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スカイチーム、ワンワールドの内紛

忙しさにかまけてブログから離れているうちに、いろいろ重大な事件が起きていました。まずはSkyTeam から。

 

中国南方航空スカイチームから脱退

航空連合というカテゴリーを作ったら、今年の三大ニュースに確実に入ります。スカイチームには、大陸中国から

 

中国東方航空(26国217都市 1,880便/日 79.1百万旅客/年 営業利益880億元)

中国南方航空(40国190都市 1,930便/日 86.5百万旅客/年 営業利益985億元)

厦門航空(  9国  63都市      646便/日 18.5百万旅客/年 営業利益161億元)

 

と3社も加盟しています。このうち規模が小さい厦門航空は性格が異なりますが、中国東方航空中国南方航空は、国内輸送と国際輸送の双方を担う大航空会社。機能が似ている上、会社の規模も良い勝負。本拠地も上海と広州ですから、世界的な路線網を形成する上で充分離れているとは言えません。当然「キャラがかぶる」ことによる衝突が起きます。

 アメリカの巨人デルタ航空は、成田がアジアのハブとして使いにくくなってきたためか、旅客増大が見込める中国へは直行便で対応、さらにその先の大陸中国諸都市へは、提携会社の運航便を使うようになりました。成立に携わったスカイチームから提携先を選ぶのは自然ですが、その相手は中国東方航空でした。コードシェア等の協力関係は、ほとんど東方航空が持っていきました。その結果、スカイチームに加盟していること自体が南方航空に不利に働くことになりました。

  というのも、航空連合では加盟各社は、連合外の航空会社との提携を無制限に行えるわけではないからです。聞くところによると、スカイチームは3大連合の中で最も制限が強いそうです。デルタが東方航空を「ひいき」すると、南方航空は太平洋路線で主導権をとられ、面白くないというレベルでは済まず、深刻な打撃を被る事になります。

 中国南方航空は、アメリカン航空との提携を強化しますが、スカイチームの制限がかかります。こうしてスカイチームに留まるより、外に出た方が経営上良いとの判断があった模様です。

 

中国南方航空の発表は、スカイチームからの脱退ではありません。2019年1月以降の加盟継続はないというものでした。驚きなのはこの一大変化に、関係者が対応するための猶予期間が45日しかないことです。

China Southern Airlines to quit Skyteam alliance of carriers, with potential danger for Hong Kong’s Cathay Pacific | South China Morning Post

スカイチームの方では、2019年1月1日、中国南方航空の突然消滅は回避するつもりで、1年程度の緩衝期間を設けるようです。スカイチームの顧客は、発券済のコードシェア便が無くなり、未知の都市にビザ無しで足止めされる事態は心配しなくても良さそうです。

 

さてスカイチーム脱退の原因となったアメリカン航空との提携拡大ですが、当然すぐに強化されるはずです。すると、中国南方航空ワンワールドへの加盟という噂が出てきます。アメリカン航空は、ワンワールド創始者5社の中の1社。この会社の規模は巨大なのですが、素人目には充分ではなく、中国南方航空が大小のワンワールド路線を活用できる効果は大きいように見えます。

 ここで問題になるのが、やはりワンワールドを創始した1社であるキャセイパシフィックの意向。有名な香港の会社です。広州ベースの中国南方航空は、ここでも「キャラがかぶる」羽目になります。加盟話には、キャセイが「拒否権」を使うと見られています。

 

全世界を網羅する航空連合は、20世紀前半までの欧州の発想という気がしますし、航空連合を始めた会社が、連合外の会社と提携をどんどん進める時代です。中国南方航空の場合、航空連合が機能不全を起こした例と言えそうですが、今後こういうケースが増えても不思議はありません。完全解体にすることは無くても、航空連合の役割は縮小へ向かうと思います。

 

カタール航空ワンワールド脱退?

一方のワンワールドでは、カタール航空が脱退の可能性を再度警告しています。社長兼スポークスマンとなっている Akbar al Baker が強い調子で述べています。

Qatar Airways menace de quitter Oneworld et de créer sa propre alliance mondiale

カタール航空が気に入らないのは、ワンワールドの機能不全ではありません。簡単に言うと、アメリカおよびオーストラリアへのビジネス拡大を朋友であるべきアメリカン航空カンタス航空が「妨害」していることです。

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どのぐらい彼の主張が正当であるのか、素人には判断できませんが、これら2社が「妨害する」動機は十分ありそうです。カタールは安いし、サービスは良いしと、競争力抜群。気を許すと多くの顧客が奪われることは間違いなしと、そんな所でしょう。

 

特にオーストラリアのカンタス航空は、あろうことかカタール航空の最大のライバルと言うべきエミレーツと広範に提携、欧州―オセアニア間の移動で有利なビジネスを展開しています。そしてエミレーツの本拠地の UAE は、現在カタールの航空会社に領空の飛行を禁じている国の一つです。

 今、世界から注目されている2社 - バス代わりの飛行機

ドーハからハルツームに行くなら、とんでもない遠回りをすることになります。

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国家間紛争が、カンタスエミレーツ連合への反発に拍車をかけていることは想像に難くありません。

 

 Akbar al Baker 氏は威勢が良い社長で、こういった物言いは以前から多かったのですが、今回は様相が違っています。というのも、カンタスからも「脱退は勝手だ」と言わんばかりのステートメントが出たからです。カタール航空が発言どおりのアクションをとることを、容認ないしは奨励しています。

Leave if you’re not happy, Qantas CEO tells Qatar Airways in response to Oneworld exit threats | South China Morning Post

水面下では、不可逆的に断裂へ向かって話が進んでいるのかもしれません。

 

カタール航空は BA、Iberia、Aer Lingus などの親会社 IAG の20%、Air Italy の49%、LATAMの10%、Cathay Pacificの9.6%などを保有ワンワールドを出ても、資本関係を基に結構な提携路線網が作れます。

 

カタール航空も「状況は整っており」、近い将来、航空連合を脱退する可能性が高いのでした。