...」)が終了しており、3分後にはプッシュバックが始まりました。

 

B787-9の搭乗で20分が余裕。驚異の JAL 顧客集団。これは航空会社の定時制ランキングに多大な貢献をしているはずで、彼らが IT 化から取り残されたコミュ障だったとしても十分補償できています。

 

スカイスイートIIIのシート

搭乗時にシート上に置いてあるものは、クッション、毛布、ヘッドセットなど。航空会社によってそれほど違いが有るわけではありません。そんな中でJALの特徴は、縦方向をかなり意識して配置することです。緊張感が生まれます。

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道具一式。スリッパは、日本人に喜ばれるアイテム。

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最近のフルフラットになるビジネスクラスのシートは、前方シートの未利用空間が「足入れ」になりますが、その空間の余裕はシートによりまちまち。大きいと寝返りが楽に打てますし、小さいと足が固定されます。Sky Suite IIIでは、この写真のとおり。

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大きさの見当が付くように、スリッパを置いてみましたが、横・奥行きはまあまあであることが分かるでしょうか。しかしながら、高さは狭く感じられます。モニターと「足入れ」空間の間に斜めに入った黒い壁が気になります。何かが詰まっているため利用できない空間に見えますが、その「何か」とは隣席の客の足です。これぞSky Suite IIIの「足クロス」配置。

 その結果、このシート(D席)は普通の逆ヘリンボーンシートより床に近く、隣席(G席)は床から遠いことになります。見たところ約15cmずつ上げ下げしているようです。

 

フルフラット、全席通路アクセス、シート詰め込みの三要素を全て兼ね備えるビジネスクラスは航空会社の夢でしたが、そのキャビンはここに実現しました。涙ぐましい努力が露骨に表れていますが、Sky Suite IIIの未来に幸多きことを祈念いたします。