ホテルチェーンに関するニュースが2つ。
マンダリンオリエンタルとオベロイの連合
どういうこと!です。The O&MO Alliance という名の連合が生まれ、会員(MO 側は Fan of MO、Oberoi側は Oberoi One)は相互に優待されるようです。
The Oberoi Hotels & Mandarin Oriental Alliance (O&MO)
2年ほど前に
半分精神世界にいる国民と、現世が全ての国民 - バス代わりの飛行機
で書きました。中華文化とインド文化は全く混じり合わず、世界中で生息域が分離しています。Pechedenfer には中印は一寸たりとも重なることが無いように見えます。記事で指摘しましたが、(少なくとも2年前は)Taj と Oberoi の中国進出はなく、Peninsula と Mandarin Oriental のインド亜大陸進出もありません。
こうした事情からホテルの所在地が相補的になるのは当たり前。プレスリリースでは「提携効果が非常に高い」となるのでしょう。実際 MO のサイトで調べてみるとこの通り。
しかし相乗効果なんて考えられません。インド系と中国系ではなく、ポイントと会員特典でしか判断しない顧客なら、この提携は大歓迎でしょう。こういうあらゆるホテルチェーンに都合がよい非特異的な客や、ポイントへの関心は低くても*、中国やインドに染まっていない客が多くないと意味がありません。
*:そもそも MO はポイントも上級会員もありませんね。会員か会員でないかの差だけ。
とにかく謎です。これは確かめてみるしかありません。しかし Fan of MO に入会するか、Oberoi One に入会するかでその先には全く違う世界が広がっています。中華と印度。この選択は容易ではありません。いきなり壁にぶつかります。
巨大チェーンからの足抜け傾向はユーザーのチャンス?
皆さんよくご存じだと思いますが、巨大国際ホテルチェーンが所有する宿泊施設はわずかです。ほとんどのホテルの運営は別会社。所有者はさらに別ということが多いのです。ウェスティンホテル東京がまさにそれですが、投資会社が所有するホテルが多いことはよく知られています。
9月30日で契約満了、マリオットから足抜けするウェスティンホテル淡路は、本日10月 1日をもって、グランドニッコー淡路になり、Bonvoy 会員から One Harmony 会員の相手をすることになります。ちなみにこのホテルの運営は株式会社夢舞台(兵庫県出資の第三セクター)です。
投資会社が、数多くの所有物件を一括して巨大国際チェーンと契約していることもあります。そういう場合、契約が続かないとチェーンからごっそりホテルが消えることになります。それが現実に起きつつあります。
Marriott in Danger of Losing 122 Hotels to Much Smaller Brand – Skift
Service Properties Trustという会社は、「金を払わなければ、所有する 122 のマリオットブランドホテルの契約を終了する」と通告したようです。これが難癖なのかどうかは知りませんが、所有者がやや敵対的な戦略に出たことは間違いないようです。というのも Service Properties Trust は、すでに自社所有の103 もの IHG ホテルを彼らのチェーン Sonesta の下でリブランドすると発表しています。独自のビジネスを充実させたいのです。Sonesta はアメリカ大陸にしか物件を持ちませんが、独自の会員プログラムもあるチェーンです。
宿泊客の方々にも影響があります。Sonesta の様に急激に拡大を図るホテルチェーンは、喉から手が出るほど自社会員が欲しいはず。するとステータスマッチには積極的でしょう。特に IHG や Marriott の会員だと、ホテル側にとっても義理があります。そうでない会員も、突然注目されるようになった新興ホテルチェーンということで、会員になるのは自然。ステータスマッチは大歓迎でしょう。
MO & Oの話もそうですが、パンデミックの影響で国際チェーンの損失は大きく、再編成があちこちで起きるのではないでしょうか。客としては自分の入会プログラムを見直して、ステップアップするチャンスです。
困ってしまうのは SPG アメックスの広告に熱心な方たちだけでしょう。アメックスも新しい商品を開発する頃合いです。