PECHEDENFERのブログ

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エールフランスの予約クラスO

ビジネスクラスの生まれた背景には、値引販売された航空券が数を増していた時代に、正規料金を支払った客と格安で購入した客との不公平を解消する意図がありました。正規運賃自体は、その後も「標準価格」として長らく存続できたので、ビジネスクラスは効果的な新商品だったのでしょう。

 

今でも路線の正規運賃は存在しているはずですが、料金体系は大きく変わっています。ビジネスクラスは、ファーストクラスと一般クラスの間の中間クラスとしての認識がはるかに一般的です。

 

さてそのビジネスクラス、航空会社の収益を支える重要な商品に成長しました。すると料金設定が複雑になります。エコノミー正規料金より安い料金で販売される航空券が多くなってきました。そうした格安ビジネスクラスでは、標準的についていた諸々のサービスを削るしかありません。搭乗のオマケであるマイレージが、エコノミークラスに劣るビジネスクラス料金も設定されるようになりました。

 例えば JAL の I クラス。これはJAL マイレージバンクで加算率は 70%*。上位のエコノミークラス(Y, B: 100%)より低くなります。ほとんど同じ売り方を ANA もやっていて、P クラスというビジネスクラスは、マイレージクラブで加算率 70%**です。

 JALANA が法人相手に包括契約する場合、こういう航空券が発券されることになるのでしょうね。

 

*:BA の Executive Club にマイルを加算すると、加算率は100%になります。Executive Clubの特典航空券では、殆どのJALの国内線が 6,000 avios でとれるので、数字の上ではこちらの方が得。

**エーゲ航空の Miles+Bonus にマイルを加算すると、加算率は150%になります。このプログラムは特典航空券に必要なマイルが少ないので、数字の上ではこのプログラムを使った方が得。

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さて話はエールフランス。このコスト削減がさっぱり進まない会社も、ご多分に漏れず超格安ビジネスクラスを売ります。予約クラスはO。これは通常、特典航空券に使われるコード。特典航空券はマイレージプログラムのマイル加算対象になりません。そういうコードから想像できる通り、何も付かなくてもっとも制限の大きい航空券なのでしょう。

 彼らのマイレージプログラム Flying Blueは、航空券の支払金額を元に加算マイルが計算されるので、難しいことは考えなくて済みます。問題は提携他社のマイレージ会員です。各社のマイレージプログラムにエールフランスの O クラスでの搭乗を加算しようとしたらどうなるでしょうか。スカイチーム各社のプログラムについて調べた限りでは、以下の通りでした。

 

アリタリア MilleMiglia:Oは特典航空券であり、加算対象外と明記されています。

・エアヨーロッパ Suma:無効のキャビンクラスで 0 %と表現されています。

アエロフロート Aeroflot Bonus:マイレージ加算の一覧表にOクラスはありません。

中華航空 Dynasty Flyer:マイレージ加算の一覧表にOクラスはありません。

中国東方航空 Eastern Miles:マイレージ加算の一覧表にOクラスはありません。

・アモイ航空 Egret Miles:マイレージ加算の一覧表にOクラスはありません。

ベトナム航空 LotusMiles:マイレージ加算の一覧表にOクラスはありません。

・ガルーダインドネシア Garuda Miles:無効のキャビンクラスで 0 %と表現されます。

大韓航空 SkyPass:Oは加算対象外と明記されています。

・中東航空 (MEA) Cedar Miles:Oは特典航空券であり 0%。

・サウディア Alfursan:Oはマイル加算対象外の予約クラスと明記されています。

・アエロメヒコ Club Premier:マイレージ加算の一覧表にOクラスはありません。

デルタ航空 SkyMiles:Oは100%加算です。

 

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スカイチーム提携航空会社のうち、エールフランスの O クラスがマイル加算対象になるのはデルタ航空の SkyMiles だけでした。さすが支払い金額基準導入の先輩です。


なお KLM、タロム、ケニア航空は Flying Blueを使っているので、エールフランスと同じマイルが加算されます。

 

ビジネスクラスだと思っていたら、マイルはゼロ、搭乗実績にもならないとなると、ショックを受けるかもしれません。今の時代、ビジネスクラスでも予約クラスは購入前にきちんとチェックしておく必要があります。

 

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「何という余裕のなさ」と嘆くのは的外れ。いろいろなサービスがいろいろな価格で手に入る世の中が、せちがなく感じられるのは仕方ありません。