2018年6.1%、2017年8.0%、2016年7.8%、2015年6.3%。全世界の航空旅客数の伸び率です。やや減速傾向ですが、最近のニュースを追っていくと、旅客の伸びについては航空各社は慎重になっているように思われます。２月、３月は、そういう傾向を示唆するニュースが多いように感じられました。
Airbus は旗艦 A380 を製造中止に
少し古い話ですが、2月14日バレンタインデーの一番のニュースになりました。
Airbus annonce l'arrêt de la production de l'A380 - Capital.fr
注文が目標に届かず、やはり生産中止になってしまいました。2021年末にも配給がストップします。引き金となったのは、Emiratesによる39機の発注取消し。取り消し分は40機の A330neo と30機の A350 で換えるようです。総座席数では、発注していた A380 と同規模か、若干多くなりそうです。
累積値では、結局 321 機の A380 が発注されたことになります。そのうち 178 機は Emirates によるもの。すでに100機以上運用しています。
すっかり時代遅れのＡ380も、間もなく日本の霊感の一翼を担うことになります。楽しみです。
Etihadが新型機発注をキャンセル
Etihad Airwaysが、40機のA350-900と 2機の A350-1000 の注文を取り消したことが明らかにされました。
Etihad Airways annule 42 Airbus A350 - Air&Cosmos
さらにボーイング777Xの全ての注文を取り消したようです。Etihad は Air Berlin や Alitalia といった複数の欧州の航空会社へ野心的な投資を行い、そこから生まれた負債の山に直面しているとされています。そのことが今度の新型機発注の取消しになったということです。あるいは産油国ゆえ、燃費におおらかで特に新型機を使う必要ないのかもしれません。
慎重なQantas
まだ未受領である 8機のA380の注文は取り消されました。現在運用中の 75機の B737 の置き換えも話題になっています。A320neo と B737 MAX が発注競争を繰り広げているサイズです。しかしながら Qantas の社長 Alan Joyce は「2020までに結論を出す必要はない」と強調しています。
Qantas Airways se prépare à une grosse commande Airbus et Boeing - Air&Cosmos
長距離用旅客機も A350-1000、A350-900ULR に対して、16,100 km の飛行距離を持つ B777-8 が競合します。このカテゴリーでも Qantas は結論を出していません。
B737 MAXの運航停止
Qantas の社長は慧眼でした。上で引用した報道は 2月19日のものですが、3月10日、B737 MAXが再び墜落しました。
Crash du Boeing 737 d'Ethiopian Airlines : 9 Français parmi les victimes - Le Point
今回は Ethiopia 航空の重要路線で起き、状況は 10月29日に墜落した Lion Air と同じ離陸上昇時。わずか４ヵ月間に、異なる航空会社が同じ状況下で墜落を起こしたのです。誰しも機材に安全上の欠陥があることを疑います。少なくともそのバイアスの下、事故調査が進められるのは確実です。
各国でB737 MAXの運航は停止されました。このような状況でも Boeing は強気の発言を行いましたが、結局アメリカでも大統領令により運航停止。安全に関する強気な態度にもしも３度目の事故が重なると、Boeingは会社存続が危うくなります。この辺が手の打ちどころです。
B737 MAXは航空会社による需要見込みや経営状況とは関係は強くありませんが、結局発注もストップ、納入もストップします。エアバスは A320neo を売る千載一遇のチャンスが到来することになります。
Comment Airbus peut profiter de la crise chez Boeing - Le Point
しかし、一般的に言うと事故が増えると航空需要は冷え込みます。エアバスは A320neo を当初より多く売ることができても、A320neo と B737 MAXを合わせた全体としては伸びは抑えられるのではないでしょうか。
