PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

会員プログラムとパンデミックの影響(その2)

Delta SkyMiles の日本向けサービス(一時)終了

日本の国内線の利用に対して、一律500マイルをスカイマイル会員へ贈るニッポン500マイル。この半恒久的なキャンペーンは、9月30日搭乗分を最後に終了します。

 これは日本国内線への接続を持たないデルタ航空が 、JALANA に対して不利な条件にあるため始めた大胆な顧客サービスでした。パンデミックの影響で北米便がほとんど飛ばない現状ではこのサービスには負の効果しかなく、あえなく終了の運びとなりました。今までデルタは一年ごとにサービス継続を発表しており、直近では 2021年 1月末まで実施としていました。約款がどうであれ、突然で一方的な終了と受け取られそうな状況です。他国だと不満の声が大きくなり、デルタの印象も悪くなったことでしょう。金額に換算すると、終了が良いことなのか問題になったはず。しかし日本の場合、気前良いサービスなら、天災のような非常事態下では前言を覆しても問題になりません。まずは妥当な判断でした。

 終了という発表ですが、北米便の運航が正常に戻ったらこのサービスは復活せざる得ないのではないでしょうか。それともスターフライヤースカイマークコードシェアする目途でも付いたのでしょうか。ANAが借金で首が回らなくなり、スターフライヤーの株式を全てデルタに譲渡なんて展開なら面白いのですがね。

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ANAと黄昏

 

ステータスマッチの好機か

ここ 2年ほどステータスマッチの成功率が良くなっていませんか?以下は Status Matcher で報告されるマッチ成功率です。日本でもなじみの深い会社で、50%以上のものを選びました。

日本航空 100%

スターラックス航空 94%

エアバルティック 88%

ビスタラ 86%

カタール航空 83%

キャセイパシフィック 83%

ドラゴン航空 83%

オマーン航空 83%

シンガポール航空 67%

シルクエア 67%

アラスカ航空 67%

ガルーダインドネシア 67%

中国南方航空 60%

TAPポルトガル 57%

エバー航空 53%

全日本空輸 50%

エアニュージーランド 50%

中国東方航空 50%

フィリピン航空 50%

単独トップが JALマイレージバンクだなんて意外なお話です。実は 2件しか報告がないのですが、そのうちの 1 件は ANA のプラチナから JALサファイアへのマッチ。にわかには信じられません。もう 1 件は、デルタのプラチナから JALサファイアへのマッチ。

 

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以前はステータスマッチに熱心だったトルコ航空エミレーツの成功率が最近低迷しています。それぞれ現在 46%、42%です。一方カタール航空は昔も今も熱心で、8割以上マッチしています。

 パンデミック対応では各社、自社会員への救済措置を実施済み。今後再び対応する(=再延長する)必要に迫られるかもしれませんが、基本的には道筋が見えています。利用客が低迷する中、担当者は新企画を見つけなければならない状態でしょう。安易に発想すると「ステータスマッチをやって優良会員を増やそう」となります。

 本気で乗り換えを考える方はもちろんのこと、タネが尽きそうな方も、ダメもとでステータスマッチを求めまくると思いがけない拾い物ができるかもしれません。パンデミック下の逆張りです。

 

フライングブルーの生涯プラチナ会員

これはパンデミックのおかげで、改革・改悪が放置されているように見えます。

 フライングブルーは会員資格基準を暦年の搭乗マイルで量っていましたが、2年前に xp を導入、12カ月合計で決めるように変わりました。創始以来の大改革でしたが、それ以上に大きな変化があります。更新時に、xp 合計から更新に必要な分を減じて残りは持ち越せるというものです。旧制度では、持ち越せるマイルに上限がありました。プラチナ会員更新時は70,000 マイルです。xp 制ではとことん搭乗する年があると、以後搭乗なしに何年もプラチナ会員を保てるようです。

 さてフライングブルーでは、2005年の発足時から生涯プラチナ会員の制度があります。これは10年連続でプラチナ会員を続けた場合に得られる資格です。プラチナ会員の基準は 70,000 マイル/年であり、他のプログラムの「最上級会員」に典型的な 100,000 マイル/年に比べて甘かったのですが、抜け道はあっという間に塞がれ、マイル積算は決して楽ではありませんでした。それが10年連続必要で、マイル持ち越しは最大で一年分。そんなわけで 2015年以降、毎年「解脱」する会員も大した数にならないと思います。

 ところで会員基準が、xp の導入で様変わりした現在、生涯プラチナ会員の基準はどうなったかというと、全く変わっていないのです。相変わらず「連続する10年間プラチナ会員にとどまること」です。これは新制度と矛盾はないものの、整合性が非常に悪くなっています。

 特典は、目の前にぶら下ったニンジンでないといけません。成田-台北-香港(CI)やニース-ローマ-ザグレブ(AZ)を毎週ビジネスクラスで往復すると、1年間で獲得 xp は 3,000 を超えます。現行制度が10年間続くなら、翌年以降は搭乗皆無でも10年間プラチナ会員になります。つまり 1年間の搭乗実績で生涯プラチナ会員になります。JGCSFC 並みです。しかも使わないクレカに年会費を払う必要もありません。搭乗にしたって、一日に同じ路線を何回も往復するというような無理がありません。生涯会員資格の狙いは厚く長くですが、これは需要の先食いです。また現在の基準では、自社利用のみが積算される uxpヘの考慮が全くありません。今はプラチナ会員が最高レベルだった時代とは異なる基準を設けて、その遥か上の顧客を Ultimate Platinum 会員として区別します*。この点にも整合性と公平性が必要です。

 生涯プラチナ会員の記述が古い表現のまま放置されているのは、抜本的な変更が予定されている為ではないでしょうか。一般に会員プログラムの変更はパンデミックのせいで凍結される傾向にあるようですから。

*: Ultimate Platinum 会員の基準は、プラチナ以上の会員が Air France と KLM の利用だけで連続する 2年間に 1,800 xp(= 1,800 uxp)を積算することと伝え聞きます。この要件だけで、10年連続してプラチナ会員を続けるために必要な xp の 60%です。Ultimate Platinum の継続基準も同じなら、最初の資格更新時に生涯プラチナ会員に必要な xp に達します。さすがにこれはバランスが悪いように見えます。

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改悪になるなら、様々な基準が考えられます。生涯に獲得した xp の総量で量るなら、同じようなポイント制を長年運用している BA やカンタスの例が参考になります。同じ会員レベルで BA は 23年+α、カンタスは 62年+α の搭乗がその資格の「永久化」に必要です。AF-KLM の利用低迷に出口が見えるようになったら、妥当な新基準が発表されることでしょう。もし新たにフライングブルーの生涯会員資格を考えている方がいるなら様子見ですね。