バス代わりの飛行機

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ANA's way:Fly NG by Japan's only A380

Disciple d'Esculape

界隈で有名なDRK先生。先生の最近の tweet で知りました。成田空港で行われた A380 のお披露目式典のニュース。

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報道したのは、tweet にもあるように Aviation Wire。もともとの記事は以下の通り。

ANA、A380「フライング・ホヌ」成田到着 片野坂社長「乗った瞬間ハワイ感じられる」

国内の航空会社として初めての A380です。ついに「納品された」ので注目度は高く、多くの写真が撮影されています。この記事は、視覚的に見ごたえがあります。

 

九仭の功を一簣に虧くANA

これは一大スクープだと、カメラマンは確信したかもしれません。A380 honu1号の事ではありません。この写真です。

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スクショすると悪いので画面を撮影しました。程度の良い写真は上の記事からコピーください。保存する価値があるスクープです。

JALなんかに、逆立ちしたってできやしないA380の運航です。世界最大の旅客機を背景に、中央で誇らしげに ANA ホールディングス社長が挨拶。しかし華を添えるべき前面の立て看板がスペルミス。しかも fly NG って、ジョークですかね。稀に見るほどの間抜けな構図です。でき過ぎです。株主から「この馬鹿を引きずり降ろせ」という声が出そうです。

なぜこんなことが起きたのか、3つのシナリオが考えられます。

 

(1) 出稿、納品、設置のどの段階でも、英語のミスに気がつく者がいなかった。

(2) 気がつく者もいたが、どうせ日本人相手なので問題なかろうと上が判断した。

(3) 反社長派による工作

 

ウェブでは面白おかしい (1) のシナリオを考えている方が多いようですが、社長の一声で (2)になった可能性が高い気がします。どちらにしても深刻な事態です。(1)では国際線を運航する能力に疑問符がつき、(2)は世間を甘く見過ぎで、ブランド棄損、企業価値棄損に気がつかない無能な経営者を意味します。

 

JALの牙城に攻め込もうと、かなり頑張った企画。ANAとしてはいい線行っていたのに、最後の最後でこれ。企画に関わった社員が報われません。情けないトップです。

 

Air France は hippocampus、ANA は hippocervus

ご存知の通り、ANAの英語がひどいのは今に始まったことではありません。しかしウェブサイトを拝見したり、空港等で従業員に接する限り、言語能力自体が低く、そのため英語に問題がよく起きるのではないかと思います。

 

例として、ANAへの嘲笑に同期して出現する「あんしん、あったか、あかるく元気!」会社としては、経営理念・ビジョンのページに記載しています。

ANAグループ経営理念・ビジョン | ANAグループについて | ANAグループ企業情報

 

このページではまず模式図が示されます。こういう場合に意味のないイラストを描いてしまうのは別に構いません。センスの問題です。次に三項目の説明が続きます。4つの問題が指摘できます。

 

・構造を考えると、「経営理念・ビジョン・行動指針の全体像」の下に「グループ経営理念」、「グループ経営ビジョン」、「グループ行動指針」の各項目がぶら下がっているのですが、項目表題のフォントが同じで4つ並列しているため、その構造が分かりにくくなっています。4項目のうち、最初の項目は削除した方がわかりやすくなります。どうせイラストは意味を持ちません。

・並列されるべき項目の「グループ経営理念」、「グループ経営ビジョン」、「グループ行動指針」の内、最後の項目のみに英語が添えてあり、不均衡を感じます。

・それは、こういう場所には似つかわしくない英語表現です。

・グループ経営理念で重要なキーワードを「 」で示したようですが、品詞がバラバラなので不快になるほど統一感を欠きます。

 

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さらに「あんしん、あったか、あかるく元気!」自体が、彼らの言語能力の証しになっています。

 

これは標語です。この表現のカテゴリーでは、完全な文は使わず、単語あるいはその断片を使ったり、羅列したりします。羅列する時のポイントは、同種の要素を並べることです。つまりそれぞれの要素は、品詞、活用形、音節などを揃えることで全体の調子を整えます。これは義務教育レベルの国語ですが、大外れなのがANAの標語。

 「あんしん、あったか、あかるく元気!」は字面を見ると、

 

形容動詞語幹、形容動詞語幹、形容動詞語幹

 

と A, B, C型で並べていますが、Cは複合語。A, Bに比して音節が圧倒的に多いので、調子が取れません。素人作品でもダメ出しのレベルです。

 音の調子に引きずられると、あんしん、あったか、あかるく、元気の A, B, C, D 型に聞こえます。しかしこの形でも標語としては失格。

 

形容動詞語幹、形容動詞語幹、形容詞連用形、形容動詞語幹

 

と品詞が揃わず、やはり調子が狂います。

 どちらの認識パターンでも、標準的な言語能力の持ち主には違和感を与えます。それが軽い侮蔑と共に頻繁に取り上げられる理由でしょう。

 

言語能力と一般化できる訳は、上で述べた点が様々な言語で共通しているからです。例えば最後の点に関して例を示すと、「我来たり、我見たり、我勝てり」。英語では ”I came, I saw, I conquered”と全く冴えませんが、元のラテン語は Veni, vidi, vici。一事が万事、そういう事です。

 

さらにこのページ、ANAの言語に一般的な欠点が見事に現れています。それは文章主義的な感覚が欠落していることです。説明すると長くなるので止めますが、先の表現が後の表現を規定するように組み立てることが全くできていません。

 

Asclepius の弟子たちのように高い知性を持つ階層からは、「ANA には大卒の社員はいないのか」という声が出てきてもおかしくありません。「そんな会社では...」と安全性に疑問を抱き、敬遠することになります。しかしハイレベルの顧客層を見逃しても平気なのが、ANA 流経営。大切なのは顧客層ではなく、ズバリ金。ビジネスですから当然。

 

それにしても Avitation Wire の写真は素晴らしいの一言。カメラマンに敬意を表します。