PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

客室乗務員にかまって欲しい、あるいはかまって欲しくない場合は

飛行機に搭乗すると、型通りのサービスがいつも待っています。サービス業では、たいてい「型通りにならない=問題発生」なので、これは結構なことです。しかし心の中では、自分だけ特別あつかいして欲しい客が多いのは事実。そこで型にはまらないサービス、型を超えたサービスを自分だけ受けるにはどうすれば良いかが本日のテーマ。

 

逆に客室乗務員なんて人種とは最小限の接触に留めたい場合は、以下に書くことの逆を行えば、平和なフライトになる可能性が高くなります。

 

スペシャルなサービスと言っても、必要物品以外は何もない航空機の中。クルーと少し会話ができる程度が関の山。あるいは無料に近いオマケがもらえるぐらい。実利はほとんどありません。それなのに洋の東西を問わず気になる客はいます。何故でしょう。

 

0. 前提条件

第一に求められていない自己紹介、つまり「俺は何だ」という主張はしないこと。意味もなく近づく人間は、誰しも警戒します。よほどの個人的な事柄(例えば「俺は3歳の時に生き別れたお前の兄だ」、「俺は昨夜お前に舌打ちされたコンビニ店員だ」etc.)でもない限り、客室乗務員にこの「何」は無意味です。

 第二に声をかけやすい人間に見えること。不機嫌な人、何をしてもゲーム端末から目を離さない人、一人でぶつぶつ呟き続けている人には、余計なことはしない方が安全と判断するのが普通。以上の二点は、客実乗務員にとっては業務上のリスク管理です。

 

1. オプションのサービスを利用する

航空券はセットサービスです。ウェブサイトでポチっとクリックすることにより、自分を運ぶ、荷物を運ぶ、機内食を配給される、機内のトイレを利用するなど、航空会社が組合せたサービスを受ける権利を購入します。そして大多数の客は、このセットサービスのみを受けます。従業員からすると型通りの対応で済みます。

 ここでの目的は型を超えたサービスを受けること。オプションサービスが用意されているなら利用するのが簡単です。例えば機内販売の利用。業務のルーチンに飽き飽きしている客室乗務員も、(いつも予習するのに無駄に終わることが多い)商品の説明ができます。それをきっかけに会話が弾む可能性はかなり高いのです。

 機内販売を利用した結末は、こちらでレポート。これは少々極端なケース。

JL751:NRT-HAN エコノミー - バス代わりの飛行機

 

機内食の事前注文や特別食の選択も可能性を押し上げます。この場合はセミルーチン。単純に注文するのではなく、合わせ技が必要です。ただし食べ物の話ですから、動物なら関心があるはずです。注意をひく話題を探すのは容易なはず。

 

さらに JAL なら都道府県シールがあります。British Airwaysなら、チャリティー募金をする、ゴールデンチケットを贈るなどの方法もあります。これらの場合は、効果的な言葉を一言二言添えられる話術が必要です。

 

基本的な考え方としては、客室乗務員が新鮮な気持ちで仕事ができ、職業上の満足感を得られることがポイントです。客は搭乗するフライトで展開されるオプションに通じておくことも重要です。

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2.上級キャビン、特にファーストクラスを利用する

乗務員一人当たりの客の数が少ないので、余裕あるサービスが可能。サービス精神旺盛な乗務員に当たるとか、担当者がやる気満々だとかの場合には、向こうからいろいろ話をしてくる可能性が高くなります。

 ファーストクラスなら、期待したサービスが受けられなくて、しょげている程度でも声がかかるでしょう。

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同じ原理で、空いているフライトでは、客室乗務員は何かとかまってくれる傾向があります。混んでいるフライトより暇ですから。

 

3. 幅広くコードシェアする他社の マイレージプログラム で上級会員になる

彼らにしてみれば、新規顧客開拓(または顧客横取り)のチャンス。典型的にはJALのダイヤモンド会員が Cathay Pacific のビジネスクラスを使うようなケースです。個人の経験を言わせてもらえれば、JAL や Cathay は機会を見つけては熱心なアプローチを行います。

 oneworld の航空会社間では、搭乗客の会員情報は共有されます。自分から「俺はエメラルド会員だ」なんて言わなくてよいから楽ですね。しかしそれ以外に自社で独自のデータを持っているケースもあります。

 

具体的には降機前に自然に声をかけられたり、印象を聞かれたりすることがあります。搭乗中に「ありがとう」とか「おねがいします」とか、彼らのサービスに丁寧に応答しているとこの可能性は上がります。彼らの立場に立てば、話しやすい相手に見えることは重要。

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JALの場合 (おそらくANAの場合も)、機内食で和食の人気が予想を上回ることが良くあります。ビジネスクラス以上では、配膳前に全体の注文をとって調整することが多いようですが、こんな場合、真っ先に洋食への変更を交渉されるのもこうした外様の客のようです。そしてそれに応じれば、降機までに必ず謝罪が入ります。ここでも他社コードシェア客では、特別のコンタクトが増えます。

 

4. VIPになる

もちろん 0. 前提条件 は有効ですが、誰でも知っている有名人は、客室乗務員もお話ししてみたいのはやまやま。からまれる可能性が高まります。ご愁傷様です。

 そんな VIP になりたくてもなれないという残念な方、あるいは人の目がうるさくなるので御免だという面倒くさがりな方も大丈夫。航空会社に特有の VIP がいます。幼稚園や保育園の先生です。会社は、背後にいる子供たちへの刷り込みに期待するわけです。

 航空会社の選択では、刷り込みが想像以上に影響します。初めて海外に出た航空会社は印象に残っているとか、相変わらず使っているとか、刷り込みがある人の方が普通なのではないでしょうか。

 純真な子供たちへの効果が大きいことは、言うまでもありません。教室で飛行機の絵を描くなら、ペイントをしなくてはなりません。でたらめに塗るとリアリティがありませんから、何となく手元にある写真なり、資料を使って描くことになります。このペイントが赤になるか、青になるかが航空会社にとって一大事なのです。それでこのカテゴリーの乗客が、航空会社にとっての重要人物になります。売り込みは積極的に行われるでしょう。

 幼稚園の先生が、機内で持ち込みの仕事をしていたらきっと声をかけられ、塗り絵などを渡されます。子供を相手とする仕事は楽とは言えませんが、なるのは比較的やさしい VIP です。

 

5. 笑わせる

高度な話術を駆使できることは、ここでも有効。つまり笑いをとるテクニックを磨くこと、これに尽きます。しかしながらできる人はやるべき場でいつも気を使っているので、客室乗務員にまでその能力を発揮することはないでしょう。機内ぐらい一人にして欲しいという所です。

 

まとめ

型を超えたと思わせるサービスも、実はマニュアルに準拠します。客に「自分だけ特別」だと感じさせるテクニックが存在します。文字通りの特別サービスだと喜ぶ輩は、釈迦の掌の上にいる状態。少々おめでたいようです。彼らは少なくともマニュアルに反することは行わないし、特別サービスの教育もなされているはずです。客の立場では、承知の上での行動が節度を保つためによろしいようです。