PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

災い転じて福となせ

ビジネスでは危機を飛躍に変えると称賛されますが、実はそういう話はありふれています。危機が訪れると不要だったり、時代に遅れをとる要素は、苦労せずとも自壊します。時代に合致するための事業再編は容易になります。逆に言うと、屋台骨が揺らぐような危機が訪れているのに大きな改革ができないようだと、経営に問題がある気がします。

 

コロナ禍で航空会社は追い詰められていますが、チャンスの時でもあります。レガシーキャリアは突発的な世界的危機に直面しても、国が干渉して会社の消滅や買収を防ぎます。潰れにくいのだから、人員整理以外は大胆に改革を進める場面。

 

実際のところ多くの会社では、大部分の路線が運航停止になった結果、路線網を再考する機会になったはず。混雑空港における自社発着枠の配分などという問題は、あらゆる航空会社が取り組むべき課題です。

 場所がら目立つだけかも知れませんが、先鞭をつけたように見えるブリティッシュエアウェイズ。本拠地ロンドン・ヒースローで方針転換です。自社専用のターミナル 5 (LHR-T5) を大西洋横断ジョイントベンチャー (JV)、ユーラシア横断 JV の極になるよう機能集約を進めています。これは記事にしました。

ヒースロー Terminal 5 でのサービス向上 - バス代わりの飛行機

 

これはロンドンの存在感、ヒースローの存在感、「BA のターミナル」LHR-T5 の存在感、ワンワールドの JV の存在感、そして彼らのハイエンドのサービスを際立たせます。パリなどの世界都市、CDG, FRA などの大型ハブ空港、AF-KLM + Delta + AZ や Delta + VS などの JV、スカイチームスターアライアンスという航空連合という様々な次元の競争相手に対して、それぞれ差を広げる一手となります。

 

同じことを大西洋横断 JV、ユーラシア横断 JV の他方の終端、ニューヨークと羽田でも行えば、航空連合による相乗効果が働きます。チャンスだと思うのですが、AA と JAL はこれに匹敵する改革を考えているのでしょうか。

 

羽田ターミナル 3も客が激減した今、大胆な改築、改造、改編がやりやすい状況です。平凡な展開が続くJAL ラウンジは、ダイニングエッチ を擁する ANA の後塵を拝していますが、流れを変えるには絶好の機会。ファーストクラス客とメタル会員の専用ラウンジを新設すれば、話題性抜群です。飲食物はファーストクラスラウンジと共通にしても、スマートな給仕をつける程度でイメージは向上。「奥様、それではxxxはいかがでしょう?」なんてやって頂けると、ネタにもなるし、日本語の保存にも役立ちます。高い航空券はもっと売れ、トップレベルの修行僧は増え、株価は上昇するでしょう。

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外が賑やかな羽田空港ターミナル 3

羽田が2つの JV の極になっている状況は、LHR-T5 と変わりません。JAL が F 客とメタル会員向けの高級ラウンジを作るなら、BA (と AA ) の F 客、Concierge Key 会員(と Platinum Lumo 会員)にも使わせるようにすべきですが、それは仔細なこと。むしろそういうラウンジを設ける口実に利用することでしょう。とにかく何か面白いことを始めて頂きたいものです。

 

比較的簡単なレベルでは、注文を受けてから仕上げる和洋甘味処(=スイーツと非アルコール飲料を出すカウンター)が欲しいところ。にぎり寿司、鉄板焼きに続く簡易調理カウンター第3弾です。JAL に限らずラウンジサービスの核をなすのは、昭和の中高年男性の嗜好。骨組みが酒とガッツリ系食物でできています。しかし外の世界では「いい年した男が、あいすくりんなんぞ人前で舐めている」のです。あるいは「アイスを語るような男が世界を股にかけて活躍している」のです。年齢高めと言われる JAL の顧客層ですら、はるか昔に遷移は終わっています。

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国の政策もありますが、羽田では押されっぱなしですからね。JALは。

抹茶を目の前で点てれば、外国人に受けそうです。地上でアルコール飲料以外の魅力を数多く提供することは、機内での泥酔を防ぐことにも有効。

 

以上、暇人の妄想に過ぎませんが、世界が欠航だらけの今だからこそ新機軸を打ち出してもらいたいもの。それができてこそ、人気を永続できるのです。