PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

流行語2020

本日28日から、日本は徳川時代並みの出入国管理になったようです。鎖国体制だなんて、興奮している方もいらっしゃると思います。疫病流行の全体像はつかみにくいのですが、感染者がいなかった場所で大量発生したり、以前の波では死者が少なかった国も今の波で他国並みの死者を出していたり、世界が均一になる傾向はありそうです。そして相変わらず出口は見えません。

 

さて疫病禍にすっかり支配された2020年。界隈でも特徴的な言葉が流行しました。思いつくがままに5つ選んでみました。

 

実質無料

ヴァリアントは「実質○○円」。政府による観光業従事者、飲食店従業者等の救済策で、消費に応じて補助金を出す仕組み。それが50%にもなるので、跳び付いた消費者は大勢いました。一方で騒ぎから距離を置く国民はその数倍にもなりました。景気対策には十分効果があったはずです。混乱も相当なものでしたが、しっかり準備をするには時間がかけられないので仕方ありません。

 そして流行った言葉が実質無料。「得した」ことを世界に向けて得意げに報告する者、アフィリエイト広告の収入につなげようとする者、税務署から目を付けられそうになり、慌てて足跡を消す者、過剰に客を集めた施設の混雑となかなかのカオスだったようです。こういうドタバタを見て、この言葉が人の浅ましさの表現であると感じる人が大勢出るのは必然。

 以前から疑わしさを伴う広告用語です。負の評価は順当で特に変わりありません。

 

プラチャレ

ヴァリアントは「グローバリスト」。SPG の会員が多かった日本。Marriott の買収後、コストカットが徹底し、サービスレベルは極端に落ち、ポイント、メンバーシップ、イメージの強化など「弱い消費者」を惹きつけるテクニックが駆使されました。客層は入れ替わったことでしょう。2020年、彼らの日本におけるビジネスは騒々しいという意味で頂点を迎えたようです。

 宿泊需要低迷から基準を下げ、「本来○○泊で認められる」エリート会員にすぐ成れるという触れ込み。消費期限が3時間後に迫るおにぎりのような趣きです。飛びつく方も飛びつく方だと、問題を感じる層はますます呆れるわけです。

 騒ぎを増幅したのは Go To による実質○○円(前項)。Marriott ではアメックスとの提携を背景に新規会員を誘い込むアフィリエイト広告が蔓延しています。アフィリティ広告ブログ、Go To、プラチナチャレンジが三重奏を奏で、珍妙怪奇の百花繚乱。肝心の現場では Marriott らしさが炸裂したようで、受付やラウンジの観察を含めた宿泊報告には見るべきものがありました。

 ホテルビジネスも競争が世界化して激化する一方。Marriott は、客を多く集め、金を多く使わせ、経費を極小化することがビジネスの鍵だと分かりやすく教えてくれます。そんなところが見えてしまう客は利用を避けますが、外から眺めているだけなら顧客の行動/サービスの破綻/チェーンの旗振りは一級のスラップスティックです。

 一方プレーヤーとしてプラチャレに参加、マリオット・ボンベイの世界を体験できた方は良い1年になったのではないでしょうか。旅行の喜びが大方奪われた2020年。謳い文句に隠されたリアリティを知るだけでもましです。

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ミュンヘン2020年

 

ポイント2倍

ヴァリアントは「半分」。際限がないほど見つかります。非常に多くの航空会社の会員プログラムが、特典マイルだけではなく、資格マイルも対象にしました。いつもは posh に決めるレガシーキャリアも、スーパーのチラシ状態。

 とはいうものの、日本の HOP ポイントは時々 5倍になります。HOP! のフライングブルーはまだまだです。

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アリタリアに酷似していましたが、アリタリアは消滅したので無問題になりました。

ホテルポイントも同様でした。騒ぎのネタが数多く転がっていた年だったのです。旅行を実施する人には惨めな年、旅行関連の発信する人には実り多い年という皮肉な2020でした。

 

無観客○○

ヴァリアントは「入場制限」。スポーツ、劇場など観客が前提になる催しを無観客で行い、撮影したビデオを配信するというシステム。これは流行したというより、こうするしかありませんでした。今年もオペラハウスから数多くのメールが届きましたが、痛々しいものでした。

 スポーツでは広告が取れるので、やらないよりまし。劇場では普段の広告依存性は低いので、どうかなというところ。かと言って金を払ってビデオ配信を見る客は少なかったはずです。臨場に意味があるので、これは容易に想定されること。

 衆目による直接観察が消えたことが、プレイヤーに大きな影響を及ぼしたという報道もあります。量子力学のような話です。

 

ニューノーマル

ヴァリアントというか、構成要素に「テレワーク」、「ワーケーション」、「Web 会議」、「Zoom飲み」など数多くの言葉が含まれます。物理的な空間を共にしなくても、人と人のコンタクトによる社会機能はほとんど可能になる時代。有無を言わせず技術にはめ込まれた感じです。強制は突然起きましたが、意外なことに人類は簡単に適応できたようです。精神的に不調を訴える人もいたはずですが、メディアがバカ騒ぎしないところを見ると、深刻な現象にはなっていないようです。

 しかし個人を細かく観察すると、変化が認められます。言葉が変わった方にはずいぶん会いました。感覚や感情 ⇨ 言葉という連携が破壊されるようです。特に多かったのは、出身地のアクセントが部分的に出る方。自然な話だし、仕方ないというところ。皆さんの周りにはそういう方はいらっしゃいませんか?

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バンコク2019年