PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ANA の"ステータスチャレンジ"

連載特集の途中ですが、またまた中断。Breaking News です。

 

プレミアムメンバーステータス獲得チャレンジというそうです。ANAが副業で行う決済代行サービス(ANAカードのこと)の利用によって、会員ティアの獲得が容易になります。確か数週間前に発表された新機軸ですが、それが本日開始。意外に早く実現しました。日本の大企業らしからぬスピード感。 

 

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今日の昼頃届いたメールです。STATUS CHALLENGE 2021が目に飛び込んできて、最初は完全に誤解しました。広く用いられる英語では status challenge は別の意味になります。

 

さて彼らのステータスチャレンジによれば、「プレミアムメンバースティタス」獲得を容易にするためには参加登録を行い、条件1~3を全て満たす必要があります。

 

参加登録期間は

2020年12月16日(水)から2021年12月15日(水)23:59(JST)まで

 

 

その条件とは、以下の通り。

条件 1:年間のプレミアムポイント獲得数(ANAグループ運航便ご利用分のみ)

条件 2:ANAマイレージクラブのサービス利用数

条件 3:ANAカード・ANA Pay決済額の総額

 

利用実績の対象期間は

条件 1:2021年1月1日(金)~2021年12月31日(金)まで

条件 2 と 3:2020年12月16日(水)~2021年12月15日(水)まで

 

f:id:PECHEDENFER:20201216185624j:plain*1:2021年1月1日から12月31日までに獲得した PP のうち、ANAグループ運航便利用分が対象。*2:2020年12月16日から2021年12月15日の利用分が対象。一部サービスによって異なる条件。*3:2020年12月16日から2021年12月15日の利用分が対象。

 

条件2の「対象サービス」とは、ふるさと納税や保険、機内販売や空港店舗での購入、旅行商品の購入、インターネットサイトでの購入などです。

 

決済代行を中心とした「ANA副業サービス」の多大な利用で、各会員ティアに必要なプレミアムポイント PP を値引きしましょうというキャンペーンです。とりあえず開始し、様子を見て、将来は制度化するという意気込みが伝わってきます。HONUの内容の発表以来、初めて ANA からダイナミズムを感じました。

 

基準となるカード決済額はそこそこの金額になるだろうと想像していましたが、まさにそこそこになっています。

 年間600万円の決済で、ダイヤモンド会員に必要な PP は50%オフ。400万円なら 20% オフ。ANA 会員に興味を示す階層がどのぐらい消費するのか知りませんが、デルタのアメックスゴールド改悪で 150万円が障壁になるような世界。キャンペーンに本気で取組む修行僧はごく少数でしょう。むしろ新規需要開拓です。年間カード決済額 600万円は、サラリーマンなら年収 2,000万円コース。それより貧乏でも決済を ANA に集中すれば何とかなるかもしれません。400万円なら、年収1000万円コースでも何とか達するのではないでしょうか。

 SFC への足掛かりになるプラチナは渋くて、600万円決済の基準しか設定されません。しかも PP の免除は 40%に留まります。ケチな SFC 会員の世話はもうたくさんとばかり、金遣いの荒い連中を増やしたい本音が見えます。消費者の気持ちに沿って考えれば、JGCSFC も散財とは真逆の発想。SFC をありがたがる会員に金を使わせるのは、そもそも矛盾します。サービス展開の上では、SFCの転換点になりそうです。

 

アメリカの航空会社は、提携クレジットカード決済額を航空券支払い金額条件の免除や直接資格マイルに使ったりと、戦略的なキャンペーンを張ります。内容は変わるのですが、存在自体は常態化しています。ANAもいよいよそれを始めるわけです。面白くなります。

 

なおマイレージクラブの会員ティアの条件は変わりません。あくまでキャンペーンです。

 

当たり前と言うか、あざといと言うか、このキャンペーンを餌に ANA カードの新規入会も図っています。ANAの会員ティアは、一つのクレカで毎年400~600万円も決済する連中にとって魅力があるのでしょうか。極めて少数にはそうかもしれません。ただし少数でも修行僧や社畜とは異なる客層で、しかもキャッシュフローが大きいので会員の多様化には効果的でしょう。顧客が多様化すれば、ビジネスチャンスが生まれます。金はあるが、時間が無く、ANAには関心があるという標的像が浮かび上がります。

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さて JAL に比べて顕著に混雑し、詰め込みが目につく ANA がそうした金離れの良い客を集められるかどうか要注目です。うまく機能すると、2、3年後にもキャンペーンは続いており、キャンペーン外でのプレミアムメンバーステータス獲得基準は上がることでしょう。JAL が後追いで同種の試みを行うかどうかも要注目。