PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

5周年

Le Mondeを見ていたら、良いニュースを見つけました。

En Afrique, la pratique du français est en progression

2014年から2018年の間に、仏語話者が10%増えたという話。この間、世界人口は 5%の増加。つまり仏語は通用する確率が上昇したわけです。

 日本語は実質的に日本人だけが話者。日本の人口は減少しているため、言語の先行きが暗いのでした。自分が使う言語の通用範囲が広がるのは良いことで、狭くなるのは悪いことです。

 こういう心配をする時、英語は蚊帳の外。事実上の共通語(de facto lingua franca)ですから、言語としての格が違います。なら英語だけで良いかというと、そんなことはないのが世界の面白いところ。英語の monolangue (単一言語話者)では、競争は激しくなるし、娯楽は減るし、良いことはありません。英語習得に苦労するがあまり、英語の母語話者をうらやましがる方は、彼らの実情に目を向けると良いと思います。

 人生全般を考えると、共通語以外の言語は大きな役割を果たしますが、共通語よりマイナーなので通用範囲は重要なのです。

 

そういえば、la journée internationale de la Francophonie は毎年今日(3月20日, date fixe)あるのでした。そんなことが何と関係あるのかと言うと、このブログの「誕生の5日間」の中日。年の区切りが重なります。

 このブログは 2014年 3月18日に作られ、最初の記事は 3月22日に公開されました。作られた日から記事の公開まで5日かかっていますが、その間の出来事は忘却の彼方。

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新しい文明

ブログは無料で開始できます。存続するかどうかの目安は、まず100記事書くことと言われますが、しっかりした文章を短期間に100も書く能力は平均を大きく超えます。

 2018年の大学への進学率は53%。大雑把に言ってFラン大学*へ進学するレベルが日本人平均です。一切の心情を排除して考えると、そういう大学生の内、この密度で文章を書ける者はほとんどいないでしょう。逆に言うと、継続するブログは平均より高い学力の持ち主によって書かれるのが普通です。上位集団が自分の関心が高い事柄について書くので、質もそれなりに高くなります。社会全体を眺めれば、あらゆる領域について記事が見つけられ、基本的に無料で読み放題。ブログという新技術は日本語文化を格段に豊かにしたようです。

*:ここでは原義。つまり偏差値がつかない入学者選抜最易ランクの大学。文章を書く能力がそのまま学力とは言えませんが、学力の基本部分を構成します。同一視しても悪い近似ではありません。

 

なお1,000書けたから、100より桁違いに凄いというわけではありません。100書ければ、1,000は難しくないのです。それが「まず100記事」と言われる所以です。

 

衰退傾向

しかしながら、新しい技術によりブログは衰退しているようです。中身のあるブログは漸減しています。

 人の活動は年々多様になり、忙しさのあまり文章を書くことは後回しにされがちです。書く能力のある人も、全くそうでない人たちと同じ簡便なメディア(twitterなど)に流れています。後者の人たちが前者の人たちの間で交差する発言をフォローできず、しかも自分がフォローできない事実に気がつかないのは不思議ありません。しかし暴言により、理解する能力がないことを自ら暴露する姿は滑稽です。学校にいた頃は成績の良し悪しで秩序が保たれたのでしょうが、社会に出るとくびきが外れ、実社会では絶対できない発言に対する抑制が消滅してしまうようです。twitterなどの出現で、言論は究極まで民主化、平等化しましたが、一方でカオスの様相を深めている気がします。

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妙な発見

良く知る世界を書くのは、ほとんど知らない世界を書くのと同じぐらい難しいことが分かってきました。雑多な知識は整理した形で提示されないと文章の体を成しません。知識を整理する筋が必要です。切り口と言ってもよいかもしれません。つまり新しい筋を見つけることが、ブログの鍵になります。

 料理で例えると、雑多な知識は豊富な食材であり、まとめ上げる筋をいくつも創造するのが料理人の技術。ブログを始める前は、そんなことは想像もしていませんでした。

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余分な行動

漫然と暮らしていて、起きたことを記事をするのではネタが枯渇します。もっと積極的な行動、つまり書くために行動を起こすことが増えました。ついでに立ち寄るとか、ついでに試してみるとか、大部分は二次的な行動ですがネタ作りには大変有効。興味があるわけではない事柄をあえてやってみるわけですから、自分にとって新鮮な体験。大げさに言うと、ブログのおかげで自分の世界が広がりました。これもブログを継続してみて初めて分かった感覚でした。

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難点を上げると、時間をとられる割には会話の訓練にならないことです。つまり交流を拡大する能力の開発には役立ちません。交流は交流で直接広げた方が良く、ソーシャルメディアとしてはその使い方が一般的です。