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太平洋西側のハブを放棄するデルタ航空

羽田空港発着枠の取り分と方針転換

ライバルの UA, AA より優遇され、羽田空港の米国枠 12便 / day 中、5便を獲得したデルタ航空。2020年には、すべての北米路線を羽田発着にすると発表しました。

デルタ航空、成田撤退 日米路線は羽田に集約 :日本経済新聞

 

一方でデルタは、成田―シンガポール線の運航を 2019年 9月22日で終了、2020年 4月 1日以降の成田―マニラ線の販売を中止します。成田を経由地とした以遠権路線が全て消滅します。

デルタ航空、東京/成田〜マニラ線の航空券販売取りやめ 来年4月以降 - TRAICY(トライシー)

 

デルタ航空は羽田に経営資源を集中、ビジネス客を狙うという戦略を明確にしました。利益重視、株主重視の性格がよく表れています。これまで重要なハブだった成田は消滅し、デルタにとって東京は一就航地になります。この世界戦略の大きな変換は、日本の利用者にとっては不幸な出来事。しかしながら日本国にとっては、戦後のアメリカ支配から離脱する一歩。政府は一仕事した気分でしょう。

 

デルタの路線維持~拡大

太平洋西側のハブを放棄して、デルタはアジア路線をどうするのかなんて、余計な心配のようです。デルタは昨年、共にスカイチームを構成する大韓航空と太平洋路線でジョイントベンチャーを始めました。

Delta-Korean Air : World Class Joint Venture Partnership

成田からの以遠権で顧客を運んでいた都市(香港、バンコク、マニラ、シンガポールなど)は、ソウル便 (ATL-ICN, MSP-ICN, SEA-ICN) で仁川、仁川からは大韓航空の運航でつながれます。もちろんそれ以上のアジアの諸都市も、大韓航空のネットワークで接続されます。

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デルタ航空は、SkyMilesで大韓航空を三流扱いしていましたが、この会社の利用時のマイル積算率を大幅アップしました。顧客サービスの充実で、JVを補強します。

 

アライアンスを土台に、ビジネスを拡大進化させる手段が流行っていますが、アメリカの会社だけあって多元的かつ露骨にやります。

 

日本市場で UAANA と、AA は JAL と提携があり、首都圏以外の日本各地からも羽田接続、成田接続で客を集めることができます。米国3大会社の中でデルタだけ提携会社がなく、日本市場で苦労していました。では今後デルタはどういう方針で日本各地からの搭乗客を集めるのでしょうか。2つの方法があると思います。

 

1. 国内の航空会社で羽田まで来てもらう

2. 大韓航空の路線網(青森、旭川、福岡、鹿児島、北九州、小松、中部、新潟、大分、岡山、沖縄、関西、札幌など)を使って、もう一つの「日本人のハブ」仁川まで来てもらう

 

デルタ航空が日本の会社と上手に提携できるかどうかが、1. のカギであることに変わりありません。しかし羽田にはすでに多くの会社が多くの便を発着させているため、国内線が少ない成田よりはずっとやりやすい環境です。ANAJAL を儲けさせる必要がある国交省に期待はできませんが、それでも方法はいろいろありそうです。

 日本の消費者にとっては、1.の形が望ましいと思いますが、デルタは 2.に誘導する可能性もあります。新社長*が何を考えているのかわかりませんが、1.と2.では、デルタ航空のサービスが大きく変わってきます。

*:ヴィクター大隅氏。ピッタリという人材がいるのですね。

 

2.についても、問題がないわけではありません。良く知られているところですが、数多くの韓国の航空会社が日本に就航し、その路線維持は日韓関係に過敏に反応します。

大韓航空が〝ドル箱〟日本路線を大幅縮小 収益低下で - 産経ニュース

日本各地から、仁川経由でデルタを利用する時に関係する大韓航空の仁川着発便。最近発表されましたが、大韓航空

  9月29日から11月16日 小松線と鹿児島線が運航停止

  9月29日から10月26日 旭川線が運航停止

10月27日から11月16日 福岡線と関西線が減便

  9月29日から11月16日 沖縄線が減便

を予定しています。最近の日韓関係の悪化に伴う二国間の旅行者が減ったことが原因です。デルタが仁川ハブ化で日本市場を維持するつもりなら、日韓関係は無視できないリスクになります。

 

沈降気味な日本市場ですが、デルタがやる気満々であることには間違いありません。次にどんな手を打ってくるのか、要注目です。

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顧客サービスの将来

日本向けの顧客サービスが手厚いのもこの会社の特徴。それらが維持されるかどうかは、心配されるところです。ここでは無責任な予想をしてみます。

 たぶん次の3つが多くの人の気になるところ。

 

1. 空港ラウンジ Sky Club の維持

2. デルタ スカイマイル アメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードによるゴールド会員資格の維持

3. ニッポン500マイルキャンペーン

 

デルタは、ホノルル路線を成田に残すかもしれません。しかしビジネス客を羽田で集める方針を明らかにしているので、成田の Sky Club は閉鎖される可能性大です。ラウンジはビジネスクラス (以上のクラス) の「付属品」ですから、大衆レジャー路線では、あまり活躍できません。

 一方集約先の羽田空港は、一部の国際線を第 2 ターミナルに移動する予定で、ANA は同じターミナルで国内線―国際線の接続を可能にするはずです。これにより ANAJAL に対して大きなアドバンテージを持つことなります。当然競争が激しく、収益が上がる路線を移動することでしょう。すると力が入ったラウンジは、第 2 ターミナルに移すと思われます。空いた現国際線ターミナルに Sky Club 設置という線は、割と現実的かもしれません。AF, CI, DL, GA, KE, MU, VN とスカイチーム加盟7社が羽田の現国際線ターミナルを使っているのですから、設置する価値は十分あります。

 成田の第 1 ターミナル北は、AF, AM, AZ, KE, DL, KL, MF, SU, VN などのスカイチーム各社が使っていますが、それらの会社の搭乗客が利用できるラウンジは、大韓航空の KAL ラウンジだけになるかもしれません。

 

アメリカン・エキスプレスは、JGCSFC の背後にいる AA と UA に対抗する商品。日本の顧客向けには何らかの形で存続させる方が良さそうです。ゴールド会員資格付帯にカードの年間使用額が要求されるようになったので、しばらくは改廃を考える必要がないように思われます。

 

国内線の搭乗が幅広く対象となるニッポン500マイルキャンペーンは、微妙な感じがします。デルタにとってこのキャンペーンが最も有効なのは、

 

羽田接続でデルタを利用する日本人が多く、特定の国内の会社と提携しない状態が続く

 

場合ですね。国内の特定の航空会社とコードシェア提携でき、十分な路線網が手に入ったら、その会社の搭乗に限って SkyMiles のマイルを付与するでしょう。しかしこの可能性は低そうです。

 デルタがケチになると、デルタに接続する便にだけ 500 マイルということも可能ですが、手続きが煩雑で実施は難しいと思います。結局 500マイルのキャンペーンは、しばらく存続するのではないでしょうか。