バス代わりの飛行機

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

Vieux renards qui hurlent avec les loups

DRKの足跡がウィーンで見つかっていますが、そこには Die Presse の一面が写り込んだ tweet。表題を見ると、トランプ*がダボスに来る(あるいは来た)のかなと誰しも思いますが、ウェブサイトで続きを読むと確かにトランプの主張に関する記事でした。

f:id:PECHEDENFER:20200123181530j:plain

https://twitter.com/limken21/status/1219917169854644226

*:「象」に定冠詞が付いていますから、そういう人物との定評があるのでしょう。現職米国大統領がドイツ語圏でどう見られているかが、表題から伝わってきます。常々主張していますが、現地新聞はその言語能力が低い人にも有益。

 

この「陶磁器店の(中の)象」という表現。よく (sich) wie ein Elefant im Porzellanladen (benehmen) と整理されますが、派手というか、大げさ過ぎて記憶に残るものの、使う機会はなさそうだと思っていました。それをツイッターの写り込みで見るとは、わからないものです。こういう「良く知られるけれども滅多に使わない慣用表現」は意外に多いのですが、記事の表題、商品の名前**、お店の名前向けですね。

**:調べてみたら、Elefant im Porzellanladenというカードゲームが見つかりました。

 

象と言えば、

aus einer Mücke einen Elefanten machen

はフランス語

faire d'une mouche un éléphant

とそっくりで、意味が同じ(=針小棒大に言う)ようですが、蚊がライン川を境にして蝿に変身しています。...fand sie sich an der Grenze zu einem ungeheueren Ungeziefer verwandelt.ご愁傷様。

 

本日は会員資格の話

f:id:PECHEDENFER:20200124141235p:plain

フルサービスキャリアはブランド商売の性格が強く、高級なイメージをまといたがります。鉄道やバス路線と比較すれば、明らかに際立った性格です。高級イメージがつきまとう場には、他と違う扱いを受けることに価値を感じる者が特に集まるらしく、商売人たちはオマケや会員資格を与えたりと、本質ではない「付加価値」の開発に知恵を絞ります。この点で高級車販売とか、ブランドショップなどと似ています。

 国(や集団)の所得がある程度以上になると、客層が膨大になるのがこうしたブランド商売の特徴。自分たちでは高級と言ったり、言わせたくても、客層は大衆以外の何者でもありません。ここが商売のポイント。会社としては膨大な数のターゲットを相手に、大衆の発想を大切にすることが肝要。一方で平凡、平均的な人が他と違う扱いを受けることに価値を感じるのは自然です。いつも大勢の中に埋もれていますから。

 

上級会員制度は、まさにその辺を狙った商売の典型。航空会社が平凡な発想をする人間を想定していることに注意し、会社の側なら何をしたくなるのか考えてみれば、警戒すべき点が浮かび上がってきます。

 

Flying Blueの生涯プラチナ会員

Flying Blueはマイルの金額制を導入すると同時に、上級会員資格のハードルを相当下げました。その時は上級会員が漸減していたのかと思いましたが、今では客離れそのものを恐れていた気がします。プログラムに合う新規会員を欲しがった跡もあります。例えば提携クレカをつくると、一年間ゴールド会員というキャンペーンを日本でも行っていました。

 AF-KLMの客の大部分は欧州にいます。そしてレガシーキャリアは中短距離では LCC に押されっぱなしなので、困るほど上級会員が増えることはないはずです。そもそもそういう設計になっています。問題は生涯プラチナです。ゴールド会員に比べれば圧倒的に数は少ないはずですが、それでもこのまま2029年を迎えると、生涯プラチナ会員は途方もない数になります。ハードルを上げてくることが予想されます。言葉は悪いのですが、一見良さそうに見える条件で飛びつかせておいて、抜けられないようにし、じわじわ搾取するのはラテン社会の常套手段。

 2005年の発足から2018年の金額制導入までプラチナ会員の基準は70,000 miles/年でした。当初はエコノミークラス利用でもほとんど100%換算だったので、東京—欧州5往復程度で維持できました。最後の10年ぐらいは25%まで換算率が落ちていたので、エコノミークラスの利用では、上級会員資格の維持が相当難しくなっていました。このブログでも2014~2015あたりは回数で、2016~2017あたりはマイルでゴールド会員を維持していました。少しマイル加算率が変わるだけで、維持が不可能になりました。有利な方法は頻繁に変わります。

 生涯プラチナ会員には、10年連続のプラチナ会員資格維持が要求されます。本気で考えるならいろいろな事態に対応できる心の準備が必要な気がします。2020年4月で新制度2年です。微調整はちょくちょく入っているので大きな変更はなさそうですが、小さな条件変更が大きな変化をもたらしてきたのがFlying Blueの歴史。注視しておく価値はあります。

 

JALのメタル会員

基準が非公表の招待制会員ですが、そのために話題となりがち。他と違う扱いを受けることに価値を感じる客には、垂涎の的。こういう人たちは受け身な発想をしがちですが、こういう訳の分からないモノを探る場合、客の立場は忘れて相手の立場から考えることが有用ではないでしょうか。

 航空会社にとっては多様なサービスを提供することが善なので、安定、充実した最上級会員サービスは実力の一面です。ざっと考えただけで、JL, AA, UA, DL, BA, AY, AF-KL, LH, SQ, EK などがそういう制度を持っています。明確な基準を持つプログラムもあるし、招待制で公表基準がないプログラムもあります。しかし次の2つの傾向に気がつきます。

 

・基準非公開の招待制から基準公表へ変わるプログラムは多いのに対し、逆はほとんどないこと

・基準非公開の招待制プログラムは、サービス内容も大部分非公開か、よく変化すること

 

つまり招待制で会員基準がはっきりしないプログラムは、制度調整中、サービス開発中なのではないでしょうか。最終段階で実地試験をやっている状況に見えます。そういう段階を想定すると、招待については

・既存の会員とは異なる基準で決める

・想定する上級会員をカテゴリー別にして、各カテゴリーに割当て数を設ける

・会員属性(職業、性別、年齢、居住都市など)を基準とする

・基準は流動的で、毎年変わる

など、試験らしいことを行なっているはず。しかしこんなことが表に出たら、他と違う扱いを受けることに価値を感じる客は平等に扱われていないと騒ぎ出しそうです。

 

しかし JAL を責めても仕方ありません。サービスを確立するに至っておらず、客相手に実地試験をしている状態なのですから。あくまでも彼らの能力不足。

 JAL国際線ファースト・ビジネスクラスを多用して年間1,000万円以上も落とす個人客とか、JAL国内線で東京と選挙区を週3回も往復する大物国会議員だとか、他の客とは一線を画すようなお得意様(=JALが興味を持つモルモット)だとメタルが降ってくるでしょうが、一般人がダイヤモンド修行の延長で取りに行くのは容易ではなさそうです。

f:id:PECHEDENFER:20200124141726j:plain

 

結局

上級会員制度は他と違う扱いを受けることに価値を感じる客向けのサービスとはいえ、違うことを追求するがあまり、極端なレベルを狙う時には注意が必要。大勢と一緒に、一般に言われることを復唱している方が安全、安心、安価なようです。