バス代わりの飛行機

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

JGC と SFC の特徴・永続性(その 1)

JALANA の特殊な会員制度、JALグローバルクラブJGC)とスーパーフライヤーズカード(SFC)。提携クレジットカードの会員で、マイレージプログラム(FFP)の上級会員特典の一部が付帯することが売りです。

 入会条件はクレジットカードとしては特殊です。安定した支払能力があること以外に、JALマイレージバンク(JMB)や ANAマイレージクラブ(AMC)で中~上位の上級会員でなければなりません。審査が入会時のみ行われ、条件に該当しなくなっても継続可能な点においては、普通のクレジットカードです。

 

会社から見た時の会員の位置づけ(想像)

JMB も AMC も会員は、2,000万 ~ 3,000万人という膨大な数になりますが、このうち年に一度以上 JALANA の有償利用がある会員はどのぐらいになるでしょうか。全くの想像ですが、3分の1 ~ 5分の1 というレベルではないでしょうか。

 会員資格抹消の運用基準は聞いたことがないので、どちらの FFP にも物故会員が数多く含まれていそうです。そうでなくても「10年前に空港や機内でそそのかされて会員になったもののそれ以来、利用していない」なんて会員も多いはずです。また JAL 利用は BA につけていますなんて JMB 会員もいるでしょう。

 最後のパターンはマーケティングでは無視されているようですが、最初の2つは大きな数になるはずです。利用可能性ほとんどゼロから不可能な会員相手にコストを掛かるわけにもいかず、会社からのアクションも希薄。このような事情を考えると、FFP の会員数は意味を持ちません。利用という点で、会員と非会員の区別がごく僅かなので当然です。

 

JALANA が熱い商売気を起こすのは、JGCSFC 会員に対してではないでしょうか。これらの会員数は 20万台とか30万台とか言われますから、顧客名簿としては巨大です。この数を背景に、JALANA にとって良い商売になっていると考えられる点がいくつかあります。

 

(1-1) クレジットカード会員の会費として、(保険、カレンダー、手帳、雑誌など)いろいろなものを毎年買ってくれること。自動処理が進められるのでコストが小さく、確実に儲けられます。NHKと同じで自動支払いは企業にとって実に美味しい商売。

 

(1-2) 旅行に関心が高い集団を囲い込んでいること。宣伝の効率がまるで違います。国内は低成長でも趣味には金を出す傾向が顕著であり、世界中で情報の持つ価値は年々高くなるばかりという2つの理由からこの点は非常に重要。

 

(1-3) 航空会社利用という活動の性質から、会員一人一人が自然に広告媒体になること。会員が一人いると、周囲の無垢な人々を JAL 派にあるいは ANA 派に引き込む作用が働きます。この作用が JMB 平会員、AMC 平会員に比べて圧倒的に強くなることは明らかです。

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会員から金を集めるカラク

JGCSFC は会員には見えにくく、太く、長く絞り上げるシステムを持ちます。

 

(2-1) JALANA を全く使わなくても、会員は最低11,000円程度以上の金を12か月ごとに支払います。会費がお高いクレジットカードですが、JGCSFC が維持できると考えれば高いとは感じさせません。ショッピングマイル・プレミアムや家族カードなど、さらなる支出でぐっと得な感じがする追加サービスは価格設定が絶妙です。収入が1,000万円の昭和型標準世帯(夫婦+子2人)には、やや贅沢な出費(2万円〜)だけど問題なく払える料金。こうして少しずつ広くから集めることに成功。

 

(2-2) ガラクタを毎年送ってくるし、断っても雀の涙ほどのマイル(3年で無効に)にしかならないし、飛行機は滅多に使わないし、毎年の会費を納めるのはバカバカしい...と気づいても退会には痛みを伴います。

 万が一 JALANA を利用する機会が到来すれば、JGCSFC のあるなしは目に見える待遇の差になります。そして一度退会すると、再入会のためには、再度50,000マイル級の搭乗を集中的に行わなければなりません。年会費徴収の時期になると、無駄だと思っても決心がつきません。退会への精神的な障壁がこれほど大きなクレジットカードは他にはないでしょう。こうしてだらだらと(その個人にとって)無意味な会費が毎年徴収されるのでした。

 

(2-3) 大部分の会員は会員であることに大きな価値を見出し、会員でない人間は JGCSFC の存在を知ると、会員になりたいと思います。(2-1)、(2-2) だけだと反社会的勢力の商売と区別がつきませんが、多くの人に魅力ある商品なのです。さらに言うと、クレジットカード決済、ポイント流通、人の移動を活性化し、社会や経済にも貢献しています。「三方良し」を具現化した近江商人も驚きのビジネス。

 

(2-2) については FFP 上級会員資格付帯の他のクレジットカードと異なる入会条件が、退会を困難にしていると言えます。JGCSFC を競争相手に比べて強力な商品にする鍵です。会員個人の状況の変化で有料の会を退会ということは、よくあるのですが、それに対して強力な防御壁を築いています。考えれば考えるほどお見事。身震いします。