PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

JALファーストクラスラウンジのリノベーション

成田空港 JALファーストクラスラウンジは、11月から工事に入っています。JAL以外の搭乗客を追い払う立札でご存知の方も多いと思います。工事が終了した部分から、順次営業を始める方針のようで、このたび本館4階のファーストクラスラウンジがリニューアルしました。

成田空港国際線JALファーストクラスラウンジをリニューアル | プレスリリース | JAL企業サイト

 

工事終了は今年の秋が予定されています。一部でも姿を現したのは朗報です。ワンワールドの客が相変わらず追い払われるのは悲報です。

成田空港国際線本館 3・4階ファーストクラスラウンジ・サクララウンジリニューアル工事に伴う一部エリア閉鎖のお知らせ - JAL国際線

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プレスリリースによると新機軸が見られます。しかし諸手を挙げて歓迎されることはなく、いろいろな意見が出そうです。多くの人がぎこちなさ、不均衡を感じそうなのですね。それが個人のフィルターを通して様々な形で表現されそうです。こういう場合、意見することにより自分の素性がバレるので注意が必要。

 

Pechedenferの場合、大衆には非日常の代表格であるファーストクラスという商品に、ラーメンという大衆文化の代表格を目玉として組入れたことに違和感を感じました。

 

John Lobbの靴磨きサービスは継続するようですが、こちらは伝統的なファーストクラスらしいサービス。言うまでもなく John Lobb はオーダーメイドの靴で有名。

https://www.johnlobb.com/ja_jp/bespoke

東京でオーダーすると1足100万円を越えてきます。ヨーロッパでは 5,000 EURぐらいから作れ、Berluti で作るより安いぐらいですから、東京の価格は割高。それはともかく、そういう靴へのケアを取り入れるのは、ファーストクラスらしい付帯サービス。

 この世界は、ラーメンが育んできた文化と相容れないのですね。

 

航空連合の時代になって、ラウンジは直接金を生む施設に変わっています。魅力的なラウンジを用意して航空券を売るのではなく、ラウンジ運用で利益を上げることを考えなければならないのは分かります。本来のファーストクラスの客は数にしたら大したことはありません。収益向上のためには、そうでない客層の望むものを提供しなくてはなりません。それがラウンジでのラーメン提供となった背景として間違いのないところ。

 

John Lobbのオーダーメイド靴を履いて、ラーメン屋に行くのは場違いですが、そんな靴ばかり作る人も日本ではラーメンを口にしないことはないでしょう。金があるということは選択肢が多いことですから、好みに沿って何でも選べばよいわけです。それにラーメンだって、外国人客には非日常の体験です。日本人に confit de canard です。

 しかし文化的な背景を持ってしまうと、バランスが崩れます。もっと悪い事にはどちらのサービスを使うかによって、その人の懐具合や生活レベルが判明するという恐ろしい展開も考えられます。ラーメンが大好きなお金持ちがいても不思議ではありませんが、そういう人は振舞で見当がつくことが多いのです。そうでない人がそれなりに映る事態が、ネット上での話題提供になりそうなのです。

 もちろん人の目、人の評判なんか一切気にしない人は良いのですが、そういう人は極めて稀。ファーストクラスに搭乗する格好・持ち物などという話題が注目を浴び、アイテムが具体的に議論されるぐらいですから。

 何だかJALにセンサーを設置された気分がします。もちろん彼らにそういう意図はないだろうし、ラーメンと John Lobb のサービスを同じ空間で供することに議論もあったと思いますが、結果は少し意地悪なことになりそうです。

 

ラーメン自体は良いのですが、アンバランスから生じる結果を予想すると素直に歓迎できないのでした。

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他の変更点で特徴的なのは、ビュフェを「お客さまの目の前で取り分ける」サービス、JAL's Table。飯盛女の復興などと、意地悪を言ってはいけません。ビュフェではなくなりますが、それはさておき、給仕がいるダイニングは無理*なので、中間的なサービスを狙いましたという内情が見えてきます。

*:容量との関係で過大なことを行い、評判を落としているのが多摩川河口近くにあるダイニング某。JALはそういう無理は行わない会社

 

レストランのフルサービスを空港ラウンジで実現するのは見当はずれですし、どこの航空会社も行っていないはずです。個人的には混乱がなければ、JALの新しい方法でも良い気がします。このラウンジでは今までもお任せができたので、大きな変化ではありません。

 客が勝手に盛ることを阻止すれば、ラウンジ中で盛り付けは美しくなります。名物のカレーは取り放題から変更なしのようですが、これこそよそってあげればよろしいのにと思いました。そうすればカレーにまつわる雑音*も消えます。

*:以前も書きましたが、カレーに罪はありません。よくできた料理なのに、いろいろと問題に巻き込まれてネガティブな印象すらあります。もったいない話です。

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人気があり、それゆえに問題を起こしがちなカレーは取り放題から変更なしということで、客の二分化が起きそうな気もします。

 

*クラスA*

・John Lobb 靴磨き

・皿のアレンジメント「JAL's Table」(和御膳, サラダプレート, サンドイッチプレート, パスタプレート, ミートプレート)

 

*クラスB*

・取り放題+食べ放題(大盛りカレー、大盛り創作カレー、大盛りカレーうどんなど)

・ラーメン(塩ラーメン&とんこつラーメン)

 

寿司は共通。

 もしこのように誘導することがJALの狙いならば、客の座る場所も分けて頂きたいところです。ヌーハラが気になる客にも朗報になるでしょう。

 

実際にどうなるか4月には分かります。ネットで発信する人も数多く使うラウンジ。報告が次々出されるでしょう。楽しみです。