SNS での発信とか、ブログ記事での体験記や解説をあまり見かけないフィリピン航空(PAL) Mabuhay Miles。しかし日本路線の数や、日本からフィリピンに渡航する人の数を考えると、利用者は多いのではないでしょうか。使っていても公言するのは憚られると言うなら、日陰者扱いしていることになります。理由は何でしょうか。よく話題になる Royal Orchid Plus とか、Dynasty Flyer とは対照的な Mabuhay Miles。生の情報が不足していますが、実はミリオンマイル・プログラムを持ちます。堂々たるものです。
Mabuhay Miles ではミリオンマイル・プログラムの特典の一部として、ライフタイム・メンバーシップがあります。北米のプログラムと同じ形式ですね。英語圏でも BA や QF は別形式。こうしたバリエーションが生じる理由はよくわかりません。
基準
ミリオンマイラーの基準は
PAL および PAL Express での総飛行マイルが100万tier/飛行マイルに達すること
です。ライフタイム・プレミアエリートメンバーシップが付いてきます。これは一年間に以下のいずれかの搭乗実績が必要な会員ティアです。
・PAL およびコードシェア便の tier/飛行マイル 45,000 miles 以上
・PAL およびコードシェア便に50回以上
その他のミリオンマイラーの特典は、各種手数料(カード再発行、特典航空券緊急発券、マイル購入、マイル譲渡、マイル再有効化、マイル返却、特典航空券予約変更、座席指定、事前座席指定)が免除されること、プレミアエリート以上の無償アップグレードクーポン、スポーツ用品の無料追加預入などです。盛沢山でお得感あり。
どのぐらい大変か
他社で近年追加されるライフタイム・メンバーシップはそうでもありませんが、
プレミアエリートメンバーを23年間分
という基準は、会員ティアを永久化するには標準的です。
PAL 搭乗によるマイルは以下の通り。マニラからの片道です。
D, C, J 150% 2820 2477 2168
Z, I 125% 2350 2064 1806
N, W 100% 1880 1651
H, M, L, S, Y 100% 1880 1651 1445
X, B, V, Q 75% 1410 1238 1084
T, E, K 50% 940 826 723
O, U 10% 188 165 145
日本人でミリオンマイラーに到達するパターンはこんな感じになるでしょうか。すべて PAL の搭乗です。
(1) HND-MNL 格安エコノミー(50%)往復 532回。安上がりに済ますと搭乗回数の方はとてつもないことになりますね。マニラに毎週往復して10年。平凡な日本の男が、どこで歯車が狂ったのか、フィリピンにもう一つ家族を持ったというようなストーリーを想像してしまいます。こんなケースだと、セブパシフィックを使うので PAL には乗らない?
(2) HND-MNL 格安ビジネス(125%)往復 213回。「ガハハ」親父たちの渡航。目的はゴルフ?それとも...なんて想像も膨らみますが、不動産屋かも知れません。医療や農業の技術指導かもしれません。月2回の往復で9年です。かなり現実味がありそうなパターン。
(3) HND-LHR MNL 経由 格安ビジネス(125%) 47回。何が悲しくてロンドン出張がマニラ経由になる?という恨み節 47回で到達。ずいぶん遠回りなので距離が伸びます。毎月往復するなら4年で完了。PAL は MNL-JFK という長距離路線も持っており、HND-MNL-JFK を125%の積算率で往復するなら39回で済みます。ライフタイム・プレミアエリートのために JAL や ANA の直行便ではなく、PAL の足クロス・逆ヘリンボーンで出張を。
ANA の搭乗でも特典用マイルが加算されますが、提携航空会社はそれだけ。アライアンスのしがらみはなく、搭乗も特典も PAL に始まり、PAL で完結します。そのことと関係しますが、獲得マイルの案内が都市×予約クラスの一覧表。PAL のウェブサイトでダウンロードできます。獲得マイルやらティアポイントやらの計算機がウェブサイトに備えてある航空会社がほとんどである今日、アナログ・アナクロな PAL。しかし自社だけでほぼ完結する Mabuhay Miles に大層なデジタル・デバイスは必要ありません。
このミリオンマイラープログラムは、運命のいたずらでフィリピンにどっぷり浸かってしまった人のためのプログラムだという気がしてきます。単に好きだというレベルではおぼつかないことでしょう。MOS Burger より Jollibee を選択するとか、日本人デベロッパーからコンドを購入する程度では、まだまだ甘い?