PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

海外渡航再開には不都合なデータばかり

政府による自粛依頼も解除されました。大手を振るって遊びに出かける人、新たな流行を恐れて縮こまっている人、いろいろな反応があるようです。メディアのように恐怖心を煽るのは本意ではありませんが、事実は事実。不都合なことも紹介しないといけません。

 

イスラエルが感染の第二波に見舞われています。日々更新される統計

Coronavirus Update (Live): 9,438,358 Cases and 482,022 Deaths from COVID-19 Virus Pandemic - Worldometer

の感染認知件数世界ランキングで、いつしか日本を追い抜いていたので、データを見たところ驚きました。

f:id:PECHEDENFER:20200626125655j:plain

これ以上ないというほど、見事なぶり返しです。原因は常に複合的なはずですが、この国は5月の終わりから都市閉鎖を徐々に解除しています。感染拡大の第二波と時期が一致します。自由になるほど、一日の感染者が増えると言う有り様。

Coronavirus : vers une deuxième vague de l'épidémie en Israël ? - Le Point

3月から5月にかけての流行と異なる点は若者の感染が多く、死者はそれほど出ないだろうと楽観視する向きもあるようです。

 

日本の流行は2月から3月半ばまでは、春節を中心とした中国人観光客が持ち込んだもの、それ以降は外国から帰国した駐在員が持ち込んだものと大まかに把握されていますが、ウイルスのタイプも違うと言われていて、ここで第一波、第二波と考える方が多いようです。確かにそう考えるとすっきりします。すると今は第二波が収まった段階。自粛が解除されてからは、新規感染の報告は若干増えていますが、社会活動に変化を及ぼすほどではないと判断されています。

 厚労省は東京23区から感染が少ないと予想できる3区をわざわざ選び、バイアスがかかった抗体検査を実施、結果を公表しましたが、当然検出されたケースは僅か。しかしいろいろな団体による独自の結果を見ても、欧米の感染流行地より一桁小さい検出数です。日本人は知らぬ間に感染して、免疫が「確立」していたのではなく、そもそも感染していないのでした。駐在員の帰国が盛んだった頃、連日のように帰国者の感染検出が報道されていましたが、PCR検査の陽性率も十分高かったはずです。したがって日本人が感染しにくいというわけでもありません。すると日本は十分衛生的、欧米は著しく非衛生的だとするのがもっとも筋が通った考え方になりそうです。これは喜ぶことではありません。不用意に鎖国を解くとイスラエルと同じ事態になります。いつまでたっても海外に出かけるのは困難だということです。

 もっともインフルエンザの様に、感染が次回の感染を防ぐことに役立たないかもしれません。抗体を持っていることやワクチンが開発されることは、期待するほど大きな意味を持たないかもしれません。しかし集団として経験が積み重なり、ノウハウもできたことから、武漢肺炎をかつてのように恐れる必要はないのも事実です。

 新感染症で亡くなる方は、悲劇としか言いようがありません。今記録されている1000弱の死の一つ一つに重い事実があります。しかし1年間に肺炎で死ぬ人は10万人を超え、毎年の変動が数千人~一万人だという事実を忘れては片手落ち。良くも悪くもコロナウイルス感染は注目を浴び、大多数のその他の肺炎による死は見向きもされません。コロナ対策をするなら、その他に力を入れるべき分野が医療、公衆衛生の世界にはいくらでもあるはずです。

 

なお世界全体の感染発生は増え続けています。2月の小さな山が中国や韓国を中心とした流行、3月から4月にかけての山が欧米の流行。今は第三の波ですが、感染拡大の勢いは伸びる一方(=加速中)で、死亡件数も再上昇しています。

 

f:id:PECHEDENFER:20200626143225j:plain

地域的に見ると、南米、南アジア、中央アジアが相当な勢いで感染拡大し、北アフリカも収束が見えていません。(スウェーデンも新規感染者数が増大気味。)

 

そんなこんなで視界は不良です。むしろ数字の上では悪くなる一方です。人類が不自由なことに我慢できなくなると同時に、このウイルスに慣れ、いつしかパンデミックは霧散という結末がもっとも確からしい気がします。

f:id:PECHEDENFER:20200626143049j:plain

ただし個人レベルでは今、感染すると決して良いことはないので、感染防止に努力を続けた方が良いのは確かです。