PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

航空会社の破綻と破綻回避 (1)

日本の近況

JALが FLY ON ステイタス会員のステイタスを一年延長しました。国際線はほとんど運航停止、国内線も6割欠航が基本のようです。加えて小さめの機材を使う傾向があり、旅客数ベースでも昨年の 90%減を下回りそうです。結局 FOP 2倍では、踊らされる修行僧は大した数にはならなかったというオチ。

2020年度FLY ON ステイタス会員の方に対する2021年度FLY ON ステイタス延長について

 

ANAもプレミアムメンバーのステイタスを延長しました。

2020年度「ダイヤモンドサービス」「プラチナサービス」「ブロンズサービス」メンバーステイタスの2021年度ステイタス延長のご案内 | ANAマイレージクラブ

ANAJAL の発表から数時間遅れたので、「...日本の航空会社では初の...」とは言えませんでした。「客席に貨物を積むのは日本の航空会社では初の取り組み*」などと最近は ANA 節が絶好調だっただけに、残念でした。ANAはこれにめげず、次のチャンスを生かして欲しいものです。

*ANA、787の客席を貨物スペースに マスク入り段ボール運ぶ

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固定費が大きいビジネスの典型である航空輸送業は、こういう状況では経営が成り立ちません。JAL は取引金融機関に3,000 億円の融資要請を行いました。

 もっとも「金貸してくれ」と言い出したのは ANA の方が先。JAL に3週間も先んじて1.3 兆円の融資枠要請を表明しました。しかし不思議なことに、この時は「...日本の航空会社では初の...」というステートメントは出さなかったようです。

 

同様のことが世界中で起きていることは想像に難くなく、放置すればほとんどすべての航空会社が破綻します。こういう場合、国家なり銀行なりが平時の価値に背いて救済に走ることは既定路線のようなものです。しかし全てが救済の対象になるかというとそうでもありません。普段から余計だとか、不健全だと思われている会社を社会から排除するのに良い機会にもなるようです。

 

救済が行われる会社は、財務や経営に関係なく、社会から必要とされていると判断できます。逆は必ずしも正しくありませんが、破綻の道程が見えてきた会社もあります。今後こういう会社は増えること間違いないので、いつ記事にするかが問題ですが、先週非常に多くの動きがあったのでまとめてみました。

 

South African Airways

武漢新型肺炎が騒がれる前から経営が行き詰っていた南アフリカ航空。2011年から赤字続きで、2019年末には破綻が既定路線のようでした。先々週政府に「何度目かの」公的救済が拒否されて、会社清算が決定的になりました。

Coronavirus et mauvaise gestion : South African Airways liquidée après le refus d’une énième aide publique - Transports aériens - Infos La Réunion

つまり、今回の疫病蔓延は息の根を止めるきっかけになったというのが多くの見るところ。

 

なお経営が行き詰って会社が破産した時、マイレージ会員にどういう影響があるかについては、

What Happens To Miles If Airlines Go Bankrupt? | One Mile at a Time

に解説があります。

 

Virgin Australia

先週の火曜日、支払い停止を発表、任意管理手続きに入りました。一方で運航は保たれている様子です。

Coronavirus : la compagnie aérienne Virgin Australia se déclare en cessation de paiements

« Notre décision aujourd’hui [mardi] consiste à assurer l’avenir du groupe Virgin Australia et sa renaissance après la crise du Covid-19 », a expliqué son PDG, Paul Scurrah, dans un communiqué. « L’Australie a besoin d’une deuxième compagnie aérienne et nous sommes déterminés à continuer nos vols », a-t-il ajouté. Qantas est la principale compagnie aérienne australienne devant Virgin.

「疫病が去ればやっていけるし、オーストラリアは第二の航空会社を必要としている」と、開き直りといえなくもない CEO の口上。すでに50億AUD(3400億円ぐらい)の借入金があり、さらに14億AUD借りようとしているという現状。1万人いる従業員の内、8000人を一時解雇にしている Virgin。もうけ過ぎで税金も払わない Richard Branson の会社ですから、支援は無理筋。

 日本では、ANAとの提携が3月29日に開始すると話題になっていましたが、いざその日が来ても何も起きませんでした。入国できない、運航していないでは当たり前です。なんとも縁起の悪い出発になった日豪提携。

 もっともオセアニアが Qantas 一強になってはつまらないし、Air New Zealand が Qantas に対抗できるとも思えないし、Virgin Australia(と ANA)にはぜひ頑張ってもらいたいところです。

 

Air Mauritius

先週水曜日、経営はモーリシャス政府の管理下に入ってしまいました。

Coronavirus : en difficulté, Air Mauritius se place sous l'administration de l'Etat

しかたありません。