期限切れが近い少量マイルの行方
陸マイラーの方々には興味が持てない話になることを最初に断っておきます。
皆さんは無料航空券特典には届かないマイルに有効期限が迫ってきたら、どうしますか。「まあいいや」で失効させているのではないでしょうか。全世界では毎月膨大なマイルが失効していそうです。航空会社にとってマイルの失効は負債の消滅を意味します。バランスシートが思い浮かぶとありがたいはずですが、彼らはそういう発想をしないようです。
マイルの期限が迫ると、会員にお知らせメールを送るのは当たり前。会員や社会に対するポーズではなく、本気で失効を回避させたいようです。
放置中の個人アカウントに残る数千~一万マイル。こういうのが会員には一番悩ましいところ。そんな時は善行を行い、功徳を積むのはいかがというのが本記事の提案。チャリティへのマイル寄附の仕組みはたいていのマイレージプログラムにあります。
日系のチャリティ
見渡す限り、チャリティは期間限定。現在は首里城復興支援を募っています。
過去一年間に行われた事業は、
・「令和元年台風19号被害」被災者支援(6,469,500)
・「令和元年台風15号被害」被災者支援 (2,739,000)
・「ピンクリボン」チャリティ(627,000)
・「ノートルダム大聖堂」再建支援(1,962,000)
・SKY BATON東北応援チャリティ第6弾(3,684,000)
・「インドネシアスラウエシ島地震・津波」被災地支援(857,500)
でした。期間限定という設定から、災害からの復旧支援が多くなるのは自然です。集まったマイルの報告もなされ、上記カッコ内の数字はその結果。JALは 1 mile = 1円相当の寄附になると言っています。
世の中の関心の高さや、チャリティが行われる間隔にもよるのでしょうが、
・「平成30年7月豪雨」被災者支援
では、45,016,500マイル集まったようです。以前より景気が悪くなっているのでしょうか。
同様の仕組みは ANA マイレージクラブにもあります。やはり期間限定で様々な支援対象に寄附を募っています。
今はUNESCOへの寄附ですね。支援対象が平凡なこと、なぜこの時期に?という疑問から、企画の弱さが気になりますが、総じていえば独自の価値観が感じられます。過去には、
・WonderFly Crowdfundingへの支援
・Blue Wing プログラムの支援
・令和元年台風15号被害千葉県災害への支援(7,198,059)
・アンコール・ワット遺跡保存修復活動支援(684,000)
・東北海岸林再生プロジェクト支援(717,000)
・サンゴ保全活動支援(525,000)
などがありました。チャリティ(慈善事業)だけではなく、起業支援やクラウドファンディングも一緒になっています。これらを区別しないあたりに ANA 会員の本性が潜んでいそうです。台風15号被災に関する支援は、JALとANAで重なっており、期間もほとんど同じ、支援対象も千葉県限定で一致しています。しかしながら集まったマイルは ANA の方がはるかに多いのでした。その原因は分析する価値がありそうです。
期間限定で支援を募ると、マイル寄附が集まりやすい気がします。日系2社の取り組みは優れていると思いました。
世で評価が高い会社は?
Skytrax で大人気のシンガポール航空。Krisflyer ではチャリティはどうなっているのか見てみましょう。
https://www.singaporeair.com/en_UK/us/ppsclub-krisflyer/use-miles/donate-miles/
寄附先は Make-A-Wish Sigapore の一件だけ。貧相です。チャリティには熱心ではない会社に見えますね。
Skytrax では、シンガポール航空と世界一を競うカタール航空。Privilege Clubというマイレージプログラムは、Qmiles を貯めます。しかしながら、Qmilesの使い道に寄附は見つかりません。
いくつかの国で調べましたが、Qmiles利用の大区分は同じ。カタール航空は会社としていろいろなチャリティに関わっており、搭乗客にも宣伝しています。しかし顧客や会員の寄附を助ける仕組みがないのは、いかがなものかと...。
これら2例から、海外の航空会社のマイレージ会員が社会貢献には熱心でないという一般則を導いてはいけません。例えば Qantas Frequent Flyer では Qantas Points で11団体に寄附ができます。
Support our Partner Charities | Qantas Store AU
キャセイパシフィック Asia Miles でもチャリティは充実しています。
Small acts can make a big difference - Asia Miles
Charityのページを見ると、最低1,010 mile/件、最大13,660 mile/件で、66種もの支援対象が用意されています。
会社が立派なのか、会員が立派なのかわかりませんが、大した充実ぶりです。
シンガポール航空とカタール航空は、マイレージプログラムでのチャリティが貧弱~ゼロ。何とも寂しい限り。Skytraxでチャリティへの取り組みが関係するとしたら、会社のイメージ向上だけでしょう。マイレージプログラムでのチャリティの扱いが、Skytrax高評価の2社で最低レベルという事実は、評価者たちの関心の欠落を暗示しているようです。彼らは「客へのサービスそのものを厳正に評価する」と言っても良いのですが、「食い物と飲み物、それから椅子、他はよく知らない」というステレオタイプと矛盾しません。
当然、自分もやりました
偉そうな事ばかり言って、行動しないと非難されます。今日はまさにそういう話題。Pechedenferも最近、中途半端なマイルを寄附で消化しました。常々寄附しようと思っていた団体があったので、マイル寿命の接近は良い機会でした。得られるのは一瞬の満足ですが、マイレージプログラムは使い出があると再認識した次第です。