PECHEDENFERのブログ

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エールフランスの新しい会社 Joon の消滅

偶然の一致

1月11日のニュースに驚きました。Joon が 親会社 Air France に合併吸収され、消滅するとのこと。 

 

www.lemonde.fr

 

驚いた理由は、そのニュースが当ブログでの初めて搭乗記

エールフランスの新しい会社 Joonの旅 - バス代わりの飛行機

のアップロード(11日0:00JST)とほぼ同時だったからです。

 

絶妙のタイミングとも、最悪のタイミングとも言えますが、何やら因縁深いことになりました。このことは、長崎の DRK 先生がサラリとツイートされています。

 

 

草生えるのは先生だけではなく、Pechedenferも同じです。ともあれ、この会社、運航開始が 2017年12月1日。経営陣の交代があったとは言え、「鳴り物入りで始めた」LCC移管を 1 年で中止宣言では、Air France が迷走しているように見えます。大丈夫か、この会社と感じる人も多いと思います。念のため調べると、確かに株価は報道と同期して変動しています。

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報道では

Air Franceの発表によると、11月半ばに始めた議論の結果、AF-KLM の PDG、Ben Smithと、AF-KLM 客室乗務員の労働組合の内、代表的な3つ(le SNPNC, l’UNAC, l’UNSA-PNC)は合意に達し、600人いた Joon の客室従業員は Air France が吸収、Air Franceの報酬体系に従って処遇されます。ただし彼らの経歴は3年遅れます。さらに今後新しく雇用する全ての客室乗務員には、新給与体系が適用されます。

 

2018年 8月に赴任が決まったばかりの Ben Smith の PDG は、赴任以来 Joon の創設を評価しないことを隠そうとしていませんでした。Joonをいぼ(疣)のように考えていたとのこと。他方で、彼はブランドの単純化も主張していました。Air France, Hop !, Joon, Transavia, KLMという体制は、彼の好みには多すぎでした。

 

Joon の運航コストは、AF本体と比べ、13%減。主な役回りは、AFの赤字路線の黒字化でした。これを達成するために、AF本体の水準から十分低い雇用条件で100人程度の客室乗務員を雇用しました。パイロットや地上整備等、運航そのものを担う者は AFの社員が行っています。

 

白書の上では Joon は現在のところ、その任務を全うしています。中距離路線で搭乗率は 5 ポイント上昇、90%に近くになり、利益が出るようになりました。ただしそこには目くらましがあると組合側は説明。Air Franceがインフラとコストをサポートする一方、利益は Joon に付けられていたとのこと。

 

1月9日、従業員宛のメールの中で Ben Smith は、Air Franceは「高い貢献をする旅行」に位置づけると書きましたが、これは「より払う乗客」を意味します。この「高級化」は「調和の意思」を伴うと組合側は指摘します。そしてビジネスクラスやプレミアムエコノミーの座席を増やすことにより説明されるだろうと。そしてBen Smithも「それが高くついたとしても、Air Franceの機材の中ではプロダクトをとてもフランス的にする」と断言したと、SNPNCの代表は述べました。

 

Joon は4月にも合併されますが、その後 HOP! にも Ben Smith は手を付けるようです。ブランドは残す一方、現在3種もあり、コストがかかり過ぎていると判断される機材群を合理化することを経営陣は考えていると組合側は説明します。

 

顧客は歓迎すべき?

Ben Smith氏、赴任して最初に行ったのが、前経営陣の大きな施策の撤回になりました。組合に屈したようにも見えます。これで AFはやっていけるのかどうか不安になりますが、当面のところはサービス水準が上がります。現在 Joonと AF 運航路線の料金は変わりません。機内サービスには明らかな差があります。欧州路線では、LufthansaBritish Airwaysの方が低価格であり、航空券価格のアップは難しいところ。コスト、価格にどう折り合いを付けるか分かりませんが、改革の狭間ではコストパフォーマンスが良い旅ができる可能性大です。

 

一方で、Air Franceという会社の行方も気になります。会社が破綻すれば、契約済みの内容が白紙になってしまいます。航空会社の破綻の場合、発券済みの航空券、マイレージなどが顧客に直接関係するところです。いろいろなシナリオが考えられますが、KLMが存在する限り、Flying Blue は救われそうです。AFを分離、運航停止にでもなると、航空券にはそれなりに影響があるはずです。今日、明日どうなるという問題ではありませんが、今後もニュースには注目していないと航空券も買えません。

 

経営に振り回された Joon。4月というエンドポイントがすでに報道に上がっています。ということは、未体験の人は2,3ヶ月内が搭乗のチャンスです。

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体験を逃したら絶対損、人生失敗ということはありませんが、Air Franceのファンで未搭乗の方がいらっしゃったら、お早めに。

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個人的には、せっかくいろいろと整備したのに徒労に終わり、もったいない気がして仕方ありません。Joon の立ち上げに携わった人たちは、さぞかし落胆しているでしょう。

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