バス代わりの飛行機

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LHライフタイム・セネターメンバーシップへの道

Miles & More(M&M)は1993年、ルフトハンザ航空のマイレージプログラムとして生まれました。飛行マイルによって無料航空券などの特典が得られること、ある年の飛行マイルによって利用頻度が測られ、次年のメンバーシップが決まることなど伝統的な仕組みを補正しつつ、今まで機能してきたのですが、2018年ついに特典マイルは支払金額制に。そして2021年1月にメンバーシップの基準もポイント制になることが発表されました。同時にライフタイム・メンバーシップも導入されます。とにかく M&M は「マイレージ」プログラムではなくなります。しかし幸か不幸かポイント制の導入はパンデミックのため、一年延期になりました

 開始が1年以上先で、該当する会員がいない制度についての記事を書くのは変な気がします。

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基準

先に M&M の毎年のメンバーシップに必要な搭乗を再掲します。2種類の搭乗ポイントがあります。提携各社の搭乗では単にポイントが得られます。M&Mを会員プログラムとして使う航空会社(Lufthansa, Austrian, Swiss, Brussels Airlines, Eurowings, Air Dolomiti, Croitia Airlines, LOT, Luxair) の搭乗では、これに加え Qualifying Points(QP)が得られます。計算法は共通しており、

エコノミークラス   大陸内   5 大陸間 15

プレミアムエコノミー 大陸内   5 大陸間 20

ビジネスクラス    大陸内 10 大陸間 50

ファーストクラス   大陸内 10 大陸間 70

です。そして毎年の会員資格に要求される暦年積算ポイントは、

Frequent Traveller 160 pts かつ   80 QP

Senator        480 pts かつ 240 QP

HON Circle       1,500 QP

です。Frequent Traveller と Senator では半分、HON Circle では全ポイントを M&M 各社の搭乗で獲得しなければなりません。

 

さてライフタイム・セネターメンバーシップの基準は、

10,000 QPを超過し、最低10年間 Senator または HON Circle 会員になっていること

です。

 

なおライフタイム・メンバーシップには、Frequent Flyer もあり、こちらは、

7,500 QP を超過すること

と単純です。

 ライフタイム・メンバーシップは、M&M 利用各社の搭乗のみが関係し、その他のスターアライアンス各社への搭乗は全く考慮されません。航空連合軽視の傾向に沿った流れです。とはいうものの、スターアライアンス内の会員レベルと関連付けない人はいないでしょう。Frequent Flyer は Silver (*S)、Senator は Gold (*G) 会員です。

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どのぐらい大変か

QP の出番は一年以上ありませんが、発表されている範囲では、LH ばかり乗る

Senator 会員なら最大で 21年分

の搭乗が必要です。HON Circle 会員を続けるなら 7年分の QP でOKですが、積算 QP とは関係なく10年の期間が必要です。

 

10,000 QP とその 10年がどんなものか見てみましょう。(1) ~ (5) すべてのケースで最低限の QP で最短期間にしてみました。すると毎年更新される会員ティアは Senator になります。10年間 Senator を続けると永久化するという変化が起きます。なお最初に Senator になるまでの期間が、10年に加わります。

(1) MUC-NUE LHエコノミークラス往復 1,000回。どうせ最低10年はかかるので、毎年 100 往復です。この LH の国内線は 86 miles。一日数便あります。日本の国内線だと伊丹-但馬がそこそこの輸送密度を持つようなものですが、こんな近距離路線でも片道 5 QPになります。Freising の駅~ショッピングセンターのあたりに住んで、Nürnberg 市内に通勤するような場合だと、無理なく達成できます。もしこんな遠距離通勤になったら、普通のドイツ人は車通勤します。

(2) MUC-NUE LHビジネスクラス往復 500回。最低10年かかるため、毎週一往復です。毎週末は München で過ごす Nürnberg の住民なんて、掃いて捨てるほどいますが、普通は車移動です。これを飛行機で移動すれば、10年間でライフタイム・セネターメンバーになれます。費用は (1) より安くつくかもしれません。でもみんな LH に金を使うなら、BMW にいっちゃいますね。それが Regensburg 工場のものでも。

(3) 日本-FRA-BER LHエコノミークラス往復 250回。2週間に一度のベルリン往復が10年間。これを可能にできるのは、自由時間が多い方。また LH のエコノミークラスのキャビンはシートピッチが小さいので、体が大きな人だと疲労がたまりそうです。10年ちょうどで達成という搭乗パターンは、健康上の理由で続かないことでしょう。毎月往復で20年かけますか。

(4) 日本-FRA-BER LHビジネスクラス往復 84回。6週間に一度のベルリン往復が10年間。これならだいぶ現実味が出てきました。生活に余裕があり、オペラ好きでそこそこ時間もあるといった方なら、普通にやっていても達成できそうです。(5)のビジネスクラスのパターンの方が安上がりかつ、楽そうですが...。

(5) 北米-FRA-アジア LHファーストクラス往復 36回。一年間に4往復弱で済みます。もしあなたが資産家で毎年の生活費が 5,000万円/年もあれば、特別なことは何一つありません。この程度の収入では、プライベートに飛行機をチャーターして同じ移動を行うのは負担が重いので、こういう選択になるでしょう。ビジネスクラスだと、50回になり一年5往復。生活費 2,000~3,000万円/年コース。

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どう考えてもライフタイム・セネターが一番ありがたいのは、(1) のようにエコノミークラスを多用する方です。(5) のパターンを可能にする客に、そんなメンバーシップが実質的な意味を持つのでしょうか。

 

10年という縛り:AF との違い

AF のライフタイム・プラチナメンバーシップも 10年という縛りがあり、リスクが高いことは承知しておく方が良いと書きましたが、M&M の場合は AF に比べてリスクは下がると思います。

 AF は10年連続という要件があります。ライフタイム・メンバーシップの基準には一切手を付けず、プラチナ会員になる基準を少し変えるだけで達成を困難に、大抵ご破算にできます。そして会員ティアの基準は、数年ごとに見直す必然性があります。2005 年からの FB 会員は、AF が何を行うかすでに学習済みです。

 一方 LH の場合、ライフタイム・メンバーシップの基準はポイントと年数の両方について explicit に書いてあります。ポイント基準の変更は明確に述べる必要があります。10年以内に制度変更することは、年度途中でその年度の会員ティア(Frequent Flyer, Senator, HON Circle)の基準を変えるようなものですから、行うことはほとんど無理。

 また毎年の Senator への基準が変わっても、連続10年でない点で良心的。例えば年間 3,000 EUR 以上などと支払金額基準が導入されても、対応できる可能性は高くなります。Senator 会員を10分の1に減らすというような改革でもない限り、達成の難易度は極端に変わらないことでしょう。将来をそんなに心配することはないように思われます。

 

気づきにくい制度の差が、consequence に大きな違いを生みます。AF より LH の方が安全なのは間違いありません。

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一方で AF の場合、XP を得られる会社の数が非常に多いのは長所です。LH と AF の比較では長短がはっきりしているので、選択するのも容易です。