バス代わりの飛行機

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ライフタイム・エリートメンバーシップへの道:リスクの把握と回避

改悪への備え 

プログラムの改悪は日常茶飯事ですが、ライフタイム・プログラムやミリオンマイラー・プログラムでは、客の立場が著しく弱いことは明らか。10年で七合目まで来た時、ゴールが2割遠ざかっても他社に乗り換える訳にはいきません。会社側にしてみれば、エリート会員プログラムの改悪では顧客流出を心配しますが、ライフタイム・プログラムでは可能性が低いので多少の事は平気です。

 特典を享受する客が増大傾向にあると、調整が入るのは避けられません。ライフタイム・ティアを狙うなら、平時から心の準備が必要であるとともに、他人に先んじて到達する事が重要になりそうです。

 

パンデミックの需要低迷の今、プログラム改悪に踏み切る度胸なんて航空会社にはありません。しかしエリート会員プログラムを散々緩めたので、需要回復後はまずそこに手をつけ、ライフタイム系のプログラムはその後ですかね。3年後にはいろいろありそうです。もっとも変化の兆候を捉えたとしても、打つ手はありません。完全に会社のなすがままです。

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航空会社の選択肢の広さ

ライフタイム・メンバーシップを楽に獲得するつもりなら、プログラム間で最大の差になるのは、提携航空会社利用の可否だと思います。UA や PR は自社の利用だけ、LH はプログラムを共有する会社の利用で、その他の会社は提携各社の利用も積算されます。

 自社のみの場合、本当にその会社だけを使う生活をしないとゴールに到達しません。例えばフライトと言えば UA ばかり選択することになり、それが10年、あるいはそれ以上続くわけです。耐えられますか?

 その航空会社とウマが合うことは必要条件。それに加えて、その利用が有利な生活が長期間続くという条件が必要です。数字をいくら詳細に調べても、これらの数値化しにくい因子をよくよく考えて挑まないと、脱落します。

 その点、提携各社の搭乗が積算されるプログラムは有利です。嫌いにならずに付き合えるかという点についても、セカンドやサードが控えているわけですし、自分の生活が変わってもプログラムを続けられる可能性は高くなります。

 

個人の資質や経歴

だからといって、「ライフタイム・メンバーシップを獲得したら、その会社には搭乗せずにメリットを享受する」という考えだと、おそらく挫折します。むしろ好き嫌いのレベルを超えて、何かのめり込む要素がないと、別格の存在として長期間付き合うのは難しい気がします。

 例えば BA にしても、35,000 TP を超えるまでのコンタクトは半端ではありません。日本語では細かい点がはっきりしないので、英語に多少慣れている者は英語に流れます。メール、予約、機内、約款...あらゆる場面が英語になるのに時間はかかりません。考え方、感じ方が英国流に矯正されます。商品展開、機内誌、ラウンジも大ブリテン島人が魅力を感じるように構成されています。嗜好も変わってきます。こういう要素から距離を置いて長年 BA と密にかかわるのは、無理ではないでしょうか。よしんば徹底的に英国臭を避けられても、そこに残るのは数字だけの世界。無味乾燥な営みが続くことになります。

 航空会社のサービスには、本拠地の文化や習慣がたっぷり盛り込まれます。それを軽視すると、長期間かつ密接な関係は成り立ちません。自分自身についていえば、この点は相変わらず懸案事項または課題になっています。

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日常の会員プログラムとの関係

航空会社のサービスでは文化的、歴史的な背景が複雑に絡み合っていますが、ライフタイム・メンバーシップの要件も会社によってかなり異なります。会員プログラムの通常の会員ティアとの関係で見ると、

(1) 会員ティアに到達・維持する条件を何十倍かに増幅したもの:AY, PR, KE

(2) 会員ティアに到達・維持する条件の一部を何十倍かに増幅したもの:AA, BA, DL, QF

(3) 会員ティアに到達・維持する条件を十倍に増幅、他の条件を加えたもの:AF, LH, SK

(4) 会員ティアに到達・維持する条件とは、関係が希薄な条件を設定したもの:UA

 

に分類されます。サービスの充実という点で見ると、(4) は優れています。逆に (1) , (2) は良くありません。

 (4) は様々な特性の顧客を対象にできます。UA の場合、毎年の更新にかかるメンバーシップは、ほぼ支払金額だけで決まることになります。一方、ライフタイム・メンバーシップの要件は UA で飛んだ距離だけです。金払いが良くて大して飛ばない客にも、金は出さないけれどやたらと飛ぶ客にもメンバーシップが用意されます。これに対して、(2) の BA や QF では一つの会員ティアが平常になると、何年か後に永久化します。一度しっかり格差がついたら、容易に一生ものになるという世界。サービス展開の幅としてみると、UA とは大きな差ができている気がします。

 

(3) では加わる他の条件が曲者であることは、AF, LH, SK の場合に述べました。「連続して××年○○であること」と言う場合は特に注意が必要。○○であるための条件は将来変更されるけれど、飛びつく者は忘れやすいのです。

 このやり方は地中海沿岸の国で広く見られます。過去には年金、保険とか様々な場面で問題を起こしたようです。Flying Blue はその通りの発想をしているだけで、2018年までの旧制度でもアコギなことをしたわけではありません。

 しかしこれはアングロサクソン流の考え方にはそぐわないようで、BA や QF では遥かに見通しが良い基準を採用しています。この点に関しては、アメリカ勢はずっと英国寄り。

 社会における契約の考え方が、ライフタイム・メンバーシップの規則や基準に反映されます。客の立場では、会員プログラムの様々な特典と比較して圧倒的に強い影響を受けます。プログラム入会時よりもずっと敏感になる必要があります。

 

未来の利用度

ライフタイム・メンバーシップ獲得に漕ぎつけたとしましょう。その後はその航空会社に一生付き合うのです。そうでないとマイルストーン到達に意味はありません。当たり前の話です。たかがプログラムの選択ですが、マイルストーンを見据えるなら、大学や専門の選択あるいは配偶者の選択、居住用不動産や墓所の選択と同じ心構えが必要となります。

 JAL でも ANA でもダイヤを達成し、今年初めて紫ダイヤに。しかしミリオンマイラーに関心が傾き、どちらか片方を選ばなければならないという方なら理解できると思います。

 それから達成したら達成したで、一生にわたる心配事を一つ抱え込むことになります。特典内容の先細りや会員レベルの相対的な地盤沈下は、必然なので諦めるしかありません。それ以外に会社の消滅、制度のドラスティックな改変、自分との関係悪化はライフタイム・メンバーシップ固有のリスクです。これは JGCSFC と同じ。Pechedenfer もようやく理解できる境地に達しました。

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長々と書いてきた「ライフタイム・エリートメンバーシップへの道」もこれで完了。12月は記事のポストが増えました。しかしこの内容では雌豚の関心は惹けません。(Das interessiert keine Sau.) 遠大過ぎますからね。

 常識人には無駄なことをテーマに、詳細な記事を書くことこそ、ブログの醍醐味。これは狙った通りです。

 

さて JGC 修行や SFC 修行だったら、貯まったマイルを使って家族でハワイに行きたくなるフェーズです。50,000 FOP または 50,000 PP では4人でハワイに行くほどのマイルは貯まらず、実現に向けては陸マイラーへの脱皮という王道が存在します。ネタが続いて結構なことです。その点アビオスは十分貯まり、航空券は身近ですが、疫病禍のため海外脱出が恐ろしく困難。Jahreswechsel は、朱引内にて冬の空でも眺めて過ごします。