PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

AF1230:CDG-MXP クオリティオブザーバー

人件費がもったいないので、サービス現場は搭乗客に点検させるという経費削減法 Quality Observer。3回目のミッションに誘われました。こういう建設的なケチは、オランダ人っぽいのですが、Pechedenferの場合いつも Air France でミッションが設定されます。

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そしていつも Charles de Gaulle のターミナル2Fの出発。このターミナルは気に入っているので、ミッションでゆっくりしていられないのは残念です。もっとも、それと引き換えに新しい発見があります。サービス供給側の視点が客の視点とは全く違うのは当然ですが、前者が客には理解されにくいことがよく分かります。プロは退屈なことを確実に行うことの繰り返しだという、当たり前のことにも気づきます。そして皆頑張って仕事をしているのだという、これまたどうでもよい事実が実感でき、航空会社や従業員に親しみが湧きます。

 

2Fの2つのピアは見事なホールですが、ミッションのために階下(2階)に潜ります。ラウンジ調査です。

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「入口にスタッフがいてチェックがあったか」とか、「笑顔で迎えられたか」とか、いたって基本的、平凡なチェックです。

 

利用者アンケートだと、「食物は十分な種類があったか。1から10で。」となりますが、Quality Observerでは、「食物は切らしていなかったか。oui ou non.」です。利用者アンケートは企画、Quality Observerは管理。調査の目的が根本的に異なります。

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特に清掃はあらゆる場面で調査対象になります。問題があれば、写真で報告せよとスマホの利便性を徹底的に活用。こうして床やゴミ箱にスマホを向ける客が登場するのです。

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最近のラウンジは、その利用実態を考えると、いくら清掃に気を使っても「小さな子供がいる家のリビング」にならざる得ません。時代は変わっています。

 

ラウンジの調査に「搭乗便が10分以上遅れる場合、情報の提供があるか」という質問と、搭乗の調査に「搭乗順番についての事前アナウンスがあるか」と言う質問がありますが、この2つを完全に追跡して調査するのは無理です。しかも事前に全ての質問を見られるわけではなく、一つ一つ回答、前には戻れない仕組みです。こうした詰めの甘いところもありますが、3度目なのである程度先が読めます。

 

搭乗口は型通りの業務をこなしていました。Sky Priorityがないと Quality Observer の調査に支障をきたしそうです。そういう客向けに別の質問のセットを用意しているのでしょうか。それはそれで重要な調査ができそうです。

 

亡霊が彷徨するCDG。

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Quality Observer は、チェックイン、ラウンジ、搭乗、機内、到着という5つのステージが区別され、それぞれ独立してデータ送信します。機内に関する質問項目はもっとも多く、39もあります。

 機内食の量とか質は調査の対象外。これは管理の問題ではなく、企画の問題。

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簡単ながらもバラエティに富むAir Franceの機内食。しかし褒め称える項目はありません。SQやQRに比べてどうだ?みたいな質問もありません。

 

今回のミッションでは、個人的に気がついたことがあります。Quality Observer の調査を行うフライトでは毎回

・機内放送が明瞭かつ徹底している

・客室乗務員の発声が丁寧である

です。普段と有意な違いがあるのです。気のせい?それでは調査しているフライトで、PNCもパイロットもリエゾンが妙に多い事実はどう説明すべきでしょう。調査が入ることが事前に漏れているのかもしれません。労働組合が強いので、そういうことがあっても不思議ありません。根拠は「偶然にしては出来すぎている」を超えるものではありませんが、客の立場では労働者を差し置いて雇用者に味方する理由もありません。引いてしまうほど優美なフランス語*には、「おいおい」と思いこそすれ、文句があるはずありませんから。

 

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*:ナショナルフラッグキャリアーでは、言葉を美しく使うことは重要なポイント。現代でもそうであることに注意が必要です。JALでも Lufthansa でも正確かつ明瞭、美しい発音で機内サービスが行われることは稀ではありません。

 残念なことは、どんな個人でも分かる言語が限られることです。マレーシア航空で美しいマレーシア語がきけるかどうかなんて、Pechedenferには全く分かりません。

*:短距離欧州線ビジネスクラスでは、機内食を配る直前にそれと合わせる飲み物を聞くのですが、今日の ”Que désirez-vous, monsieur?” には引きました。いつもと調子が違い過ぎ。そして唐突。これではコメディです。


到着時の調査項目はごくわずか。

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質問のうち10段階で評価する項目は、Quality Observer アプリの出来に関する質問だけでした。

 

さてこの調査を行うと、

・Flying Blueで500マイル

・Flying Blue shoppingで20%off

の報酬があります。しかし無償といっても構わない水準。

 

ちなみに今回調査を行ったフライトでは、Air Franceはロスバゲをやらかしました。笑わしてくれます。

 この航空会社でロスバゲが頻繁に起きるのかどうかは別にして、業務への協力に対して、預入手荷物の積み忘れで報いたのは天晴れ。コメディ第2弾。

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Quality Observer は、特別扱いされない一般客が行うからこそ意味があるとはいえ、こんな調子で大丈夫でしょうか?この会社の先行きが少し気になってきました。